シブヤ大学

授業レポート

2008/12/11 UP

参議院、衆議院、国会議員、選挙…。
毎日ニュースで聞くこれらの言葉に、自分には関係ないという気持ちや、不信感といった
マイナスのイメージを持っているのは私だけではないはずです。

今回、参議院議員秘書をされている吉武先生に、永田町用語や一日の仕事内容を例に、議員の仕事、国会の構造などをお話していただきました。

吉武先生がまず話してくれたことは、小学生・中学生の頃に勉強した政治の仕組み。
既に知っていると思っていたことも、社会に出てから改めて考えてみると世の中に何故そのシステムがあるのかということが、自分の生活と結びついて感じられます。

政治の基本をおさらいしたところで、授業の後半は質問タイム。
前半のお話を聞いたからこそ浮かぶ生徒さんの「はてな」たちの一部をご紹介します。

はてな①:【議員さんって儲かるんですか?】
「議員歳費の問題がよく言われますが、出費も多いため、決して儲かりはしないと思いますよ。人にもよりますが、基本的に盆も正月もありません。それほどのバイタリティーがあるのなら、他の事業で一山築けるような人が多いですね。金銭目的だとしたら、向いていない仕事だと思います」

はてな②:【国会で話されていることも、選挙もよくわかりません。議員さんが言っていることを知るためにはどうすればいいですか?】
「今、広報にも力を入れる流れになってきています。政治がわからない、魅力がない、と思われてしまっているのは、メディアの映し方のせいもありますが、政党としても、自分たちが何をしているのかしっかり伝えて知ってもらう努力をすることが大切だと思っています。情報を得るためには、今はやっぱりインターネットが一番でしょうか。ただ、広報の部分だけが肥大化してしまうのは嫌だなぁ」

はてな③:【議員さんの仕事についてどう思いますか?】
「個人的な意見ですが、国会議員は若ければいいかというと、そうでもないように思います。真面目にやろうとすればするほど板ばさみになってしまい、難しい。物事をどこに落ち着かせるか、というのが大事な仕事だと思います」

はてな④:【理想の政治家ってどんな人ですか?】
「何かを決めるとき、ベストな妥協点というのはありません。そんな時に、その人が言うならそれで行こう、と納得してもらえる人ではないでしょうか。政策を抜きにすれば、命がけの人。信頼される人、責任のとれる人ですね」

生徒さんから次々出る「はてな」に対し、吉武先生は一つひとつ誠実に答えてくれました。

「僕の通勤時間は、電車+自転車=1時間半くらいです。」
「皆さん疲れていないですか?ちょっとトイレ休憩とりましょうか。」
「授業が終わって、もし質問が浮かんだら僕のメールアドレス宛てに連絡をください。」
普段の生活の中では触れることが出来なかった、政治の世界で働く人のこんな人柄。
吉武先生の想いを知り、政治との距離がぐっと近づいた気がしました。

知りたかったのは、もしかすると、それがどんなシステムなのかではなく、
そこにいるのはどんな人なのか、ということなのかもしれません。

「今のシステムは、bestではなく、betterだから使っている」という吉武先生の言葉。
今の社会では、私たちが選挙で選んだ代表者の手によって政治が行われています。
その代表者や、社会に求めるものがあるのなら、まず「選挙」という仕組みに私たちが
責任を持たなくてはいけないはずです。

人がつくり出すものに完璧なものはありません。
政治も選挙も社会も、私たち自身が選び、つくっていくものなのだと感じることができた授業でした。

(ボランティアスタッフ 中里 希)