シブヤ大学

授業レポート

2011/8/8 UP

震災ボランティアは自立を支えること

■はじめに
3/11東日本大震災から4ヵ月、社会学者似田貝香門先生による授業が、
「カフェから広がるまちづくり」をコンセプトとしたTOWN DESIGN CAFEで開催されました。

95年1月に発生した阪神淡路大震災では、救急・救命期におけるボランティア活動は行われていたが、
3月末にはボランティアはほぼゼロになってしまった。
つまり復旧・復興期におけるボランティアはなし。
日本のボランティアは入門レベルで、応用編がないと似田貝先生。
「今日は、ボランティアはこのように活動しなさいと言うつもりはありません。なぜならできないから」
という言葉が印象的でした。


■ボランティアは二者関係ではない
続いて先生より阪神淡路大震災のボランティア活動でわかってきたことと
これからの支援についてのお話がありました。

阪神淡路大震災では仮設住宅での孤独死が5月末までに150名にのぼった。
住宅を用意するだけではただの収容所になってしまう。
東日本ではこのような孤独死を出さないためのコミュニティづくり、ケア可能な仮設住宅が求められる。
ボランティア活動で大切なことは「聴く姿勢」、
相手がどうしてほしいか、何を必要としているかに耳を傾けるということ。
それが自分ではできないことだとしたら、できるひとにつなげていくということ。
それがボランティアに求められている責任(=responsibility)。
二者関係ではなく、様々な人がつながって、つながってボランティアとなる。
これまでのボランティアの支援思想が「社会のため」、「みんなのため」というマクロボランティアならば、
これからの支援のあり方は、「その人のため」という視点に立ったミクロボランティアである。


■自立論としての『銀河鉄道の夜』
授業の終盤では宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を自立と支援の観点から読みときました。

銀河鉄道とは「どこか遠くへ行ってしまいたい」ジョバンニ、溺死したカンパネルラが乗る死者の鎮魂列車。
ジョバンニとカンパネルラは人の幸いとは何かを銀河鉄道の旅で自問する。
カンパネルラを始め他の乗客との関わりからジョバンニの自立が覚醒する。
銀河鉄道はジョバンニにとって自立への覚醒を生み出した場。
『銀河鉄道の夜』からは「他者との支えあいによって成立する自立としあわせ」を読み取ることができる。


■感想
先生のお話はわかりやすく、社会学を学んだことのない私も引き込まれました。
授業後のみなさんから先生への質問を聞いて、
「被災地のために何かしたい」という気持ちをみなさん持っているんだということが伝わってきました。
この気持ちがつながっていくと良いなと思いました。


(ボランティアスタッフ: 鹿沼 茉希子)