授業レポート
2024/1/26 UP
【1泊2日】懐かしくて、新しい。森の京都で見つける、里山の暮らし@京都府綾部市
ワクワクと不安を抱えながら電車に揺られていると、気がついたらそこは綾部でした。
今回は前泊を含めて2泊3日綾部の里山に入り込み、触ったり、匂いを嗅いだり、食べたりと、五感をフルに使って堪能してきました。
駅に集合した私たちはさっそく上林地区に向かうため「あやバス」と言われる綾部市のコミュニティバスに乗り込み出発。
道中、なかなか都心では見られない光景に胸がドキドキすると同時に、田んぼや森などの自然に癒されながら、進んでいきます。
参加者同士の会話も弾み、「今日どこから来たんですか?」や「何時に起きたんですか?」という会話が聞こえてきます。中には朝5時起き(!)で来た方も。
約1時間のバスの旅が終わり、一日目のワークショップ会場である「二王の栖」に到着。
ここでは「今、自分が何を感じているか」をひたすら書き出す、ジャーナリングを行います。この日は12月とは思えない快晴で「好きなところで書いてください~外に出てもいいですよ!」という案内があり、気づいたら参加者の多くが外で、思い思いの時間を過ごします。
一人ひとりが自分に向き合った後は、自己紹介も兼ねて「今どんなことを感じているか」「なぜ綾部に来ようと思ったのか」をグループに分かれて共有。日頃の仕事や喧騒から逃れたかった人、自分を見つめ直したかった人、なんとなく自然に惹かれてきた人など様々な目的や思いがあります。どこの班も会話が大盛り上がり。それぞれ初めましての中で、自分をこんなにさらけ出せるのもこの場所の特徴かもしれません。
二王の栖でおいしい精進料理をいただいた後、3つのグループに分かれてそれぞれの時間を過ごします。
1つ目はネイチャーガイドの児玉さんと綾部の森に入り、植物たちに触れる「森の時間」。2つ目は農家の野田さんと農業を体験する「百姓の時間」。3つ目はその時をゆったりと過ごしながら、薪割りなどを体験する「てづくりの時間」。
私は森の時間を選択し、森の中のハイキングに向かいます。参道である階段を登ると、国宝に指定されている二王門があり、これまでの歴史や文化的な経緯に触れます。
また君尾山に登り、巨木や不思議な形で生育した木々を見たり、まだ少しだけ残っていた紅葉を見たりしながら散策していると徐々に汗がにじんできました。
少し汗をかいた後は、温泉へ。綾部にある、あやべ温泉へ行き、露天風呂から森を眺めながらお風呂を満喫。
温泉から上がった後は、宿ごとに分かれて、それぞれの宿へ出発。私たちは綾部つむぎの杜という所に宿泊します。古民家を改造したこちらの宿は茅葺屋根だったり、漆喰で壁が塗られているなど、どこか懐かしい気持ちにさせてくれる場所です。ほかほかのご飯を食べた後は、同じ宿のメンバー3人でこたつに入り、たわいもないことから、真剣な悩み事相談までおしゃべりをして夜を過ごします。今日初めて会った、よくわからない人のはずなのに、だれにも話せない悩みなどを話せるのは何とも不思議な感覚ですが、修学旅行のような懐かしい時間を思い出させてくれる時間です。
次の日、朝6時ごろに目が覚めて、3人で屋根裏部屋に行き、瞑想したり、日の出を眺めて朝の始まりを迎えます。普段の休日はなかなか朝に早起きができないのですが、ちょっと早起きをして時間にゆとりを持つことで、すっきりした気持ちになれることに気づかされた瞬間です。
朝ご飯を食べ、支度をしていると、徐々に他の宿に泊まっていた参加者の方々も集まってきました。最終日のワークショップ会場はここ、綾部つむぎの杜。
参加者全員でこたつを囲みながら、今感じていることや感想を一人ずつ話していきます。
「気分転換になってよかった」「来てよかった」「人生が変わった」という声や、普段の物の見え方が変わった、感じ方や考え方が変わったという声が多くあったのが印象的です。私も前泊含めた3日間で、素の自分に向き合うことができ、自然に触れることで、忘れかけていた感覚を取り戻すことができたと感じます。
最後はみんなで来年の抱負や今感じていること、印象に残っていることを習字で表します。文字を書く人もいれば、絵を描く人など、表現の方法は自由です。
昼食をいただいた後、名残惜しみながらも綾部とはお別れ。電車に乗っていると段々見慣れた建物や人が多い景色が見えてきます。「あぁ帰ってきてしまった」と思いながらも、「綾部で過ごしたような過ごし方や、自分自身にこんな感性があるんだと知っているだけでも良いと思う。」というある参加者の考えが頭に浮かびました。都会の喧騒に飲み込まれそうになりながらも、帰れる場があることを心にとどめておきたいです。
(レポート:芝千乃)