シブヤ大学

授業レポート

2018/4/5 UP

今夜は、無礼講。2018
  ~円山町に学ぶお座敷あそび

今回の教室は、渋谷の喧騒から少し離れたオトナなまち、円山町のおでん割烹「ひで」。
「初めての方ともお話しできるように」と仲居さんお手製のくじで席が割り振られましたが、おいしいお料理とお酒のためか、
「渋谷に芸者さんがいるとは知っていたけど、どこかわからなくてねえ」
「会社でもなかなか来られないよね!」
と開始前にもかかわらず、皆さん話が弾みます。

軽くシブヤ大学のあいさつと仲居さんからのお話があり、本格的に宴がスタート。
本日の先生であり芸者さんの喜利家鈴子姐さん、同じく芸者さんの小糸姐さんとみよし姐さんの登場でいっそう場が華やぎます。



姐さん方とお話をしながらお料理とお酒がすすみ、生徒さんの気持ちが開放的になる一方、非常にコンパクトな空間ながらも仲居さんと連携して什器を捌いてゆく姐さん方の一つひとつの所作に美しさを感じます。

そんなこんなで一段落ついたころ、楽器などの解説を挟みつつ、唄と踊りが始まりました。
先ほどまでとはまた違った声で唄う、小糸姐さんの三味線、鈴子姐さんの小鼓、みよし姐さんの大鼓をきいて思わず、日常の生活を忘れてしまいました。
そしてその後、すぐに生徒さんから聞こえた「テレビくらいしか…」のつぶやきに、確かにたいていの人がザ・日本の伝統芸能を身近に触れられるのはそういう媒体を通してだなと反省しました。

続けて小糸姐さんの三味線に合わせてみよし姐さん、鈴子姐さんが春の季節に合わせた踊りを披露してくれました。







特等席で拝見させていただいた私には、“美しすぎて直視できない”というのが第一にありましたが、生徒さんもそのようで前に動くときにはのけぞったり身じろぎしたりする方もお見受けしました。
また、先日成人式で振袖を着た身といたしましては“動きにくいはずなのにあんなに色っぽく、なめらかに踊れるなんてすごいなあ”という感想が浮かびました。
扇子の開閉および扱い、かなり動いても安定している首や、男の役をするときは男に見えるところに芸の深みを感じました。
季節絡めの演目しかり、仲居さんや姐さん方のお着物しかり、あらゆるものから季節を感じる贅沢さも満喫できました。

次はお座敷遊びとして「投扇興(とうせんきょう)」なるものをしました。
小さな台の上の「蝶」と呼ばれる的に向かって扇子を投げ、台から落ちた蝶と扇子の形で点数をつける優雅なお遊びです。



はじめ何人かの生徒さんが慎重に挑戦するもなかなか当たらず、苦戦します。
ところが蝶にあたる生徒さんが出てからは「やりたいです!」と「もう一回!」の声に包まれ、皆さんにお楽しみいただけたようです。
「投扇興」への挑戦者が絶えぬ中でも姐さん方は、テーブルクロス引きの風呂敷版(?)でビール瓶を引いてみせてくださったり、「ぺったんぺったん」の唄が印象的な手遊びを見せてくださったりと盛り沢山でした。

授業はじめは、お店の佇まいや帯飾りまできれいな仲居さん、雰囲気のあるお座敷と、少々緊張しましたが、とても開放的な気分になれ、初対面の方とでも仲良くできる素敵な場、時間になりました。

日本文化を写真や動画などの間接的な媒体だけでなく生目(なまめ:鈴子姐さんのおっしゃっていた、「その場にいる自分の目」の意)で見る大切さを思います。



(レポート:しばたま、写真:吉川真以)