田北雅裕
九州大学大学院人間環境学研究院専任講師/認定NPO法人SOS子どもの村JAPAN 理事
2018年12月4日(火)19時〜21時 ヒカリエ8F COURT
九州大学大学院人間環境学研究院専任講師/認定NPO法人SOS子どもの村JAPAN 理事
ファシリテーター
シブヤ大学学長
ファシリテーター
編集者/プロジェクトエディター/デザインプロデューサー
子どもの虐待死が話題になっています。子どもがSOSを発していたにも関わらず死に至らせてしまった、心が痛む出来事がありました。難しい案件だったのでしょうが、学校や専門機関の対応以上に気になったのは、子ども自身が駆けこめる場所の少なさです。
田北雅裕さんに来ていただいた12月の都市想像会議では、まさに「家庭で暮らせない子どもたちへの選択肢が少なすぎるのでは」ということが話題となっていたのです。また、本当に助けを必要としている人たちが、助けてくれるところにちゃんとアクセスできるようにし、行動変容に繋げていくためのデザインをもっとしてかなければならないのではないかと。
今回の会議のポイントは二つあります。一つは、困難を抱えている子どもと家族の問題です。 家族のあり方が変わってきている、ということは、この地域福祉のシリーズで何度も出てきた社会背景ですが、「現代は、最初は軽微であっても重篤な虐待へおエスカレートしやすい構造にあるのではないかと感じる」と田北さんは言います。かつてのように大家族だったり、支え合う人がいたことで回避されていたことが、世帯人員が減り、近隣との関係が希薄になり、家族が閉じてしまっているという、子どもと家族をめぐる背景と、地域で子どもと家族を支える仕組みとしての“里親”についての話題を提供してくれました。
もう一つのポイントは、このような課題に対して、デザインはどう活用されるべきか、という点です。“デザイン”と言えば、華やかな広告や商品を売るための見てくれだと考える人もまだ多いのが現状です。「社会的に孤立している人や事象のある場所=デザインが届きにくい領域」だと田北さんが指摘する通り、行政手続きや、相談窓口への誘導など、良いデザイン(わかりやすい、電話しやすい……など)がないものは多々あります。