シブヤ大学

授業レポート

2014/11/14 UP

地域づくりの時代に
3限目:「地域を事業で変える」

3限目は、まちづくり最前線の現場に携わっている、木下さんならではの刺激的なお話から始まりました。
なかでも共通して強く感じたのは「過去の常識は、今の非常識」という言葉です。


■「こうある“べき”論ではなく、時流に乗る」

木下さんが墓標と呼んでいる残念な開発事例を幾つも紹介してくださいました。
経済が右肩上がりの時代はとっくに終わっているにも関わらず、いまだその前提から始めている現場が多いこと。
古き良き商店街の復活を標ぼうするだけで、一過性のイベントなどをするだけで続けられていないお話。
商業施設の再生と活性化事業の違い、施設を作ればそこに人が集まるだろうという発想、
総工費何億円という巨大な成功例は将来の失敗事例になること、補助金依存の悪循環などなど・・・
木下さんから「考えればわかること」という言葉が何度も出ました。


大事なのは経済(お金)としっかり向き合う事



■戦略的都市経営の最前線

【働く人に不動産が合わせていく】
北九州市の小倉にあるメルカート三番街では、裏通りにある建物へ先に入居者を見つけ、限られた予算内で
身の丈に合った方法を取ることで、事業化に成功したリノベーションをご紹介頂きました。


【0次ステップを踏む】
大阪 枚方市の枚方宿くらわんか五六市では、定期的な開催、固定客をつける、人が訪れる理由を作る。
1店舗を成立させることが大事。従来の価値観で考えてはダメ、最初は固定費がかからないやり方をする。
といった、商売の基本的な観点でも納得でした。

事業の興し方に失敗しないベストなオプションはありません。
必要に迫られた人が事業を起こすのです。



■公共開発を民間に委ねて稼ぐインフラへ

民間と公的機関が密に連携することで、双方の強みを生かす形もご紹介頂きました。
町有地の開発を民間に任せることで、役場が責任を取らないやり方。
道路を利活用することでお店が使えるようにしたことで、その場所が利益を生む場所に変わります。
維持管理費を減らす方法を工夫することで建築費用の何倍もかかる部分を削減できます。


こういったことの積み重ねが売り上げの増加に匹敵します。
経営を基本としたロジックを身につけること、まちを一つの会社として見ることがエリアイノベーションを
考えるうえでは非常に重要とのことです。 

■まなび

「過去からの脱却」
昔とは前提条件が違う時代なのに、やり方を変えずに進められている事例が幾つもあること、
普通に「考えたらわかること」が成されていない事が多い事に驚きました。
これは、まちづくりに限らず日常にも置き換えて考えられる気がします。

新しいことを考える時、過去の常識に囚われていないか?と考える癖をつけていきたいと思います。


授業レポート 高橋正