シブヤ大学

授業レポート

2013/5/1 UP

みんなの手芸室02 不器用でいこう ~『押忍!手芸部』・部活動~

靴下を使って作るパペット「スベル」づくり

今年で活動10年目になるという、
男性部員メインの"日本一おちゃめでキュートな部活動"、
『押忍!手芸部』の部活動が行われました。
作業台は作らず、椅子を楕円形に並べて、
みんなで真ん中スペースを向いて座ります。
参加者は全員女性。
小さな女の子連れの親子参加者も2組いました。

まずは自己紹介から。
「手芸は苦手です」「不器用です」「家庭科の先生まで嫌いでした」
「下手の横好きで全然うまくなりません」
「よくわからないけど来てみました」
などという正直なヘタ告白(?)から始まります。
ふだん糸と針を使っていないと、
忙しい日々の中で、どんどん手芸からは遠ざかってしまうものです。
かくいう私も、ボタンかがりやすそのほつれ直しくらいの時くらいしか、
お針箱を出すことはなくなっています。

この日何を作るのか、発表されないままに参加したため、
誰もが興味シンシンながら、つい弱気発言が出てしまったようです。
部長が腕にはめて、たかだかと見せてくれたもの、
それはソックスで作る手袋人形でした。
指を脚に見立てるとあら不思議、人形は歩くことも走ることも、
スケートを滑ることだってできるようになります。
ボタンの目の位置や、手の組みかただけで雰囲気が変わる、
表情豊かな人形。
子供たちはもう、くぎ付けです。

部長はとても硬派。熱くざっくりと説明してくれたあとには
「はい、やって」と無造作に話を切り上げます。
なかなか踏み出せない部員たちに「よーい、スタート!」「エンジョイ!」と声をかけて、励ましてくれます。

ホワイトボードやレジュメなどを使って懇切丁寧に解説をしない授業。
その分、動いているライブ感を感じます。
みんな、はじめはおずおずと、
真ん中に置かれた材料に近づいていきましたが、
そのうち夢中になって選び出します。
さまざまな色のソックスや大小取り混ざったボタンがバケツに入ってあるため、自分好みのものを選び放題。
あれこれと夢が膨らみます。

まずは脚を作ります。
動きをもたせる重要なパーツ。
でも型紙やチャコペンなんていう正確なものはありません。
ざくざくとワイルドに縫ってから、鋏で形を整えていくのです。
それから両手をつけて、顔の表情を作る作業に。
初めはみんな、針に糸を通すことさえも大変そうでしたが、
そのうち感覚を取り戻して、大胆に縫うようになっていきます。

集中すると、どうしてもみんな黙々と押し黙って、
前かがみで針を動かしていくもの。
そこに「下を向くな、上を向け!」という部長のゲキが飛びます。
えっ?そういっても、無理でしょう?
そう思って顔を上げると、みんなの前では部長が、
腕をななめうえにめいっぱい伸ばしながら、刺繍をしていました。

「針を動かすと隣に危ないから、布を動かすんだよ」
なるほど、その考えは合理的に思えます。
加えて「無駄なかっこよさ」を追求することが、部員の務め?
なんだとか。
確かに、上を向いて縫う方が、アクションも大きく、人目を引きます。
集中しすぎずに余裕を持って、楽しんでほしいという部長。 
「声出していこう!」と言われました。
手芸をしている時なのに・・・体育会系ですねー。

「TVカメラが入るからカッコつけて!」とも言われました。
もちろん「エアで」ですけれど。
カッコをつけることで、手芸がさらに楽しくなるからでしょう。

最後にめいめいが作った人形を、
次々にホワイトボードの上で滑らせて、
スケートをしている様子を動画に撮りました。

はじめは部長の予想外で奇抜なリードにみんなびっくりしていましたが、そのうち心地よくなって、
人形が仕上がるころには誰もがすっかり部長のファン。
記念写真の後は、部長の写真を撮りたがる女性がずらり。
手芸乙女のハートをわしづかみにしていました。
こうやってまた楽しく部員が増えていくわけですね。

うつむかない手芸は初めての体験。
とても楽しくて気持ちのいいものでした。
今度は公園など屋外で、ひとり手芸部デビューしてみたいと思います。

(ボランティアスタッフ・小野寺理香さん)

押忍!手芸部 部活/Bukatsu ブログはこちら
http://blog.goo.ne.jp/ossu-syugeibu/e/5443bf7260e6fa088320c54f080ab0d2

レッツ「スベル」動画はこちら
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=E6xshoYgI00