シブヤ大学

授業レポート

2010/7/26 UP

ミュージアム・ギャザリングという楽しみ方

渋谷駅の西側に位置するBunkamuraザ・ミュージアムが今回の授業の教室。
渋谷駅から10分もかからないような場所ですが、
周りのにぎやかな雰囲気とは別世界のようなゆったりとした時間が流れている場所です。

平日の夜の授業ということでシブヤ大学としては珍しい時間帯だったのですが、
たくさんご応募頂いて、みなさん期待大の授業だったようです。


■ようこそ!ナイトミュージアムへ

授業のスタートは、一般のお客様が帰られた後。
誰もいない会場の入り口の扉が開いて、ナイトミュージアムのはじまりです。

入り口にはすでにブリューゲルの世界観が広がっていて、
作品の中に登場するキャラクターたちの3D映像が生徒のみなさんを迎えてくれています。

そして、廣川先生の登場です。
Bunkamuraザ・ミュージアム キュレーターをされていて、
今回私たちに作品の解説をしてくださいました。
Bunkamuraの雰囲気にあったとても気品のある方でした。

まずは、“ブリューゲル版画の世界”の展覧会全体の説明をしてくださいました。

ベルギー王立図書館所蔵のブリューゲルの版画作品と
同世代・次世代の版画を合わせ、150点で構成されているそうです。
風景画や民衆文化、諺など民衆の関心の高かったテーマが反映され、
テーマごとに7つの章にわけて展観されていました。

次に、各章からいくつかピックアップしてポイントや時代背景などの
作品の詳細をわかりやすく解説してくださいました。

どの生徒さんもとても真剣な表情で、先生の説明に頷いたり、
足を止めて作品にぐっと近づいて観てみたりと思い思いに過ごされていました。


■ディナータイムに語ろう

個人で鑑賞できるように15分程のフリータイムをとったあと、
生徒のみなさんと先生、Bunkamuraのスタッフのみなさんとでお待ちかねのディナータイムです。

ザ・ミュージアムを出てすぐのところにあり、
吹き抜けで気持ちのよいドゥ マゴ パリにて、
今回の“ブリューゲル版画の世界”にあわせて作られたメニューのべルギー伝統料理を頂きました。

美味しいごはんを頂きながらまずは近くの席の方とフリートーク。
グッズ売り場のガチャガチャで作品の中に出てくるキャラクターのフィギュアを買われた方が、
早速みんなに披露してくれました。
みなさん興味津々です。
そこで
「平面の原画から、その裏側を想像して立体につくるのって、バランスを考えたりたいへんだったの。」
など、廣川先生やBunkamuraスタッフの方がグッズをつくっているときの苦労話をぽろり・・・。
何気なく見ていたグッズたちも今回のお話を聞いて見方が少し変わったのでした。

そして、ごはんを食べ終ったころに、今日の感想を発表しあいました。
たとえば、以下のような感想を頂きました。

・版画とは思えなかった。詳しく見れば見るほど何かあるんじゃないかと思った。
・ベルギー料理が楽しみだった。
・夜の美術館というだけでわくわく。展示してあるものが動くんじゃないかと思った。(恐らくナイトミュージアムという映画から連想されていたのだと思います。)
・エンターテイメント性の高い作品だなと思った。


その後に、先生への質問などそれぞれの意見交換の時間をとりました。
ブリューゲルにちなんで、ベルギーへ旅行されたことがある生徒さんのお話など、
色んな話に発展してとても盛り上がりました。

丸型のテーブルをつなげて、全員のお顔が見えるようにセッティングされていたので、
どんな方が参加されていたのかなぁとお顔を見ながら、
作品鑑賞後にみんなで語り合うというのがとても新鮮に感じました。



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みなさんからお話を聞いていると、
私のようにナイトミュージアムという単語にわくわくして参加された方や、
ブリューゲルのことをよくご存じで参加されていた方など、
授業の参加動機は様々でした。
楽しみ方も一人ひとり違ってはいたのですが、
鑑賞後に意見交換するというのは、みなさん初めての体験だったのではないでしょうか。
新しい楽しみ方を見つけられたのかなと思います。

個人的には、Bunkamuraスタッフの方々が
いかに作家の世界観や作品の魅力を伝えるか
展示スペースを工夫されていることを知れたことが有意義でした。

確かに、作品をアニメのように映像化したり、キャラクターが天井からぶら下がっていたり、
ソファーの柄になっていたりと観る側を飽きさせないようなつくりに熱意を感じてしまいました。
また、章ごとに分けて構成されていたことからブリューゲルの個性、
作品から見えてきた16世紀のこの地域の宗教や産業、
人々の生活風景などを違った視点から楽しむことができました。

多くの生徒さんもおっしゃっていたように、
今回の授業をふまえて私もまたゆっくり鑑賞しにきてみたいと思いました。


(ボランティアスタッフ 北村 麻那美)