池山世津子
渋谷区こども総合支援センター長
2015年6月1日(月) ヒカリエ8F COURT
渋谷区こども総合支援センター長
NPO法人モンキーマジック
代表理事
TOKYO RAINBOW PRIDE共同代表/株式会社ニューキャンバス代表取締役
コミュニティデザイナー/studio-L代表
ファシリテーター
シブヤ大学学長
ファシリテーター
編集家/プロジェクトエディター/デザインプロデューサー
2015年6月1日(月)渋谷・ヒカリエ8FCOURTにて、これからの都市を想像し創造する「都市想像会議」の第一回会議が開催されました。テーマは「マイノリティ×都市」。
渋谷区では、この4月に「男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」が制定されました。そこには、「性別、人種、年齢、障がいの有無などによる差別されることなく、人が人として尊重され、誰もが自分の能力を生かして生き生きと生きることができる差別のない社会を実現することは、私達渋谷区民の共通の願いである」と明記されています。この条例では、同性カップルを結婚と同等の関係と認める「パートナーシップ証明書」を発行することができるという項目が含まれています。この条例はLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の人々にとって大きな勇気を与えるものといえます。多様性を尊重する社会を実現する都市として大事な一歩を踏み出したといえるでしょう。
ゲストとして、虐待から障害までを対象に行政として奮闘してこられた、渋谷区こども総合センター長の池山世津子さん、LGBTの認知活動で知られ、ご自身もトランスジェンダーである杉山文野さん、視覚障がいを持つフリークライマーとして、障害者と健常者をつなぐ活動を行っている小林幸一郎さん、コミュニティデザイナーとして全国のコミュニティづくりに関わる山崎亮さんを迎えて、「マイノリティ」という言葉を巡る現状と今後の多様性を内包する都市のあり方について討議を行いました。
討議の中ででてきたキーワードのひとつは「知る」。印象的だったのは、「目が見えない」という障害を持つ小林さんは都市の中では「見える」存在であり、LGBTの杉山さんは都市の中では「見えない」存在であるということでした。白い杖や車椅子などの見える障害を持つマイノリティに対しては、障害者用トイレや点字ブロックなどのハード整備も進み、表面的にはその存在を知られるようになってきていますが、セクシュアルマイノリティは本人がカミングアウトしなければわかりません。セクシュアルマイノリティであることをなかなか人に言えずに悩んでいる人は多い現状を鑑みると、マイノリティに対するマジョリティの認識が変わるだけで「問題はだいぶ軽減される」(杉山さん)のです。池山さんもマイノリティがいること、そしてそのことについて「正しく知る」ことから始まるのだといいます。
もうひとつのキーワードは「紐帯(じゅうたい)=結びつき」です。問題のある子どもを支援している池山さんによれば、子どもの問題は親が抱えている問題であることが多い。例えば自身が被虐体験をもつ親は自分の子どもを愛せない。こうした連鎖を断ち切るには、孤立させず、ひとりにしないというのが「究極の支援」なのだと池山さんは述べていました。問題を家庭内におさめず、地域や社会の中で子育てをしていくこと、つまり相談にのってくれたり励ましてくれたりする「斜めの関係」を新たに横のつながりの中でつくっていく必要があると山崎さんも述べています。たとえば養子の仕組みなどもそのひとつでしょう。