シブヤ大学

授業レポート

2009/6/24 UP

BAR

「BARは敷居が高い」

なんとなくそう思って、なんとなく避けているけれど、
本当は「行きつけのBAR」が一軒くらいほしい。
そう思っている人は、多いのではないでしょうか。
僕も、そのひとり。

今回は、そんな固定観念をぶっ壊して、
BARを身近に感じる授業となりました。

表参道の裏、神宮球場のほど近く。
本日の先生であるHIDETOさんが
「自分にとっての音楽のようなかけがえのない何かを共有できる場所を」
とオープンした「BAR緑」が教室です。

参加した生徒さんは6名。全員がBAR初心者。
共通するBARのイメージは、やはり
「一人だと入りにくい」「かしこまっていて、ハードルが高そう」というもの。
でも、「本当は行ってみたい」「自分に合ったところを見つけたい」
という気持ちも強く持っていて、今回の授業にかける期待が見えました。

HIDETOさんは、そんな僕らにBARと自分の役割をこう言います。
「BARは、好きな時にきて、好きなように過ごしてもらうところ。
そのために、僕は司会者のような役割をしています。
来ているお客さんたちを見て、この場をその時にいちばんいい雰囲気にもっていきたい」と。

だから毎日、雰囲気は違うとのこと。
今日は生徒さんだけだから、どちらかというとHIDETOさんの話を聞く場になっているけれど、
常連さんたちが多くいるときは、ディベートのような雰囲気になる時もあるらしい。
どうやらBARは、普通の居酒屋やレストランと違って、「場」を楽しむものでもあるんだなと感じました。


「おにぎりとサンドイッチ、どっちがいい?」
HIDETOさんがいきなり質問。
あっけにとられる生徒さんたち。それでも、各々答えていくと…

「この質問自体には、意味はなくて、『山と海』でも『朝と夜』でも、何でもいい。
でも、選択した理由が、その人の考え方、価値観、生き方までが反映されてくるからおもしろい。
自分視点で考える人、国視点や、中には地球規模で考える人もいる。
さっきまでは、隣り合ったお客さん同士だったのに、
質問ひとつでお互いに刺激し合うことができる。これも、BARの楽しみのひとつ」
とHIDETOさんは言います。

確かに。
普通の飲み屋さんでは、知らない人と話すことはほぼないけれど
偶然隣に座ったのが縁で、全く違うフィールドの人と関わることができる。
結果的に、いろんな価値観を吸収することができて、仕事に人生に活きてくるかもしれない。
そう考えると、BARは自分を深化させてくれる場所なのかもしれません。

次に、コーディネーターの松井さんが
自分に合ったBARの探し方を伝授してくれました。
① とりあえず入ってみる!
② 飲み会を企画しているのでお店の中を拝見させてください…といいつつ周りを見回す。
③ いいなと思ったらちょっと飲んでく、だめかもと思ったら「考えます」と言って店を出る。
一同感心。
たくさんのBARから、お気に入りの一軒を見つける。
それにはやっぱり、いろんなお店に行くのが、いちばんなんですね。

「じゃあ、お気に入りのお店を探してみますか」ということで、
もうひとつの目的、表参道裏ツアーBARめぐりの開始。

「BAR緑」を出発して、HIDETOさんと表参道の裏を歩きます。

まずは、「BARボノボ」。
ここは何と一軒屋!そして、中には4軒ものBARが!!
1軒目(1階)レゲエの流れるFREEDOMな空間。
2軒目(2階)ターンテーブルのあるラグジュアリーなBAR。
3軒目(1階)カウンターのあるオーソドックスなお店。
4軒目(はなれ)「大将」という言葉がぴったりのオーナーが切り盛りする大衆居酒屋風。
同じ建物にありながら、一軒一軒が違うBARに感動しつつ、
社会見学的な形なので、客観的にBARとお客さんを見ることができたのが新鮮。
個人的には、はなれにあったところがグッときました。

次のBARは…と思いつつ着いたのは何と、コーディネーター松井さん宅(実家)!
学生一同、不思議な緊張感を覚えつつ「おじゃましまーす」と中へ。
人の実家なんて、高校生以来のような。。
「エクレアとシュークリーム」の選択をしつつ、リビングでひと休み。
こうやって「友だちの家でくつろぐように過ごしたい」というのをBARに求めてもいいかもしれません。

最後は、「BAR C.O.D.」。
ちょうどパーティをしていてかなりの盛り上がり。
みんなでわいわいやるBARといった雰囲気でした。

そして、再びの緑へ。
感想をみんなで話し合い、授業はお開きになりました。
ツアーから戻ってくると最初は緊張していた生徒さんも、すっかり常連さんのように
緑に溶け込んでいる様子が印象的でした。

「BAR」とくくるのは簡単だけど、ひとつとして同じところはなくて。
その雰囲気は、オーナーと客が一緒に作り上げていくもので、
緑を「部室的」と例えるなら、
「VIPルーム的」「友だちの家的」「学校的」なBARだってあるかもしれない。

参加した生徒さんも、それぞれが自分に合ったBARを見つけるきっかけづくりができた様子。
僕も、自分の肌に合ったBARを探してみようと思います。

(ボランティアスタッフ 廣部 行彦)