きゃりーぱみゅぱみゅなどのマネジメントなどを行い、原宿カルチャーを世界に発信しているアソビシステムの中川さんは、原宿に事務所を構えていますが、「このまちならなんでもつくりだせるという気分があった」と言います。おもしろい店やおもしろい人たちが集まる場所に惹かれてくる若者たち。そしてそこで仲間を見つけて、活動していく。お金がなくても楽しめるのは屋外、路上です。ただ、最近、中川さんは「ストリートというか街をゆっくり歩く人が減ったな」と感じるのだそうです。
自由に好き勝手なことをやって都市を遊んでいる人たちが集まっていくと、その場所が魅力的となり、商業的な資本が入ってきたりして活性化していき、その結果としてそもそもお金がなくても楽しんでいた人たちがいられられなくなり、場所の個性がなくなっていくという流れを「ジェントリフィケーション」といいます。例えば、ニューヨークのソーホー地区はかつてお金がないアーティストたちの溜まり場でしたが、徐々に商業資本が入り地価が高くなっていくと、好き勝手に遊べる“余地”が減っていきました。
そうしたジェントリフィケーションを阻止することができるのか。あるいは、自然と若い子たちがとどまれる場所というのをつくることができるのだろうか、という話になりました。 阿部さんはジェントリフィケーションが起きると流れは止められないのだといいます。中川さん自身は、整備された場所は、「自然と若い子たちが溜まれる場所」にはならないのではないか、と指摘しています。また一方で、いま若い子たちはたむろう場所よりもSNSでつながり、つながりのあり場所に集まっていくという指摘もありました。
ジェントリフィケーションが進んだとしても、「お金がないのに都市に出て来ているというのは、やはり居場所を何かしら求めているという話だと自分の10代を振り返っても思う」(阿部さん)、「若い子たちは自分たちの遊び方を発見していく」(中川さん)というように、都市に居場所を探す/見出すという行為こそが、クリエイティブです。阿部さんは「10代、20代のポテンシャルを引き出す都市のあり方もあるはずだ」と言います。
阿部さんが紹介してくれた、ジョルディ・ボルジャという人の「都市とは道に集う人そのものだ。(La ciudad es la gente en la calle)」」という言葉はとても印象的でした。空間だけではなく、道でどんなことが展開されているか、それが拒否されずに需要されていくことも含めて都市だということを感じた時間でした。
最後にみんなで記念撮影