授業レポート
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2026/2/13 UP
いまさらですが「KY(ケーワイ)」のすすめ
~新聞が空気を読まない理由とは~
みなさんは普段空気を読まずに生活していますか?私はいつもまわりの空気を読んで行動してしまいます。この同調圧力の強い日本で暮らすには、それも処世術かなと。
でも、今回の授業はいまさらながら「空気を読まない」ことの勧めです。
先生は、「東京新聞はなぜ、空気を読まないのか」の著者である東京新聞元編集局長菅沼堅吾さんです。「新しい戦前」の中で権力を監視する役割を持つ新聞の編集局長として権力と対峙してこられました。

みなさんは新聞を読んでますか?という問いかけでは、「前には読んでいたけれど、今はSNSのニュースを読んでます」とか「電子版を見ています」という生徒さんが多く、紙の新聞を読んでいる人は少数派でした。そういえば、電車の中で新聞を広げている姿を見なくなりました。昔は満員電車の中で上手に新聞を畳んで読んでいる人がいたものです。今はみんなスマホとにらめっこですよね。
先生から新聞の基礎知識、役割、効能に関する講義となりました。
まず、新聞の基礎知識のお話しです。
新聞が読まれなくなったと言われていますが、実際にはどうなのか?
一般紙では2015年4069万部→2025年2,337万部と大幅に発行部数が減りました。
先生によれば、「これを『大変な減り方』とみるか『まだ2,000万部以上読者がいる』とみるかによって違ってくる。新聞は毎日2,000万部以上発行されるわけだから大ベストセラーであり、まだまだ新聞には力がある」ということです。また、減り方も最近ペースが落ちていて、やがては底が見えてくるのではと予想しているとのことです。

新聞の使命は何でしょう?
新聞の使命は権力を監視し「本当のこと」を伝え、警鐘を鳴らすことにあります。(端的には「権力監視」の4文字です)
では、権力監視は何のためなのか?
それは、かけがえのない命と暮らしを守るためです。究極的には国に二度と戦争をさせないことです。だから権力側の「空気を読まない」「読んではいけない」のです。これが先生の著書の題名「東京新聞はなぜ、空気を読まないのか」の答えでもあります。
権力監視が新聞の使命であるとされるのは、次の2点によるものです。
① 先の大戦の反省と教訓です。新聞が満州事変から権力監視を放棄し「大本営発表」を垂れ流し国民を熱狂させることで戦争に加担したこと
② 憲法が予定した使命です。最高裁判決(1969年)が事実の報道について、国民の「知る権利」に奉仕するので「表現の自由」(憲法21条)の保証のもとにあると明示したこと
新聞には、権力の監視と車の両輪であるもう一つの使命があります。それは、「小さな声」の代弁者であることです。記者がいる場所=ニュースの発信地であり、地方紙のキーワードは地域密着であり、支援ジャーナリズムです。ちなみに記者は全国に2025年4月現在14,758人(女性3,926人)もいるということです。
情報が無料で入手できる時代に、新聞は何産業なのか?先生は「幸福産業」だというのが持論だそうです。それは、先生の記者人生最初の記事に答えがあったそうです。
初出勤の日、支局長から「街を歩いて何でもいいから記事にしてみろ」という感じの指示を受けました。街をあてもなくさまよい、保育園か幼稚園の園児が河川敷の斜面で段ボールをソリ代わりにして遊んでいる場面にようやく遭遇しました。写真付きの短い記事を書くと、地域版に何とか載ったそうです。こんなつまらない記事しか書けないのだと嘆いていたら、読者からは「家族の記念になった」「家族で祝いたいから写真を分けて」と感謝の電話が何本もあったということです。
この経験により新聞が人生の幸福に貢献できることに気づいたそうです。
では、新聞の特徴とは何でしょう?
新聞は手紙のように毎日毎日選りすぐりの記事を届けています。情報の主食かつ安全な岩場であると言われます。
SNSとの大きな違いは、次のように整理できます。
① 事実に基づく最終の確認を行う「信頼のメディア」であること
② 世の中を総覧できる「寄り道のエリア」であること
③「定点観測」を行う「熟慮のメディア」であること
また、新聞の効能とは何でしょう?
変革期に生き抜く力、人間力を磨けます。新聞を読むには考えることが必要ですが、動画を見るときは考えなくても済む。毎日読んでいると身につく力としては、読解力、文章力、語彙力、思考力、論理力、共感力、情報力、批判力、雑談力、コミュニケーション能力などがあります。

