授業レポート
2019/2/13 UP
夜のスナックから公共圏を考える。
~やわらかい公共圏の未来~
今回の授業は「夜のスナックから公共圏を考える〜やわらかい公共圏の未来〜」と題して講師に谷口功一先生をお迎えしての授業でした。
スナック……どこの街にも必ず存在するお店ですが、今まで研究されて来なかった対象を豪華メンバーによる「スナック研究会」を立ち上げて学術的に研究されています。
「スナック研究会」のメンバーの豪華さは草野球をするために大リーガーを呼んで来ると言うくらいの豪華さだそうです。
授業は、そもそもスナックとは何か?に始まり、スナックの歴史、統計を用いた数字から見るスナックの研究、スナックの現状、スナックの未来を考えると言う講義が中心の授業でしたが大変に楽しく笑いも起きる様な授業でした。
【スナックの歴史】
1964年の東京オリンピックのあたりが今のスナックの始まりのようです。
それ以前は、元祖会いに行けるアイドルのカフェーに始まり、二次会という日本独特の文化による利用などがあり、お洒落な若者のお店から様々な変遷を経て、カラオケの普及により、飲んでおしゃべりをして歌うと言う夜の大人の社交場へと変わって行きました。
【統計によるスナック】全国のスナックの軒数に始まり、都道府県別スナックの分布や人口比率の高さを市町村別に見て行くと今の日本が見えて来ると言うくらい興味深い資料と研究でした。
スナックに多い名前や西高東低の傾向や地域差などに、スナックの持つ役割りが浮き彫りにされていました
【スナックの現状】
ピーク時には10万軒を超えていたと言う数も、現在は7万軒程に減少していますが減少したとはいえ現在でもコンビニの数よりも多いそうです。
全国的な組織が無いなどにより、正確な数字や現状を把握するのは難しいそうです。
それでも商店街が衰退しても最後まで残るのがスナックで、災害の後に最初に復興するのもスナックと、底力の凄さが伺えました。
【スナックの未来】
現在は経営者や顧客の高齢化により衰退の一途を辿っていると思われがちですが、若年層を狙ったニュースナックの登場や女子会、高齢者を対象とした昼カラや介護スナックなど様々な新しい動きがあり、若者の起業する余地がまだまだある分野で希望が持てると言うことが分かりました。これからどんな変貌を遂げて行くのかにも期待したいと思いました。
【スナックの社会的役割】
「夜の公共圏としての役割」
地域の情報が集まって来るディープな場所として選挙などにも役に立つ。
地域コミュニティへのドアとしての役割も持つ。
「レベリング」
職業、年齢、貧富の差などが無い独自の公共圏である。
身分差が無く隣同士で気軽に飲んでお喋り出来珍しい場所である。
「生活情報の共有」
スナックには地域の情報が入ったりする事で防犯機能もある。
繁華街から離れたスナックのある地域は犯罪率が低いそうです。
「カウンセリング機能」
ママさんや他のお客さんと話す事により精神状態が安定する。
日本は病院でカウンセリングを受けると言う習慣があまり無いのはスナックなどの夜のお店が受け皿となっているのかもしれないそうです。
【感想】
「スナックとは日本が世界的に誇る文明論的にも稀な存在である。」という先生の言葉と共に終わったこの授業は、日本全国津々浦々に存在するスナックがこんなにも興味深く奥の深いものであると言う事が分かり、目から鱗でした。
柔らかな話題の時には笑いも起こる和やかな雰囲気の授業でした。
そしてスナックに行った事のある人はもっとスナックに行きたくなり、スナックに行った事も無ければ興味も無かった人が是非行ってみたい場所に変わってしまったと言う意見が印象的でした。
もっともっと色んな事をお聞きしたくなるアッと言う間の授業でした。
(授業レポート:片山朱実、写真:伊藤扶美子)