シブヤ大学

授業レポート

2006/11/2 UP

授業レポート

日本的で渋いタイトル『先人叡智(優れた知恵)を私の心の中に』
連続講座、第一回目の今回は焼き物鑑賞入門編。
これが世界的にも評価の高い古陶磁専門美術館で行われた。
授業の冒頭では出欠確認の時に配られたレジメに沿って、古伊万里の歴史そして魅力をわかりやすく教えてくれた。古伊万里の歴史は江戸時代初頭に始まり、当時は大量生産されていた中国陶磁器を手本としていたが、日本人の技術向上とともに和様美が加えられていき日本独自の世界観が作り出されていったものだそう。
技法も様々なものがあり、その違いは次のようなもの。
・染付…素地に直接描き透明なガラスをかけて高温で焼く。白地に青い  
 文様。
・色絵…ガラスの上に赤緑黄色などを用いて描き、低温で焼く。染付けと併用
 することもある。
・青磁…微量の鉄分を含んだガラスを焼いたもので青色を呈するものである。  
 青といっても、その色合いは、鉄の量、炎、ボディ、厚さ、気泡などの状態に
 よって、また太陽光によっても見え方が変わり、様々な色幅がある。
 だから「これが青磁色!」とは断定できない。
・サビ…鉄分を含む顔料で黄土色から濃い茶色まであり、これが縁にあると
 格が上がる。

文様については、古くは縄文時代、呪術的な意味を成していたそう。それが時代の経過とともに器面を彩る役割になり、江戸時代には泰平の歴史と時代背景、浮世絵などの文化発展、高度成長した政治経済の様子など日本の表情を反映していくようになったということ。そういった意味で、その時代を生きていた人々の眼差しや想いを時代を超え文様という形で、現代に生きる私たちに語りかけてくれているとも教えくれた。
文様も奥が深く、その種類も植物から架空の動物まで多岐にわたる。その中でも多く用いられていたのが、植物では松竹梅、菊、牡丹、唐草などがあり、これらは、その姿形、特性、生命力や再生力から縁起を担ぐ意味合いがあった。動物では兎、鶴、虎、、鹿が多く、虎には竹、兎には月や波、鹿には紅葉などが定例の組み合わせということ。そして、架空の動物の龍は雨を降らせて作物豊作を叶える神獣であり、帝の象徴であったということも知った。

こういった話を聞き、理解を深めた後、実際に300万円相当の美術品を直に素手で触らせてもらった。(もちろん、注意点はしっかり指導された後に。)
手で触れ、色絵のでこぼこ感、染付けのつるつる感を確認してみたり、実際に持つと、意外と軽いんだぁー…(昔は一般家庭でも普段使いされていたものだからそれもそうか)と、思ったり、貴重な体験をさせてもらいました。ただ綺麗と思うだけの楽しさしか感じていなかったが、このような知識を持ち、テーマを持ってみると美術品も面白いなと思いました。美術品を鑑賞する楽しさの幅が広がったことにとても感謝できた授業でした。

(ボランティアスタッフ  古木 明菜)

<授業後インタビュー>
●1組目
氏名 タナカさんとミズイデさん
住所 都内
年齢 22歳
職業 会社員
感想 「もともと伝統的なものは好きで興味はあったので、今回美術品の   見方にも色々種類があることを知れてよかった。」

●2組目
氏名 ハセガワさんとタグチさん
住所 都内・他県
年齢 24歳・23歳
職業 会社員
感想 「美術品を実際手にとって触れられたことが一番良かった。
   実際見ることは出来ても触れたりすることはなかなか出来ないこと   だから、それが出来たことが、魅力的でした。」
その他 「リピーターです。今日もはしごです。」