先生の講義後、机ごとにグループセッションを行いました。それぞれ新聞やKYについて話し合いをしました。
先生に用意していただいた授業当日1月17日の各新聞朝刊の1面トップ記事を調べました。
東京は「公安部元幹部ら賠償負担を」
読売は「国に災害医療支援チーム」
朝日は「顧客から着服など31億円」
毎日は「立公新党「中道改革連合」」
日経は「大型工事、縮む受注余力」
産経は「日伊、戦略的関係格上げ」
というように各新聞はすべて異なった内容を取り上げていました。各新聞がもっとも興味のあることを一面トップ記事に取り上げるわけで各新聞の特性が現れる部分です。異なった視点の新聞が発行されていることに意味があるとも言えます。

私は新聞を宅配してもらっています。毎日読んではいますが、興味のある場所だけつまみ食いです。今回の授業では普段あまり考えたことがなかった「新聞の役割」そして「新聞の魅力」を教えていただきました。総覧性のある新聞は世の中の様々なことが載っているので、毎日じっくり時間をとって、新聞を読むことを楽しみたいと思いました。
そして何より新聞社の皆さんが日々、緊張感をもって権力監視を行い、権力と対峙していることを知り、自分自身も権力に対しては「空気を読まない」ことを心掛けねばと思いました。
先生は、新聞の役割や魅力を発信することを目的に、今後新しく一般社団法人を設立して活動していきたいとおっしゃっていました。紙の新聞が引き続き楽しめるよう私も学んでいきたいと思います。

(レポート:江藤俊哉、写真:秋澤佐智代、佐藤隆俊)
でも、今回の授業はいまさらながら「空気を読まない」ことの勧めです。
先生は、「東京新聞はなぜ、空気を読まないのか」の著者である東京新聞元編集局長菅沼堅吾さんです。「新しい戦前」の中で権力を監視する役割を持つ新聞の編集局長として権力と対峙してこられました。

みなさんは新聞を読んでますか?という問いかけでは、「前には読んでいたけれど、今はSNSのニュースを読んでます」とか「電子版を見ています」という生徒さんが多く、紙の新聞を読んでいる人は少数派でした。そういえば、電車の中で新聞を広げている姿を見なくなりました。昔は満員電車の中で上手に新聞を畳んで読んでいる人がいたものです。今はみんなスマホとにらめっこですよね。
先生から新聞の基礎知識、役割、効能に関する講義となりました。
まず、新聞の基礎知識のお話しです。
新聞が読まれなくなったと言われていますが、実際にはどうなのか?
一般紙では2015年4069万部→2025年2,337万部と大幅に発行部数が減りました。
先生によれば、「これを『大変な減り方』とみるか『まだ2,000万部以上読者がいる』とみるかによって違ってくる。新聞は毎日2,000万部以上発行されるわけだから大ベストセラーであり、まだまだ新聞には力がある」ということです。また、減り方も最近ペースが落ちていて、やがては底が見えてくるのではと予想しているとのことです。

