シブヤ大学

授業レポート

2012/3/26 UP

ドイツゲーム漬け、4時間半。

【プロローグ】
そもそも、ドイツゲームって何でしょう?
インターネットで調べると"非電子型のテーブルゲーム"なんて出てきますが、
なんとなく分かったような分からないような。

ドイツゲームはどんなものか、参加された中で2名ほどご存知の方がいらっしゃいましたが、
ほとんどはご存じなく、「この授業告知で始めて知りました」という方も。


今日の先生・ゲームマスターの児玉さん。
生徒さんに『ドイツゲームとはどんなものか』を実感して貰うために、
自己紹介もそこそこに、早速4時間を越えるドイツゲーム漬け授業のスタートです!!



…っと、スタートする前に。
今日の授業での3つのオヤクソク。
①こういうの苦手って言わない・思わない (大人はついつい言いたくなっちゃいます)
②最後まであきらめないで考える(コレ重要!)
③思ったことを口に出して言ってみる (魔法の呪文のようですが、やるかやらないかで全然違うんです)


さて、第1章、行ってみましょう!



【第1章 カウントダウン】
ここで使うのは
 ・ 筆記用具
 ・ 紙(メモ帳など。今回は小さな折り紙を使いました)
以上。


え?コレだけ?
はい、コレだけでできちゃうんです。

そしてルールも簡単。
1~99の数字の中で、他の誰より大きな数字を書いた方が勝ちです。
ただし、他の誰かと被ったらOUT。

この"被ったら"っていうのがミソなんです。

99を書けば、誰よりも大きい。
⇒でも、みんな同じこと考えるかも。

じゃぁ、もう一つ下げて98!
⇒この教室に20人いるとして、被らない可能性は…?

じゃぁ、もう一つ...って、皆同じこと考えたら実は誰も99って書かない
⇒実は99が狙い目?



考える時間は1分間だけ。生徒さん同士、お互いの心の読みあいが始まりました。
即決する人や静かに熟考する人、うめきながら考える人様々。

今回の結果は…98を書いた男性がお一人だけで優勝でした。
(強気に99を書いた方が6名も。そして一番少なかったのは65。ちょっとビビリ過ぎです)



一生懸命考えて考えて考えて…でも、考えても正解はありません。
運の良し悪しも、勝つための大きな要素です。でも、運だけじゃ勝てません。
同じゲームを同じ人とやっても、毎回結果が違います。



アタマも使うけど、頭だけで勝てるものでもない。
運も必要だけど、運だけでは勝てない。

ドイツゲームの面白さがちょっとわかったかも!?
そんな生徒さんたち、第1章クリアです。



【第2章 フォトパーティ】
フォトパーティはフランス発祥のゲームで、カードとデジタルカメラを使います。
そう、ドイツゲームとは総称で、他の国でも造られているんです。
30年近くドイツを中心に研鑽・発展を続け、多彩な広がりを見せているので
総称してドイツゲームと呼ばれています。

ドイツでは毎年「ESSEN SPIEL」と呼ばれる世界のボードゲーム祭りが開かれて、
会場は熟年層から子供まで4日間で15万人が集まり、大賑わいをみせるとか。
周りのホテルのロビーでは、そこらじゅう地べたに座って始めちゃうぐらい
みんなドイツゲームに夢中なんですって。


さてさて、生徒さん全員でフォトパーティを使ってゲーム開始。

まず10人前後の2チームに分かれます。
10秒のセルフタイマーがセットされたカメラの前に立ち、
「写真を撮られた瞬間に、カードに書かれたお題をクリアしてた人」 が勝ち。

一見聞くと簡単そうですが、これまたお題がニクイんです。
・靴を片方抜いでください。撮られた瞬間、脱いだ靴が中に浮き一番床に近い人。
 (手で持ってたらOUT。床についててもOUT)
・撮られた瞬間、中に浮いてる人
・撮られた写真を真ん中で左右に分けた時に、少ないほうにいる人
 (真ん中のラインに被ってる人はOUT)
などなど。簡単そうで、難しい。

「撮られた瞬間、中に浮いてる人」のお題の時には、良い大人が10人、必死にジャンプをしてます。
ジャンプしすぎてフレームからはみ出してしまった男性も...(もちろんOUTです)


つい、必死になっている自分に気付いたら、第2章クリアです。



【第3章 ゲーム5連発!】
ひと休憩の後は、怒涛のゲーム5連発です。
各テーブルごと5個連続でゲームをしていきます。

今回やったゲームはコレ↓
 ① やぎのかくれんぼ(6つの缶に隠れている山羊の数を記憶のみで当てろ!)
 ② ワニに乗る(”ブレーメンの音楽隊”の様に、動物の積み木を崩さないように積め!)
 ③ ドラゴンの宝物(進化をとげた神経衰弱!)
 ④ おばけキャッチ(カードの条件に該当する人形を、誰よりも早く掴み取れ!)
 ⑤ ハリガリ(場のカードに描かれた様々な果物、1種類が5個になったらベルを鳴らせ!)


