シブヤ大学

授業レポート

2011/7/8 UP

オフィスdeフェアトレード!~世界を変えるかも知れない日常のコーディネート術~

フェアトレード衣料品でオフィスカジュアルにコーディネート
~最近のフェアトレード衣料はエスニックばかりじゃないよ!!~


3月に予定していた授業でしたが、震災のため延期となり、
この6月に無事開催することができました。

○フェアトレードってご存知ですか?
人と地球にやさしい貿易のしくみです。
アジアやアフリカ、中南米などの女性や小規模農家をはじめとする、
社会的・経済的に立場の弱い人びとに仕事の機会をつくりだし、
公正な対価を支払うことで彼らが自らの力で暮らしを向上させ、自立できるよう支援します。
(参考:http://www.peopletree.co.jp/fairtrade/

今回は“フェアトレード”を推し進めてきた、(ネットで検索すると上位表示される)
『ピープル・ツリー』表参道店店長の吉田庸子さんに先生をしていただき、授業を開催いたしました。

○ピープル・ツリー
著者はピープル・ツリーというブランドについて授業に出るまで全く知りませんでした。
簡単にピープル・ツリーを紹介します。

ピープル・ツリーは、フェアトレードカンパニーが運営するフェアトレードの専門ブランドです。
オーガニックコットンをはじめとする自然素材や手仕事を活かしたレディースファッション、
ベビー服や生活雑貨などフェアトレードを通じて途上国支援をするブランドです。

世界フェアトレード機関(WFTO)より認証を受けており、
一部商品にSoil Association(SA)認証、有機JAS認証を取得しています。
フェアトレードにかける情熱はすごいものを感じました。

○先生の紹介
表参道店店長の吉田庸子さんが先生です。
小柄な体型からは感じさせないほど元気でおちゃめな先生です。

○教室の感じ
ピープル・ツリー表参道店の店内のレイアウトを授業用に変更しました。
※写真を参考にしてください。

○参加者
Women's商品が多いピープル・ツリーですが、Men's商品もあるんです。
参加者は若い女性が多かったものの、1/3は男性の参加者でした。


<流れ>
前半:ピープル・ツリーとフェアトレードのお話
後半:ピープル・ツリーのアイテムを使った、オフィスファッションコンテスト

●プロローグ
この授業を企画した及川さんから、授業についての説明がありました。

【前半:フェアトレードのお話】
欧米ファストファッションメーカの縫製工場の事故の画像からはじまり、
劣悪な環境下での労働と取引が生み出す悲惨な悪循環の説明から
フェアトレードの話ははじまりました。

たとえば・・・

→インドにおける農民の自殺者数は12年で約20万人。その多くがコットン農家です。

・負のスパイラルから抜け出せずに、死に追いやられる現状。
コットンを売る
  ⇒農薬を買う ⇒コットンを作る ⇒農薬が効かなくなる/天候不順など
    ⇒不作 ⇒高い農薬を買う ⇒借金が返せない ⇒自殺……。

・農民は貸付に大きく頼る生活をしているが、
たとえば害虫が殺虫剤に耐性を持ちさらに多くの農薬が必要になったり、
また天災続きにより作物の出来が悪く収益がコストを下回ったため借金を返せなくなったり、
借金の上にさらに借金をしたりした結果、思い悩み、
自殺により苦しみから抜け出そうとする、というスパイラルができあがる。

・また、インドの人口はおよそ11億5千万人、うち農業人口は72%を占めている。

→バングラデシュ ダッカ
ダッカの縫製工場で働く人たちの多くは農村から出稼ぎに来ており、
低賃金、長時間の労働を強いられています。
たとえば、縫製工場で働くある女性の月給は2300タカ(Taka)※(約3200円)。
しかし、ダッカで一家が人間らしい生活を送るのに必要な金額は約6000タカと言われています。。
(※2009年データ)

→インドのデリーでは児童労働の問題がある

などの諸問題を取り上げた説明がありました。

一方でフェアトレードが普及すれば、
・カースト制度で差別されている人たちや経済的・社会的に弱い立場にある人たちへ公正な労働環境の提供
・公正な賃金の支払い
・教育機関の設立など、コミュニティ支援

など社会に対する大きな支援を行っていくことができます。

※カースト(身分)制度が社会的に根強く残るネパールでは、
多くの人びとはカーストごとに異なるコミュニティーの中で生活しています。
また、カーストにより就くことのできる職種も異なり、
「不可触民」と呼ばれる最下層カースト(ポデ)の人びとは、
街路の掃除と人間の排泄物処理を仕事と定められていました。
今も彼らに強い偏見が残っています。
ピープル・ツリーに手編み製品を届けているネパールのフェアトレード団体は、
ポデの人びとへの識字教育から活動をスタートし、今では2,500人以上の女性が手編みの仕事を得ています。

ちなみにピープル・ツリーが発注することで仕事を得ている人たちは世界中で3800人以上いるそうです!

【後半:ピープル・ツリーのアイテムを使った、オフィスファッションコンテスト】

グループごとに、店内にあるピープル・ツリーの商品を選び、オフィススタイルのコーディネートを実践。
まず、16人を4名ずつにグループ分けして、それぞれにテーマカラー(青、白、黒、ピンク)を決めてもらいました。

各グループは、店内にある商品をなんでも試着できます。
それぞれ『テーマカラー』X『オフィスカジュアル』と
『テーマカラー』X『かっちりオフィシャル』のテーマで通用するコーディネートグループワークの開始です。

一昔前は、フェアトレード商品というと、エスニック風のものが多かったように思いますが、
ピープル・ツリーの商品は、
オフィスや普段着でも違和感のないデザインやクオリティの洋服がたくさんあります。

各グループは、選択できるものが多いため、なかなか選ぶことができません。
どのグループも素敵なコーディネート。

最後はピープル・ツリーのファッションリーダー(!)吉田店長から着こなしのアドバイスもあり、
参加者のおしゃれレベルが向上しました。


優勝チームには、フェアトレードのエコバッグがプレゼントされました。
授業は終了時間になりましたが、参加者のおしゃれ熱も冷めないままおひらきになりました。


<コーディネート時の感想より>
・肌触りがよく、とても涼しく感じる
・オフィスでも着れるようなものが多くてびっくりしました
・このピンクの色合いとかとてもいいですね
・フェアトレードの商品でも細かな織りの技術とか使っているんですね
などなど

●エピローグ
授業終了後も多くの生徒たちは店内の商品を見学(&ご購入した方も)
※吉田店長、ついつい長居してしまいすみませんでした!

(ボランティアスタッフ:宇佐見 典昭)