シブヤ大学

授業レポート

2008/5/2 UP

「お座敷を通して見つめなおす、日本の心と伝統文化」

渋谷駅から歩くこと5分。周辺の喧騒とは違った佇まいをみせるおでん割烹「ひで」。
本日の授業はこの割烹を教室に、ペンを盃に持ち替え日本の「遊び」を学ぶ、大人でしか味わうことのできない“シブヤ大学らしい”スタイルで行われました。

お店に到着すると仲居さんの“いらっしゃいませ”に出迎えられお座敷へ。生徒さんたちが着席し見渡すと、16人中13人が女性という想像もしていなかった風景。
皆さん口々に“男性が多いのかと・・・。”
そう、本日私達を楽しませてくださるのは「芸者さん」(もちろん女性です!!)。どんな一夜になるのか楽しみな中、チャイム代わりの“乾杯”を合図に授業が始まりました。

まずは生徒さん同士でお酌を仕合います。“会社以外の人と宴会をするなんて、めったにないことですね”と言いながらも皆さん初対面ではありますが和やかなムードの中で美味しい料理を肴に会話もお酒も弾みます。

本日のお料理は割烹料理で仲居さんが皆さんのお酒の進み具合・食べる速度を考えながら給仕して下さいました。食事も進み、生徒さん同士の会話が一段落したころ、本日の先生である喜利家鈴子さん、三味線の小糸姐さん、そしてまだ芸社歴数ヶ月の新人みよしさんの登場です。

姐さんたちが現れた習慣に息をのむ生徒さんたち。姐さんたちにお酌をして頂きながらお酒も一層すすんだところで、本日の「遊び」が始まりました。まずは盃にお酒を順に酌みあい、盃からお酒をこぼした人がその盃を飲み干すというもの。皆さん“自分がこぼしたらどうしよう”と言いながらも顔は“お酒を飲みたいです!! ”と酔いに任せた心裏腹なお座敷芸に皆さん我を忘れ真剣に取り組んでは楽しそうにお酒を飲み干していました。

また、小糸姐さんの三味線に合わせての鈴子さんとみよしさんの唄や踊りでは、小唄や長唄の恋模様にみんな“ウットリ”と浮世を感じました。

今回女性の生徒さんが多かったこともあり、姐さんたちには「男女の駆け引き」「もてなし」に関する話題が多く、また鈴子さんからは、お酌をしたときにお酒があふれてしまったら「ごめんなさい。あなたへの想いがあふれてしまったのよ」といったお座敷での「粋」な言葉や所作を数多く教えてもらいました。花街のお遊びには粋はあっても、下品なものはありません。

私達が体験した空間は、私達がその場で触れるお料理やお酒、お座敷芸といったものだけではなく、畳、障子、器、掛け軸、姐さんの着物、そういった日本古来の職人芸が作り出しています。このお座敷芸一つが衰退していくということは、多くの日本の伝統文化が失われていくことでもあると感じ、学びました。

(迫村 かよ)