社会的企業は、NPOや会社などさまざまな事業形態をとりますが、西山さんは、社会的企業には3つのポイントがあると指摘しています。それは、多様なパートナーとの連携によって事業を展開し、雇用を生み出し、その利益をコミュニティへの財やサービス提供として還元するという、事業性と非営利性を兼ね備えていることです。
今回お話いただいたイギリスのまちづくり事業体によるコミュニティアセットの運営事例からは、行政府の市民セクターとの連携のあり方、土地利用の混在化による事業性と公共性の両立のポイント、所有権と使用権など、さまざまなポイントを指摘していただきました。
なかでも印象的だったのは、行政の役割です。行政が市民と協働していくための政策転換があり、その転換によって市民セクターがより重要な役割を担うようになっていったというイギリスの事例には、日本の行政府でも展開可能なことがらが多々あるように思われました。同時に、社会的な課題に取り組むNPOや会社の運営方法にも多様なヒントをいただきました。
会場の参加者からは「企業が社会的な活動をすることと、NPOなどの公共的な活動をしているところがビジネスをしていくということのどちらが日本では先か」という質問があり、これに対して西山さんは、「公共サービスを担う主体が、ビジネス感覚を持つことがまず大事」という西山さんのお答えも、とても印象的でした。
行政サービスではこぼれおちてしまう社会的な問題が多々あり、それらを市民とともに解決するための方策としてイギリスで発達してきた社会的企業。こうした市民を主体としてまちづくりを行っていく動きは、イギリスのみならず、世界的に広がっています。日本各地のまちづくりにとっても、とても重要であることを再認識される講義でした。
より詳細な内容は議事録をご覧ください

最後にみんなで記念撮影