シブヤ大学

授業レポート

2014/6/26 UP

音楽の力でコミュニティをつくる~定禅寺ストリートジャズフェスティバルから渋谷ズンチャカ!まで~

みなさんは音楽が好きですか?
普段の生活の中で、音楽と関わっていますか?


「部活ではやっていたけれど今は何も…」「カラオケくらいかな…」
そんな声がちらほら聞こえる中、はじまった今回の授業。

授業のテーマは【音楽でコミュニティをつくる】。
吹奏楽部の活動も、友達とのカラオケもいいけれど音楽を通してもっと多くの人とつながって楽しもう。

そんなコミュニティづくりをビジネスとして展開させているのが
ヤマハミュージックジャパンさんの「音楽の街づくりプロジェクト」(おとまち)です。

今回の先生は、おとまちのプロジェクトリーダーを務める佐藤雅樹さん。

定禅寺ストリートジャズフェスティバル、商店街にライブハウス、
マンション住民を対象としたビッグバンドの養成、
駅ナカ活性化を目的とした女性によるジャズバンド、などなど…

これらを企業のCSRではなく、ビジネスとして展開させるまでの道のりをうかがいました。

佐藤さんは、「会社はなかなか変われない」と言います。
「楽しいことはプライベートで、という流れがある」とも。

そのような中で「まず自分たちが音楽を楽しみたい、
音楽を楽しむことをそのままビジネスモデルに落とし込みたい」と考えたそうです。

ビジネスモデルとしては、地域を活性化させたい企業や自治体と提携して
音楽によるコミュニティ創出のノウハウ・ネットワークの提供やコンサルティングをするという形です。

しかし、「おとまち」の取り組みは、効果や結果が数字ですぐに出るものではありません。

相手の企業・自治体から「本当にできるの?どのような効果があるの?」と聞かれた時に
どう「おとまち」を伝えるか。

佐藤さんは、相手の企業の方々にも「実際に参加して感じてもらうのが1番だった」と言います。

無条件に人の心を動かす、音楽。

実際に肌で感じてもらいながら、「おとまち」の良さを伝え、ビジネスとして現在まで継続させているそうです。

「実際に参加して感じてもらうと楽しさが伝わる!」ということで、授業の途中ではドラムサークルを全員で体験。

薄い円形の太鼓が全員に配られます。
ポンポンっという軽くて心地よい音がしました。

ファシリテーターの野田さんの動きに合わせてゆっくりリズムを刻んだり、だんだん速くしたり。

野田さんが体全体で音のイメージを表現してくださいます。
しゃがむと音も小さく、急に立ち上がると音は一気に大きく。

最初は個々が叩いていたリズムが、一つの大きなリズムになっていきます…!

「メガネの人だけ!」「(ジェスチャーで)右半分の人!」
とゲームのようにドラムサークルが進み、最初は遠慮がちだった人も途中からとても楽しそう。

学生のみなさんもファシリテーターに挑戦。

体やアイコンタクトをいっぱい使ってリズムや大きさを伝え、
他のメンバーが受け取って、ひとつの大きなリズムを刻みます。

盛り上がって、盛り上がって、最後は野田さんの合図でピタっと音が止まる…静寂。
背筋がぞわっとしました。

見ず知らずのはじめてのメンバーでも、
気持ちを合わせて、わくわくすごいことができちゃう、音楽の力を感じました。

授業の後半は、ヨーロッパと日本の違いについて、
佐藤さんが訪れたチェコやフランスの写真を見ながらお話を聞きました。

佐藤さんは、「音楽と人・街の関わり方がヨーロッパと日本では違う」と言います。

「チェコには日常に音楽がある。
平日の昼間でも街を歩けばアンサンブルをする面々がいる、
冠婚葬祭の場に音楽が欠かせないように、生活に音楽が密着している。
音楽が無くては困る、くらい日常に音楽が浸透している。」と。

フランスのパリには「音楽の日」という町中どこでも音楽を奏でて良い日があります。
街が音楽に包まれる。自由に誰もが音楽を奏で、聴き、楽しむことが出来る。

日本でこのような日を作れるか、と考えるとなかなか難しいと思います。
それを行政がリードして実行してしまう、パリ。

なんでそんなことができるのだろう。
どうしてこうした日を作れるのか問うた時のパリ市の答えが、Just Fun!

クレームが多少来るのは当たり前。
音楽は楽しいのだから、純粋に楽しいことで楽しもう、という答え。

日本もこれくらい素直な気持ちで、「楽しいことを楽しめる」世の中になったらいいのにな、と感じました。

それを実現する第一歩が、今週末13日に行われる「渋谷ズンチャカ!」です。
街全体ではありませんが、公園中で自由に音楽を楽しめるイベントが今年からスタートします!
http://shibuya-zunchaka.com/

これからの社会や街づくりで音楽はもちろん、楽しいことをみんなで楽しめるコミュニティづくりが広まることで
より良いまちが生まれるのかな、と佐藤さんのお話を聞いて感じました。

楽しいことを個人も企業も、自治体もみんなで楽しみながらつながりを広げるコミュニティが生まれればいいな、
そして自分でもまた音楽を思いっきり楽しみたい!と思えた授業でした。


(ボランティアスタッフ 梶 文乃)