シブヤ大学

授業レポート

2012/2/24 UP

きのこ好きはきのこ

「あぁ、潜伏期ですね。」
自己紹介の際に私が先生に下された診断です。


「きのこ好きは、一種の脳内感染」、と言う今日の先生は写真評論家であり、きのこ文学研究家の飯沢 耕太郎さん。
自身の病状は、すでに第4期まで進行しているそう。
きのこ好きの人を「きのこの人」と紹介し、きのこ好きの友人は「菌友」と呼ぶ。
本屋さんできのこ本を探しに、「書棚のきのこ狩り」に出かけ、
情報収集のためにいつも胞子を飛ばしています。


まずは、そんなきのこな先生のきのこ話にどっぷりと浸かりました。
世界のきのこ切手の話しや、世界のきのこ文化、きのこの本を出したい時に回ったきのこっぽい出版社探しの話など「きのこ」をキーワードに話がどんどん広がり、深まっていきます。
きのこ文学に関する話では、
「村上春樹の本は好きだけど、彼はきのこ文学者ではないんですよ。」とのこと。
「彼のベストセラーである『ノルウェーの森』にきのこ狩りにいくシーンがあるんだけど、そこで採っていたのが松茸で、でもきのこな人から言わせると『そこに行ったのなら、もっと違うきのこを採りなさいよー!』と思う」のだそうで。
きのこへの愛情の深さを感じます。
ちなみに先生の言うきのこ文学者は、有名どころで言うと、きのこにまつわる作品が4点もある泉鏡花や、宮沢賢治、そして、北杜夫など、など。
先生はきのこ文学をまとめた本も出されています。


さて、先生のきのこワールドに浸った次は、参加者のみなさんのきのこ話です。
自己紹介として、「私ときのこのエピソード」を紹介してもらいました。

実は、授業が始まる前は、見るからに「きのこ好き!!!(全身きのこ柄とか)」と思うような方はほとんどいないように見えました。でも一度、話を始めると、バッグの中から、スマホの中から、コート脱いだら、と、きのこが出てくる出てくる溢れてくる。聞いているほうもだんだん前のめりになってきて、教室の熱がどんどん上がっていきます。

みなさんの熱い想いに、先生も「それは第2期ですね。いや、3期までいっているか。」と病状を診断したり、「それかわいいよね。(自分も持っている)」と共感したり、「その話、後でじっくりしよう!!!」などと熱い突っ込みを入れていき、場の盛り上がりは最高潮に。

その熱気は授業が終了した後もさめることなく、あちらこちらで、“菌友”ができていました。はじめはきのこの気配がほとんどしなかったのに、もう教室はきのこでいっぱい。



きのこは、森にひっそりとその身を隠すように生えていていますが、食べてみるとすごい旨みがあったり、強烈な毒をもっていたりしますよね。

静かな感じに見えて、実はものすごいパワーと個性をもっていたみなさんを見ていたら、なんだかきのこに似ているかも。。。と思えてきました。
あぁ、私も潜伏していたきのこ病が発病しそうです。


授業を盛り上げてくださった先生、参加者のみなさん、ありがとうございました!
ぜひ、またきのこの会をやりましょう!



(シブヤ大学 事務局スタッフ 増沢 有里)