1つのゲームの時間は10分。
10分って、短いように感じますが、十分面白さを実感できちゃうんです。
もっとやりたい!って思った頃には次のゲームに変わる時間。
50分があっという間です。

そしてこれらのゲーム、やってるとついつい、声が出ちゃうんです。
本気で悔しがり、本気で笑い... 生徒さん同士、ほぼ初対面のはずが
すっかり昔からの友達の様になっています。


初対面の人が身近になり、すっかり仲良くなったら第3章クリアです。



【第4章 はげたかのえじき と 最強のグループ決定戦】
すっかりグループの調和が産まれた次は、ちょっと大人のゲームで個人戦 & 団体戦です。

ゲームは、手持ちの1~15の書かれたカードを1枚出し、
ランダムに場に出てくる-5から+10の、15枚の得点カードを取り合うゲームです。
誰もが欲しがる+1~10 のカードは、一番大きなカードを出した人が貰い、
誰もがいらないー5~-1 のカードは、一番小さなカードを出した人が貰う。
15枚のの得点カードを取り合った後、手にした合計得点で競います。


そして、ミソになるのが「出し合った手持ちのカードが、他の人とかぶったら対象外になる」というルール。
、、、「カウントダウン」の時と同じですね。
+10 が欲しくて 15 を出しても、他の人とかぶって取れなかったり、
ー5はいらない!と 15 を出しても、他の人が全員かぶって、貰わなきゃいけなかったり
にくい演出してくれます。


自分と他の人の手持ちのカードが何が残っているか、
残っている得点カードは何点があるのか。
戦略を考えること そして 運。

各グループで何回かやりながら、戦略を共有しあいます。
グループ毎の作戦が見えてきた頃に、迎えました。


  最 強 の グ ル ー プ 決 定 戦 


各グループから選出された代表者同士で3回戦実施し、
合計点数が一番多かったグループの優勝です。

さすが各グループから選出されてきた猛者たち。
言葉、表情、カードの選び方、周りで見守る人からの声 etc...
色んな方法で駆け引きが始まります。

白熱する戦いを勝ち抜いたのは、女性だけのグループ。
安定して得点を重ねた結果の、文句なしの優勝です!
優勝したテーブルの生徒さんには、ゲームマスターから素敵なプレゼントがありました。


大人なドイツゲームの楽しみを実感して、第4章クリアです。



【最終章 ハグル】
長丁場を締めくくるのは「ハグル」です。

自分が手にしているのは得点になるかもしれない各種の色紙と、
得点に関する情報の一部が書かれているカード。
参加者どうしで情報交換し、何色をどう集めたら点数が高いかを推測し、色紙の交換をしながら
15分という限られた短い時間の中で最高得点を目指して交渉を進めます。


これが、本当に難しい。
みんな高い点数のカードがたくさん欲しい。
でもペナルティやボーナスなんて条件もあり、たくさん集めれば高得点になるとは限らない。
あっという間に15分たち、得点計算と優勝者決定です。


考えることと運に加えて「交渉力」が求められるゲーム、ハグル。
なんだかすごく勉強になりました。


最終章、ドイツゲームの持つ奥深さを感じて終了です。



【エピローグ】
生徒さん同士が今日の感想を共有している中で
ゲームマスター児玉さんの、ドイツゲームとの出会いは?という話になりました。

きっかけは、日本へドイツゲームを持ち込んだといわれる方が親戚になったことからだったとか。
その方を通じて楽しさと、ドイツゲームの持つチカラを感じた児玉さんは
サラリーマンを辞めた後、”心の栄養士”ともいわれるおもちゃコンサルタント、
おもちゃコーディネーターの資格を取得されたそうです。


ドイツゲームのとりこになった生徒さんから
「どこに売っているの?」との質問が。

おもちゃ屋さんやネットでも、ルールの日本語訳がついたものを購入できるとのこと。
でも、在庫が少ない場合が多いので、一度在庫切れになってしまうと
再度輸入されてくるされるまでに時間がかかるとか。


流通する種類も数も少ないこの日本で、色んなドイツゲームを体感して欲しい!というのも
渋谷にゲームスペース(ドイツゲームスペース@Shibuya)を開かれた一つの理由だったそうです。


「いろんな要素と可能性を秘めている事を知り、
 今後の生活や子育ての一つの選択肢として加えてほしい」
そんな、児玉さんの熱い想いもいただいて、授業は終了です。


先生、生徒のみなさん、素敵な時間をどうもありがとうございました。



(ボランティアスタッフ: 井口 美帆)