授業レポート
2024/6/21 UP
言葉を紡ぐ〜90年代生まれが出会った沖縄〜
今日は普段改めて考える機会の少ない「沖縄」のことを自分の言葉で話してみる授業でした。 授業は、参加者の簡単な自己紹介と、講師の西さんによる「あなたの沖縄」プロジェクトの紹介から始まりました。参加者の参加動機は人それぞれ。沖縄にルーツを持つ方、住んでいた/仕事で関わったことがある方、沖縄が好きで何度も通っている方など、多様な想いを持った方が集まりました。
講師の西さんが90年代生まれの仲間たちと行なっている「あなたの沖縄」プロジェクト。 この活動のミッションは、90年代生まれの若い世代を中心に、沖縄のことを自由に安心して語れる場を提供すること。WEBコラムの執筆をはじめ、有志のメンバーで読書会を行ったり、ZINEの出版を行っているそうです。 出身も沖縄県内外問わず、沖縄との関わりの濃淡もそれぞれの多様な背景を持つメンバーが執筆活動を行なっています。大事にしているのは、沖縄に対する思いを自分の言葉で素直に表現すること。「書く」という行為を通して自分と向き合い、普段は言いにくいことや自分でも気付いていなかった感情も表現しやすくなると、多くの人々から共感を集めています。
活動への想いを聞いたあとは、実際に「あなたの沖縄」に寄稿されたコラムの紹介がありました。 「アメリカンドーナツ」というコラムは、基地のある街とその周辺をスイーツに例えた絶妙な表現が、まるで甘い香りが漂ってくるようで心に深く響きました。 また、「ミラーリング・ドライブ」というコラムでは、「基地と暮らしの共存する風景に強い郷愁を抱いている」という言葉で、基地の近くで育った者の独特の心象風景を巧みに描いていました。横田基地や立川基地が身近にある東京都八王子市出身の私にとっても身体に染み込んでいた感覚で、思わず共感せずにはいられませんでした。
後半では、参加者それぞれが沖縄への思いをテーマに「プチコラム」を書き、シェアするワークが行われました。「わたしと沖縄」というテーマで、内容や書き方は自由。 原稿用紙の向き、手書きの字、タイトルに滲む個性。短い時間でしたが、みなさんのコラムにはそれぞれの「沖縄観」が表れており、どれも新鮮な気持ちで読むことができました。
私が若い頃は、個人の発信方法といえば厳しいチェックの入る新聞のコラムくらいしか方法がなく、自由に自分の思いを綴ることはできませんでした(ちなみに私の母は、仲間と日常生活を綴る「作文」を書き自費出版していたそう)。 親指一本でどこにいても自分の思いを「つぶやく」ことができる現在は、発信することが簡単になりすぎた、という一面もあるでしょう。しかし、「書く」ということは知的作業を伴います。今回のように、名前も顔も知らない人たちが一つのテーマで「書く」個人的な文章を発表する「場」は、新たなコミュニティの在り方だと感じました。 日々忙しなく変化する社会の中で、未来をつくる世代の発信から共感する人たちがつながる「場」が増えることは、これからの時代にさらに広がりを見せることでしょう。
(授業レポート・写真:高野まさお)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
私が若い頃は、個人の発信方法といえば厳しいチェックの入る新聞のコラムくらいしか方法がなく、自由に自分の思いを綴ることはできませんでした(ちなみに私の母は、仲間と日常生活を綴る「作文」を書き自費出版していたそう)。 親指一本でどこにいても自分の思いを「つぶやく」ことができる現在は、発信することが簡単になりすぎた、という一面もあるでしょう。しかし、「書く」ということは知的作業を伴います。今回のように、名前も顔も知らない人たちが一つのテーマで「書く」個人的な文章を発表する「場」は、新たなコミュニティの在り方だと感じました。 日々忙しなく変化する社会の中で、未来をつくる世代の発信から共感する人たちがつながる「場」が増えることは、これからの時代にさらに広がりを見せることでしょう。
(中).jpg)