授業レポート
2014/12/3 UP
忍者に学ぶ~現代社会生活術!
授業レポート「忍者に学ぶ~現代生活術!」
時は遡ること1400年前 “忍”というコトバがうまれた。
忍者…忍びとは?
忍びは歴史に残っていたらダメ…?
ではそこで忍が“ない“と信じてしまっていいのか?
現代に生きる忍者から学ぶこと――――
「それでは今日の講師であり忍者である甚川さんに登場して頂きましょう!甚川さーん!」
授業コーディネーターであるオヤビンこと佐藤さんの呼びかけに応えはなかった。
「甚川さーん??」
太鼓の音がなり、部屋の後ろの扉が開くと薄暗い部屋の中、忍者が登場!!
今回の授業の先生、現代に生きる忍者である野人流忍術「野忍」代表の甚川さんだ。
忍者によるご挨拶。
「本日はよくお越しくださいました。」
…現代に生きる忍者はなんと謙虚なことか。 ―礼
九字護身法
「臨!」「兵!」「闘!」「者!」「皆!」「陣!」「裂!」「在!」「前!」と腹から出る声が教室に響き、隙のない動き…
皆の目は忍者にくぎ付け。
「これでここにある邪気が払われました。」
演武 無駄のない美しい舞のような動き
忍術である礼・九字護身法・演武を知った。
礼をし、黙想を行うと場に一体感が生まれ、その空気感のまま講義に移り、
忍者による座学 …PCもお手の物らしい
普段の忍者は桧原村・あきる野市・日の出町といった東京の山里にいるらしい。先程の演武や私たちが持つ忍者のイメージを良い意味で覆す様な、素敵なキャラクターの甚川さんの話に全員が引き込まれていく。ふむふむ。
まずは忍者適性度チェック
一.見た目が平凡
一.口が堅い
一.話がうまい
一.好奇心旺盛でかつ根気強い
一.変化に対して臨機応変
一.身軽
一.色仕掛けがうまい
うーんってちょっとちょっと。今日はお子さんもいらっしゃるんですよ。
「6個以上当てはまった方は?」
1つ小さな手が挙がる。
おーっとこれはこれは忍者少年誕生ですね。
忍者少年はニコニコ。「だってー」ってこれは素質ありか?!
さてさて授業は続き、忍者の歴史や仕事などについてスライドを使って行われました。
何かにまもられていることにあなたは気付いていますか?
それは制度だったり法律だったり。当たり前だと思っていませんか?
うーん難しい…「では例をあげてみましょう。」
「信号を守っている人はいらっしゃいますか?」
「ではその人たちは左右を確認していますか?」
…忍者は幼稚園にも登場するらしい。
たたかわないことが強いことでかっこいいこと。
「刀をもつ」ことの心構え、立ち振る舞い、そして姿勢が大切である。
忍者のプライべート。1年前忍者婚したらしい。…ん?忍者婚ってなんだ??(笑)
移動術 特に夜の移動術。
浄化される気持ち―科学で証明されないモノ―を体感出来るらしい。
…東京の山里の夜は静かな中で何が行なわれているのだろう?
ふーん。地理的な関係もあって修験者が忍者になったりしたり。
歴史のなかの忍者
役割としては①組織運営 ②心理操作 ③情報収集
全国どこでも忍者は存在する
心得:人を破らざるの習い 人の理に尽くさざるの習い
正義をすてる(常識を疑う)
★造られた正義よりもありのままの真実をみる
★日本文化の根底にある里山文化が基本
★権威に頼らない自立した生き方
侍と忍者の違い
侍
忍者
武士
工作員
堂々と対峙
逃げる隠れるが基本
栄誉最優先
任務最優先
本音と建前 両方があって世の中がまわる。別のものではない。
―――――――和術を学ぶ~体験――――――
忍者の道具
★日常の中にあるものを創意工夫して使用
★消費社会ではなく創造社会を追求
★こだわりと合理性のバランスをとる
例)手裏剣は回収が大変だからあまり投げない。…え!
仲間内の通信手段として使っていました。忍者は自分の痕跡を残してはいけないので、手裏剣は戦いには向かない道具なのです。
お待ちかねの体験!
・棒手裏剣~本物は室内では使えないため、お箸で代用です(笑)
的に刺さるのは難しいとのことでしたが、体験された生徒さんはかなりの確率で成功し、とても盛り上がりました。やはり今回の参加者は素質のある方が多いようです。
・吹き矢
ここでは先ほどの忍者少年と忍者少女、そして、くノ一が大活躍!
そしてここでの学びというのが1番印象的だったのではないでしょうか。
「手裏剣は心をゆらさない練習、吹き矢は集中・すべてを統合する練習である」
一喜一憂することによって生まれる油断が致命傷になりうる。
状況をしっかりうけとめて次の行動に移しましょう。
吹き矢には毒がついています。口をつけたら自滅します。
吹く前に吸ってしまったら?矢が口の中に、またまた自滅の道へ。
風は?あてた後は?どうする?考えて行動することの大切さを学べました。
そして覚悟。命のやりとりから学ぶ命の重み、尊さ。
自分の行動の責任、そして祈り。
―日本文化の矛盾 日本人のわかりにくさ
「礼を尽くして隙を見せず」
礼節を尽くしながらも無防備にはならないとうい矛盾と曖昧さ。
「命のやりとりをさせていただく」
その言葉に隠された大事にすべきこととは?
忍者という日本文化を通して伝えたかったことは何なのか。
まだまだ考えるべきことはたくさんありそうです。
①小林 玲さんの「まなび」
・忍者というと忍術を使い常に戦っているイメージでしたが、実は忍者の仕事は争いを避けるための情報収集だということが、忍者に対する知識がほとんど無い私にとっては驚きでした。
・忍術の訓練自体も戦いの為のものではなく、平常心や集中力を養うためのものであり、現代の生活においても活用できそうなものであると感じました。
・忍者が使っている道具は忍者特有の物だと思っていましたが、一般的に生活に使われていた物を使用している場合が多く、その使い方は何通りもあるなど、忍者とは特別な存在ではなく、生活に根付いた文化なのかもしれないと感じました。
②先生の「ことば」
・礼を尽くして隙を与えず
・本当の強さは戦わないこと
・安全な武器はない
様々な訓練を通し戦闘の技術(殺法)だけでなく、精神的に鍛え、人がより良く生きるための術(活法)を学んでいるのだと知りました。
今回の講義を通して、甚川さんが何度も繰り返しておっしゃっていたのが「礼を尽くして隙を与えず」という言葉でした。
相手に対して礼儀を尽くしてはいるものの、相手に付け入る隙は与えない。
これは、忍者の教えでありながら、現代社会生活でも活用できる教えだとお話しされていました。
忍者の事をあまり知らない人にとっては沢山の驚きや発見があった授業であり、忍者に少し詳しい人にとってももっと深く知りたいという欲求に繋がる授業となったようです。
授業レポート:長谷川綾子 小林 玲