新聞の使命は何でしょう?
新聞の使命は権力を監視し「本当のこと」を伝え、警鐘を鳴らすことにあります。(端的には「権力監視」の4文字です)
では、権力監視は何のためなのか?
それは、かけがえのない命と暮らしを守るためです。究極的には国に二度と戦争をさせないことです。だから権力側の「空気を読まない」「読んではいけない」のです。これが先生の著書の題名「東京新聞はなぜ、空気を読まないのか」の答えでもあります。
権力監視が新聞の使命であるとされるのは、次の2点によるものです。
① 先の大戦の反省と教訓です。新聞が満州事変から権力監視を放棄し「大本営発表」を垂れ流し国民を熱狂させることで戦争に加担したこと
② 憲法が予定した使命です。最高裁判決(1969年)が事実の報道について、国民の「知る権利」に奉仕するので「表現の自由」(憲法21条)の保証のもとにあると明示したこと
新聞には、権力の監視と車の両輪であるもう一つの使命があります。それは、「小さな声」の代弁者であることです。記者がいる場所=ニュースの発信地であり、地方紙のキーワードは地域密着であり、支援ジャーナリズムです。ちなみに記者は全国に2025年4月現在14,758人(女性3,926人)もいるということです。
情報が無料で入手できる時代に、新聞は何産業なのか?先生は「幸福産業」だというのが持論だそうです。それは、先生の記者人生最初の記事に答えがあったそうです。
初出勤の日、支局長から「街を歩いて何でもいいから記事にしてみろ」という感じの指示を受けました。街をあてもなくさまよい、保育園か幼稚園の園児が河川敷の斜面で段ボールをソリ代わりにして遊んでいる場面にようやく遭遇しました。写真付きの短い記事を書くと、地域版に何とか載ったそうです。こんなつまらない記事しか書けないのだと嘆いていたら、読者からは「家族の記念になった」「家族で祝いたいから写真を分けて」と感謝の電話が何本もあったということです。
この経験により新聞が人生の幸福に貢献できることに気づいたそうです。
では、新聞の特徴とは何でしょう?
新聞は手紙のように毎日毎日選りすぐりの記事を届けています。情報の主食かつ安全な岩場であると言われます。
SNSとの大きな違いは、次のように整理できます。
① 事実に基づく最終の確認を行う「信頼のメディア」であること
② 世の中を総覧できる「寄り道のエリア」であること
③「定点観測」を行う「熟慮のメディア」であること
また、新聞の効能とは何でしょう?
変革期に生き抜く力、人間力を磨けます。新聞を読むには考えることが必要ですが、動画を見るときは考えなくても済む。毎日読んでいると身につく力としては、読解力、文章力、語彙力、思考力、論理力、共感力、情報力、批判力、雑談力、コミュニケーション能力などがあります。

先生の講義後、机ごとにグループセッションを行いました。それぞれ新聞やKYについて話し合いをしました。
先生に用意していただいた授業当日1月17日の各新聞朝刊の1面トップ記事を調べました。
東京は「公安部元幹部ら賠償負担を」
読売は「国に災害医療支援チーム」
朝日は「顧客から着服など31億円」
毎日は「立公新党「中道改革連合」」
日経は「大型工事、縮む受注余力」
産経は「日伊、戦略的関係格上げ」
というように各新聞はすべて異なった内容を取り上げていました。各新聞がもっとも興味のあることを一面トップ記事に取り上げるわけで各新聞の特性が現れる部分です。異なった視点の新聞が発行されていることに意味があるとも言えます。

私は新聞を宅配してもらっています。毎日読んではいますが、興味のある場所だけつまみ食いです。今回の授業では普段あまり考えたことがなかった「新聞の役割」そして「新聞の魅力」を教えていただきました。総覧性のある新聞は世の中の様々なことが載っているので、毎日じっくり時間をとって、新聞を読むことを楽しみたいと思いました。
そして何より新聞社の皆さんが日々、緊張感をもって権力監視を行い、権力と対峙していることを知り、自分自身も権力に対しては「空気を読まない」ことを心掛けねばと思いました。
先生は、新聞の役割や魅力を発信することを目的に、今後新しく一般社団法人を設立して活動していきたいとおっしゃっていました。紙の新聞が引き続き楽しめるよう私も学んでいきたいと思います。

(レポート:江藤俊哉、写真:秋澤佐智代、佐藤隆俊)
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