シブヤ大学

授業レポート

2013/3/5 UP

子育て中のパパ、ママに贈る誕生学 ~我が子がよりいとおしくなる、いのちの話

 今回の誕生学の授業は、まず先生の自己紹介、生徒さんは2組ずつペアになって自己紹介をしてから
他己紹介、という和やかなムードで始まりました。


 先生のねもとさんは、2人のお子さんのお母さん。
普段は別のお仕事をしながら、ライフワークとして土日などに誕生学の講師を務めるエネルギッシュな方。
参加された生徒さんは、最近お母さん・お父さんになったばかりの方、
ご夫婦、お子さん連れのご家族、2人目の出産を控えた方など様々で、
中には、お父さんお一人で参加されている方々もいらっしゃいました。


 まずは、先生からの「誕生学」の講義です。
はじめに、先生から和紙に包まれた小さなプレゼントが一人ずつに配られました。
中には、かろうじて目に見えるくらいの小さな穴のあいたハート形の紙と、お米粒が1つ。
この小さな穴の0.1㎜というサイズ、実は人間の受精卵の大きさなのだそう。
この卵が細胞分裂を繰り返して少しずつ大きくなり、5〜6週目を迎えると心臓が拍動を始めます。

その時の大きさがお米粒のサイズ。

「こんなに小さなところから、10ヶ月でちゃんと赤ちゃんに育って生まれてくるなんて、
いのちって、ほんとうに不思議で神秘的ですよね。」という先生のことばに、
生徒さんたちからも「こんな大きさだったんですね…」という驚きの声も。


 そんな風に、いのちのはじまりの大きさを体感したあとに、
先生から、その小さないのちが実際に赤ちゃんとして育ち、生まれてくるまでのお話を詳しく伺います。


 お母さんの身体は、赤ちゃんが常に快適に過ごせるように、羊水の温度を暑い日も寒い日も常に一定の温度に保ち続けていること、赤ちゃんはその羊水を飲んで自分自身で綺麗な状態に保っていること、
生まれてくる時には、赤ちゃんはお母さんの体になるべく負担をかけないように、
自分の頭の骨を重ね合わせて頭を小さくして顎をひき、
お母さんの骨盤の形に合わせて回転しながら生まれてくること、などなど…
お母さんの身体の力、赤ちゃんのいのちの力のすばらしさに感動してしまうお話の連続でした。
まるで、お母さんと赤ちゃんとはお互いの体をいたわり合っている関係のようで、
生徒さんたちも驚いたり発見したりしながら、興味深く聴いていらっしゃいました。


 赤ちゃんは、お母さんとお父さんを選んで生まれてくる、という考え方もあるそうですが、
赤ちゃんはお母さん・お父さんと「一緒に人生を歩んでいきたい」という思いで、
お互いを思い合うことを生まれる前から知っているのかも知れないな、とも感じました。


 授業の後半は、シェアリングタイム。
会場の和室にみんなで輪になって座り、前半の誕生学の講義を聴いて感じたこと、ご自身の出産や子育てについて思うところなどをシェアし合いました。

「とにかく無事に生まれてきてくれさえすればいい、と思っていたけれど、生まれてみると、他の子との違いや新たな悩みがどんどん出てきてしまうんですよね」

「今は子育てに必死で、余裕がないです。自分で産んだんだな、という実感が実はそんなになかったり…」

「出産も子育ても本当に大変で、2人目はちょっとまだ考えられないんです」

「1人目、2人目は無我夢中だったけれど、3人目の子育てでようやく余裕が出てきた気がします」

「帰ったら子どもに、“生まれてきてくれてありがとう”と伝えたいと思いました」

「大変な子育ての時間ももう少しゆったり味わいたいと思います」

「お話を伺って、2人目の出産は楽しみたいと思いました」

などなど、
皆さん、ご自身の体験や実感に照らして率直な思いを伝えてくださり、
とても1時間ほどとは思えない、あたたかな濃密な時間となりました。



授業後のコメントでは、
「皆さんの話を聴けたことで、自分だけじゃないんだ、と少し楽になりました」

「先生の講義と先輩お母さんの話を聴いて、やっぱり2人目も考えようかなと少し前向きになりました」

「妻とゆっくり話したいと思います」

といった感想もいただき、
子育てについて共有しあったり、悩みを吐露することのできる「人」や「場」が、
そばにあることの大切さをあらためて感じました。


また、私自身はまだ子どもはいませんが、自分を産み、育ててくれた両親や祖父母に
あらためて感謝の思いがあふれてくる、貴重な機会となりました。


(ボランティアスタッフ・山田里美)