シブヤ大学

授業レポート

2006/12/25 UP

Keep on Playing

Keep on ~ing =「~し続ける」という意味ですが、決して英語の授業ではありません。今回はタワーレコードでの音楽の授業。

「今日の授業は自分がこれまでやってきたことを振り返る時間にしたい。」と穏やかな口調で語るのは、ミュージシャンの芳野藤丸先生。生徒が先生の日記をめくりながら、過ごしてきた人生の追体験をするような授業でした。

「これまでやってきたこと」とは、もちろん音楽活動のこと。しかし、芳野先生の30年におよぶ実績を一言で表すのは難しいことです。まず、大学のサークルでバンドをはじめ、つのだヒロスペースバンドのギタリストを務めたのち、西城秀樹のサポート・バンドでもある藤丸バンド(後のSHOGUN)を結成。さらに松田優作主演のドラマ「探偵物語」などの音楽を担当し、「バッド・シティ/ロンリー・マン」をリリース。現在もSHOGUNとして精力的にライブ活動を行い、とどまるところを知りません。

芳野先生は大学を4年で中退し、プロのミュージシャンとしての人生をスタートさせました。その時の決意のかたさや音楽に対する情熱は、「物事を自分で決めるときはYESとNOしかない。やるかやらないかのどちらかだ。」「一大決心する時は自分の中にパワーがうまれる。」「(家族や親戚の反対があったけど)自分の道をつっぱしってよかった。」「ギターを抱いて夜寝ていた。」という言葉の数々に表れているのではないでしょうか。

一貫して音楽に携わっている芳野先生ですが、音楽観は経験とともに変化したそうです。バンドをはじめた時は、ただただ弾いて、プレイヤーであることが“音楽”でしたが、スタジオミュージシャンとしてキャリアを積むうちに、“音をつくること”にも魅力を感じ、アレンジャー(編曲家)、プロデューサーとしてのおもしろさを発見されたそうです。アイドルのバックバンドをやりながら、スタジオでは綿密な音作りをする。まったく違うことのように思えるかもしれませんが、どちらも音楽である、と先生は言い切っていました。

「一つのことをずっとやり続けるというのは価値のあること」。これまでも、これからも、音楽に関わり続ける芳野藤丸先生のメッセージには、経験からの確信と未来への意志がはっきりと感じられました。       

(ボランティアスタッフ 秋山恵子)