シブヤ大学
イベント

イベントレポート|知りたい!「みんなでつくる」コミュニティ運営


 意外と知らない、ちょっと覗いてみたい、お隣のコミュニティ運営。
シェアードワークプレイスco-ba ebisuとのコラボレーション企画として、企画やプロジェクトをさまざまな人と「一緒につくる」立場の方々を話者としてお迎えし、場づくりやコミュニティ運営について共に考えていくオンラインイベントを開催しました!
登壇者は株式会社TABIPPO、渋谷のラジオ、シブヤ大学。運営事務局がわずか数人ながら、多くのボランティアやインターンを抱えて、さまざまな活動を積極的に働きかけているコミュニティです。
プレイヤーが生き生きと活動する運営の仕組みや、コミュニケーションで大事にしていることとは?シブヤ大学も一緒に学ばせていただいた、貴重な時間となりました。
本ページでは、そのイベントの様子をレポートとしてお伝えします。


登壇者:
株式会社TABIPPO 恩田倫孝
渋谷のラジオ 杉山桃子
NPO法人シブヤ大学 深澤まどか
モデレーターco-ba ebisu 吉田めぐみ

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イベントの趣旨
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-意外と知らない、ちょっと覗いてみたい、お隣のコミュニティ運営

深澤(シブヤ大学):
今回は、「コミュニティ運営」に焦点を当てたイベントです。運営の在り方って意外と言葉にする機会がなく、暗黙知のように現場で運営が進められているといることがほとんど...それってもったいないなと感じました。
「新しくコミュニティをつくりたい」、「場を運営したい」という方が増えていることを肌で感じていることもあり、このイベントを機にお互いの知見を深められたらいいなと思ったのが、今回企画した大きな理由です。
また、日々模索する中で、プロセスから場の運営についてのいろんなことを共有できる仲間が欲しいと思ったのも大きいです。本日聞いて下さっているみなさんが何か新しい活動に生きるアイデアを得られたり、私たちと一緒何かやりたい!と思ってくれるような時間になれば嬉しいです。

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各団体からの紹介
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まずは、各団体の基本的な情報とそれぞれの運営のあり方について紹介。

【株式会社TABIPPO】
2010年、世界一周の経験をした旅人が学生団体として設立し、その後2014年に株式会社として創業。「旅」を広める会社としてもっとたくさんの人に旅への一歩を踏み出してほしいっというシンプルな想いで活動しています。

Visionは「旅で世界を、もっと素敵に。」
Missionは「若者が旅する文化を創る。」、「旅で人生が豊かになる仕組みを創る。」

■コミュニティ例
✓学生支部(学生団体)について
・全国から約400名の学生スタッフが「同世代に旅を広める」ために活動中
✓POOLO(ポーロ)について
「次世代のグローバル人材を育てる学校」
・旅の経験を社会に還元する
・共に学び、共に遊び、共に創る
・僕らの時代でグローバル人材をアップデートする

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【渋谷のラジオ】
2016年開局、無料のアプリから全国で視聴可能!
-聞くラジオから、出るラジオへ。
多くのメディアがある中で、自分事にして聞く人を増やす「寄合所」のような場を目指しています。スタジオはオープンスペースで老若男女、市民がフラットに集まる場所です。
-渋ラジのSNSを使った全国のリスナーとのコミュニケーション

■ボランティアスタッフ
小学生から70代までの60名程度が活動中。
「みんながディレクター」としていきなりミキサーを操作したり、アーカイブの編集やSNS更新を行っている。また「キラキラ部」と称した大掃除もします。
■渋谷の地域とのかかわり
番組の中で地元のお店を回っています。地域イベントのブース出展、特番の放送、職業体験も。
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【シブヤ大学】
―「見つける学び場。」
シブヤ大学とは、まちのあらゆる場所やオンラインを学び場として、多様な授業を開催しているNPO法人です。ボランティアスタッフやサポーター、行政、企業と連携しながら、無料で誰もが気軽に学べる機会をつくっています。

■ボランティアスタッフの活動について
✓主な活動
授業の企画・コーディネイト、授業日の運営・記録、イベントの運営、シブヤ大学をつくる会議への参加、街を舞台にしたイベント(盆踊り大会や文化祭のモニター等)、全体ミーティング(月一回平日夜)、授業振り返り、分科会(例:ファンドレイジングについて)...etc
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-転機は2020年4月、学長交代、HPリニューアルに伴い組織のあり方を再議論。
「事務局だけで回る組織にはしたくない!」
「事務局3名、アイデアも限られる...」
「想像を越えた何かが生まれたい...」
経験やスキルを持っているボラスタがいるのに力を借りないのはもったいないと感じ、内部事情を積極的に開いていくことを意識した運営を行ってきました。


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トークセッション
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どの団体も活動が多岐にわたっていますが、少ない人数で一体どの様に運営しているのでしょうか?
ここでは、トークセッションの一部をご紹介します。

