では、これからの都市の中でなにをしていけばいいのでしょうか。
「知る」ということに対しては、生活に浸透していくことが大事だという意見で一致しました。しかし、こうして話していくと、なにがマジョリティでなにがマイノリティなのかという境界線はだんだん曖昧になっていきます。「誰もが多かれ少なかれ悩みを抱えている」という意味では誰もがマイノリティの部分を持っています。
「マイノリティの問題というよりも、マジョリティの人たちに自分ごととして考えてもらうという転換のスイッチをいろいろなところにつくること。どうやったら伝わりやすいかを当事者としても考えなければいけないし、非当事者としてもいかに知っていくかという努力も必要」(杉山さん)
「LGBTは、LGBTという言葉のもとに結束感があっていいなと思う。マイノリティと言われる同士がつながって、自分たちなりの努力をしていかないと社会の中でもっと大きな広がりはできないと思う。俺たちもなにかできることがあるんじゃないのか、ということを探しに、他のマイノリティのグループとのつながりをつくる仕掛けやきっかけをつくっていかないといけない」(小林さん)
また、「つながり」ということに関しては、杉山さんによれば、LGBTは家族を持ちにくいということもあって、横に家族を広げていく傾向が強いのだそうです。これはひとつの示唆になりそうです。
「悩んでいても、そんなの当たり前だよ、といってくれる人たちがいるところ。それを意図的につくっていく」(池山さん)
「みんなで楽しんでガハハとやっているところにこそ、必要な空間があるのではないか」(小林さん)
「“強制”ではなく、趣味が合うとか同じノリという人と一緒になっていけばいい」(山崎さん)
「いつでも行ける場所があるという安心感。わかりやすい場所としては、飲食店というのはすごくいい。自分でもタイ料理屋をやっているが、LGBTフレンドリーな店なのではなく、おいしい店が第一。おいしいものをつくっているのがトランスジェンダーの子だということでいい。そうやって慣れ親しんで生活に浸透していくというのが大事」(杉山さん)
「飯を食って飲んだら楽しくて、心の中に持っているものを吐露できる。そんな居酒屋みたいなまちだったらいい」(小林さん)