シブヤ大学

授業レポート

2007/2/20 UP

 

写真写りがおかしくありませんでした?」とシブヤ大学のHPに掲載されたプロフィール写真のフォローから授業をはじめたのは、連続講座レッツ・メイク・エコ!01の石橋先生。授業が始まった途端に、少し早すぎるぐらいのスピードで次々と言葉が繰り出される。それは、おもしろいものを見つけてきたから、伝えたくてしょうがないのだよという一種の証拠。
まるで、付き合いたての恋人に「自分をもっと知ってもらいたい」と思わずしゃべり過ぎてしまっている青春の一コマのような姿。「皆さんもご存知のようにここ数十年で、科学技術の世界はすごい進歩を遂げました。技術の進歩は世の中の様々な問題を解決してくれると、みんなみんな思っていたのに、世の中には依然としてたくさん問題があります」と彼は言う。彼の仕事はコンピューターの研究を通じて、政治・経済・社会に対して工学的係わり方の可能性を探ること。そう。彼は技術を社会に向けてより良く機能させるためのミドルウェアの開発・設計を行っている。そんな彼が注目しているのは、エネルギー資源に関してのエコの話。「究極的にエコで持続可能なエネルギーなんて存在しないんだ」。そう語る彼が目指しているのは、多様/潤沢な選択肢の中から、国や政治家でなく消費者が”どのような資源によるエネルギーが本当に我々に必要なのか”を判断する社会。それが民主主義としてあるべき姿なのだという。
そのためには多くの人がエネルギーの現実について知ると共に、多くの人の前に、多様なエネルギーを選択肢として用意しなければならない。
日本では、風車による風力発電・下水を利用しての水力発電が話題になっているとはいえ、日本のエネルギー供給量からすると雀の涙程度の量でしかない。そして、クリーン電力はコストがあまりにも高く、(太陽光発電による電力のコストは石炭による火力発電のコストの10倍以上)現状では、どこかで誰かが損をしないと、電力会社が電気を買い取ることをできないという大きな問題点を抱える。それはクリーン電力の供給量が少ないために、尚更高価になるという構造的な問題なのだ。彼は言う「渋沢栄一は『論語と算盤』の中で、商人は算盤を叩く前に論語を読み、
世の中の道理を学べと記した」と。誰かじゃなくて、私たち自身が動いていく、その中で社会のニーズを読み取った商人が、良いサービスを提供する。「いいものを買ったら、たまたまエコ」「Hard Eco よりも Soft Eco」「我慢するエコから脱却しよう」表現の仕方がは様々だが、彼が見つけてきた”おもしろくて、伝えたくてしょうがない”ことはこんなことだったのだろう。「当たり前にエコを行っている社会を私達は私達自身でデザインしていく必要があるんだ」授業が終わった後、彼の元にはヤキモチを焼きたくなるぐらい生徒が集まってきていた。彼の行っているプロジェクトにMamenergy Projectというものがある。Synergy(共感)からさらに何かが生まれることによるMamenergy。今日撒かれた”豆”はどのように木となり、どこまで伸びていくのだろうか。そんな期待を抱かせる連続講座の一回目だった。