シブヤ大学

授業レポート

2023/12/1 UP

「継承の場面」 その11 能楽師と刀鍛冶が伝えるその世界

今回は、「継承の場面」その11 能楽師と刀鍛冶が伝えるその世界 の授業の様子をお伝えします!

刀鍛冶、日本玄承社の黒本知輝さんと能楽師、重要無形文化財保持者総合認定の小林晋也さんから様々なお話をお聞きしました。
黒本さんは京丹後市からオンラインで参加してくださいました。黒本さんと小林さんは既に7、8年の付き合いで、小林さんは黒本さんが作成した刀を能の中でも使用されているそうです。開始早々仲の良さが分かる会話が飛び交い、私たちも楽しく参加できました。授業はアイスブレイクとして、名前と参加理由を共有する自己紹介から始まりました。刀に興味がある方、能に興味がある方、中にはシブヤ大学に興味があって参加された方など、様々な理由で集まったメンバーでした。実際に小林さんが演じていた能を見に行っていた方や、公演名まで詳しく認知されている方もいらっしゃいました。

始めは、お二方の動画を視聴しました。
黒本さんの動画では刀を作る様子が紹介され、小林さんの動画では、実際に小林さんが能を演じているシーンを視聴しました。画面を超えて迫力を感じる映像や黒本さんから刀を譲り受けるシーンを見ることができました。お二方の紹介された動画はYouTubeにもあるそうです。黒本さんが映してくださった外の景色では、自然豊かで穏やかな京丹後が見られ参加者の皆さんも思わず小さな歓声を上げていました。刀を打つために鳴る「カチカチ」といった音を近隣住民への迷惑を考慮せず奏でることができる環境だそうです。動画を視聴した後に、貴重なお話をいただき、質問タイムがありました。

皆さんが積極的に質問されるので、とても盛り上がりました。
質問の内容では、細かく刀の原料について尋ねてみたり、日本の伝統を背負うことになったきっかけ、1日のスケジュールを尋ねることができました。私の印象に残った質問は、「能と狂言の違いについて」です。一見違うものと捉えられる能と狂言ですが、狂言は能楽師の狂言担当という意味だそうです。小林さんが様々な例えを出して教えてくださる姿が印象的でした。黒本さんのお話では、1日のスケジュールは一般的な社会人と変わりませんとのお話でしたが、刀を研いだり炎を使用したりする場面を学んだ後だったので不思議に思いました。

質問に花が咲き始め、場も温まったところで
能のミニ体験が始まりました。小林さんの指導を基に、黒本さんも画面越しに参加してくださりました。今回は、基本の姿勢から刀を振り下ろす動作。わかりやすい姿勢の指導で、どこに力を入れたらいいのか、どこがキツくなってくるのかなどのお話も聞くことができました。この体験から正しい姿勢を学べたり、重心を置く位置を意識することがとても大変でした。小林さんがどれだけ繊細な動きを舞台の中で行っているかを知ることができました。リモートの黒本さんは刀を振る動作を見せてくださり、それは画面越しでも伝わる迫力でした。

次に企画会議を行いました。
参加者のみなさんと、能楽や刀鍛冶について未来の展望をお話ししました。実際に多くの人に日本の伝統に触れ合ってもらうためにどのような企画を作ることができるのか、参加者のみなさんから先生へたくさんの意見をお伝えしました。ビジネスマンの経済論から疲れたOLの体験事業の希望など、実際に実行することが可能でありそうな意見が飛び交いました。中には、日本の伝統を安売りしないでほしいという意見も出ました。お堅いイメージの伝統工芸、芸能をいかに身近に感じてもらうかも重要ですが、威厳を崩してほしくはないといった思いにみなさん納得のご様子でした。
参加者のみなさんのたくさんの意見が日本の伝統の未来につながることを願います。

最後に1日の感想を共有しました。
「刀と能の組み合わせを楽しめた」
「京丹後市に行きたいと思った」
「伝統芸能の方々と関われた良い機会だった」など、みなさん大満足の講座でした。

講師のお二方と生徒の皆さんとの絆が生まれたような、貴重な時間になりました。
ただ生活しているだけでは触れることのなかった伝統芸能。
今回の講座を通して、とても身近なものになりました。
この「知識」を今度は私たちが継承していきたいと思いました。まずは京丹後や能の地に足を運びたいと思います!

(レポート・写真 岩舘明日香&宮内春菜)

【視聴動画】
【日本玄承社】コンセプトムービー
黒本知輝さん


能「小鍛治」
小林晋也さん