シブヤ大学

授業レポート

2008/1/9 UP

華麗なるアタッシェ・ドゥ・プレス

「アタッシェ・ドゥ・プレス」。
みなさん、この言葉をご存じでしょうか?
恥ずかしながら、私は今回の授業に参加するまで知りませんでした。

直訳すると「報道担当官」。
おや・・・それなら略してプレスでよいのでは??

いやいやそんなこと言ったら伊藤先生に怒られちゃいますよ!
「アタッシェ・ドゥ・プレス」とはファッション業界のPR・広報担当のことです。
「アタッシェ・ドゥ・プレス」はメディアやジャーナリストではなく、メディアやジャーナリストへの情報の送り手です。(英語ならPR、ヨーロッパではアタッシェ・ドゥ・プレスと使うそうです。)

この授業の前半は伊藤恵美先生がお一人で授業を行い、後半からは山室一幸先生も加わりお二人の対談形式で進められました。

「昔は話すのが苦手でしたが、今では一日中でも話していられます。」とご自身が言う通り、リラックスして自分のペースで話しているようなのですが、話が次から次へと止まらず、しかも面白い。聞いている我々をグイグイ惹きつけていきます。いやぁ~ほんとお上手なのです。

もともと伊藤先生はファッションデザイナーとして活躍されておられました。
しかし、「洋服でも基本があり、そこからデザインするのが好きだったが、くずしたものからデザインするのが苦手だった。」「どうも自分で自分の商品を宣伝をするのが恥ずかしい。」など様々な悩みを抱えるようになり、いつしかファッション業界の表舞台から裏舞台で活躍したいと思われるようになったそうです。そんな時、海外で「アタッシェ・ドゥ・プレス」に出会います。そして、国内外でアタッシェ・ドゥ・プレスの仕事を自ら行い、その傍らヨーロッパにあるアタッシェ・ドゥ・プレスの名門養成学校「EFAP」の姉妹校「エファップ・ジャポン」を日本で開校しました。

現在のアタッシェ・ドゥ・プレスの役割について山室先生は「ブランドを生かすも殺すもアタッシェ・ドゥ・プレス次第。アタッシェ・ドゥ・プレスの重要性を認識しない企業はダメになる。」とお話された通り、その重要性は日増しに高くなっています。

しかし、通常ファッションブランドにはそのブランドの社員としてコミュニケーション担当を行う『インハウス』が存在します。そんな中、外部からやってきた広報のプロであるアタッシェ・ドゥ・プレスに求められる役割とは何なのでしょうか?

企業のトップを裸の王様にしない。つまり社員ではなかなか言いづらい間違いを指摘できることにあるのです。のめり込み過ぎてもダメ、冷静さが必要。まさに恋愛と同じようなものなのだとか。間違いを指摘するにしてもズバリ指摘してしまうと当然トラブルになりますので、相手に不快な思いをさせないものの言い方、ここでもコミュニケーション力が大事になってきます。

またアタッシェ・ドゥ・プレスの資質として、「時代を読み取る力」が最も必要とされます。
例えば、今後の日本では所得の格差が広がっていくことにより、これまで一般大衆向けに降りてきていたラグジュアリーブランドがこれから再び高所得者向けに上がっていく。富裕層にもIT企業社長など新しい富裕層が出現する。そしてそれら新富裕層への対応が必要となる。
このように時代背景とそれに対応するマーケットを読み、更にはクライアント企業のトップの意図を理解した上でアタッシェ・ドゥ・プレスの仕事は行われるのです。ファッションだけ知っていればいいわけではなく、まさにオールマイティでないといけないのですね。難しそうだけどカッコいいんですよ!

最後に、伊藤先生がこれからアタッシェ・ドゥ・プレスに求めるものとして、「知識は後からついてくるものなので、まずは人間力を身につける。そして相手から得るだけでなく、いかにしてお返しするかが大切です」とおっしゃったことが非常に心に残りました。

これはアタッシェ・ドゥ・プレスのお仕事だけでなく何事にあてはまりますね。
私も人間力を身につけるため、もっと精進していかねば!!

(ボランティアスタッフ 後藤知宏)

【参加者インタビュー】
1. 水谷さん(女性)
「とても刺激的でした。大学では聞けないような第一線の方のお話が聞けてよかったです。」

2. 小田さん(女性)
「毎回申し込んでいて、今回で3回目の参加です。とても面白く、自分自身たくさん疑問を持てたのがよかったです。」