■自発的かつ継続的に関わりたくなる工夫は?(コミュニケーション、仕組みなど)
杉山さん:
・興味のある番組に関われるよう調整したり、出してもらった意見はできるだけ反映する。
→楽しさを見出してもらうのが一番だが、「一緒に番組をつくってる意識」を持ってもらえるようにしている。
・その人の得意分野が生かせる企画等を提案。
・共通点があるボランティアスタッフ同士を繋ぐ。

恩田さん:
・学生支部の場合、熱量があって楽しいことをやりたい人が多いから大きいビジョンを設定。コロナ前は2000人のホールを借りて、旅の大きなイベントを開催。
・POOLOは大きい目標はあえて置かず、共通認識は持ちつつ合う人同士が自発的に繋がり活動できるようにしている。
・(二つの組織で共通)初期に自己開示する時間を設ける。
→人と一緒に新しいことをしたり自発的に活動するには、自分のことを語れないとできないから。

深澤さん:
・楽しくて自発的に関わりたくなる「ハコ」(ミーティングや、活動のきっかけになるシステム)を用意する。
例:担当月制を導入し、10人ぐらいでその月にすることを決めてもらう。
→新しいことをしたりボランティア同士が繋がるきっかけになる。関係性は大事で、「あの人」の顔が見たいから参加しようとなったり、自発的に関わりたくなる。
・役割を決めすぎず、あえて「余白」をつくることでコミュニケーションが生まれたり、事務局の想像を超えるようなことができる。

■コミュニティに愛着を持ってもらうために意識してることは?
杉山さん:
・自分で企画して番組を持てる、ボランティア放送枠を定期的に設ける。
・たとえばアーティスト活動してる人がいたらその人の曲をオンエアするなど、頑張っていることをラジオから発信できるチャンスをつくる。

深澤さん:
・愛着を持ってもらうためではないが、経営状況などをオープンにし持続的な組織を一緒につくっていく姿勢にしたことで、結果的によりコミットしてくれる人が増えました。

恩田さん:
・ 今年のテーマやツイッターのハッシュタグなどを全員で一緒に決める。
・好きなことや強みを生かしたイベント等を企画してもらう。
→自分がいることでコミュニティがかたちづくられると愛着が湧く。

■最後はシークレット企画
さて、ここまで運営側のお話を聞かせてもらいましたが、実際のところボランティアやインターンはどう思っているのでしょう? ということで、吉田さんが各団体に関わるボランティアやインターンにこっそり取材してきてくれました(ありがとうございました!)。

【シブヤ大学】
・自分が入りこむ「余白」が感じられて好き。
→実はこのレポートもボランティア2人で分担することのみ決まっていて、それ以外は任されてます。たしかに「余白」があるからこそ自主的に考えて行動したり、いままで接点がなかったメンバーと連絡を取り合ったり、より関わりたくなっちゃいます。
・何かする時に、こちらの希望を聞いてくれる、間口の広さ。
・いわゆる学校の教育みたいな「学ばせる産業」ではなく、いろんな学びを与えてくれるところがいい。

【渋谷のラジオ】
・「こういうところが好き」じゃなくて、もはや「渋谷のラジオ」という存在が好き。
→ここでは紹介しきれませんが、まるで家族を気遣うようなあたたかいコメントも。杉山さんいわく、「みんなファミリーだ」と、ずっと関わってくれてるチリ人の方や、緊急連絡先を渋谷のラジオにしている(!)一人暮らしの方もいらっしゃるとか。セーフティネットの様なコミュニティってすてきです。

【TABIPPO】
・対等に扱ってくれる。お互いを信頼しているからこそ時に本気でぶつかれる。
・恩田さんのすごい「準備力」、本当に人のことを考えてるところをリスぺクトしてます。
→この方はなんと、スマホの待ち受けをTABIPPOの代表にしているそうです!愛が伝わってきますね。

吉田さん:
取材を経て、いいコミュニティは伝えたい事がボランティアに伝わってるし、ボランティアもその思いを受け取ってアクションしているんだな、と感じました。

深澤:
コミュニティというと大きなものに感じるけど、実際は一人一人の愛や思いが積み重なってできているものなんだな、と改めて実感しました。
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終始、和気あいあいとした雰囲気で進められ、また、参加者からも質問やコメントが投げかけられたり、時間をオーバーしても話が尽きることはありませんでした。
「登壇者のお話を聞くうちに、私にも何かできることないかな、とボランティアのような気持ちになりシークレットを企画しました」と吉田さんが話していましたが、表面的じゃない愛情や思いが運営側にあるから、関わる側もそのコミュニティを好きになるし自発的に何かしたくなってしまう。そういう相互的な関係性が少ない人数でも運営していける秘訣なのかな、とは感じました。
運営側やボランティアなどの立場を超えて、みんなで一緒につくるコミュニティ運営。あなただったらどんなふうにコミュニティをつくって(関わって)いきたいですか?

レポート:堀部奈々、山科美奈