シブヤ大学

授業レポート

2018/3/28 UP

受け取るだけじゃない、ガーデンジャーナリズムにみる情報との接し方。

メディアやインターネットが発達した現在、世界には沢山の情報が溢れています。皆さんはどのような情報を信じ、収集していますか?今回は、ITやネットワークの分野で活躍される伊藤先生にお越しいただき、メディアの現在の在り方や情報収集のコツについて教えていただきました。

■メディアの現在■

 まずは、具体的なデータに基づき、現在のメディアの在り方を紐解いていきます。『情報通信白書』によると、最近はネット利用の増加に伴い、新聞・テレビの利用率が低下しています。特に、20代の平日1日のネット利用時間は155.9分とかなり長時間!皆さんはいかがでしょうか?通勤・通学時間、休憩時間、家に帰ってからのほっと一息時間…ついついインターネットにアクセスしてしまうことはどなたにでも経験があるのではないでしょうか。教室内の意見としても、ニュースサイト等ネットからの情報収集を頼っている人が多いことがわかり、「新聞は読むけれどタブレットを使っている」なんて声も聞かれました。
 新聞やテレビといった既存メディアの減少には、SNSの普及により情報との出会い方が変わってきていることも影響しています。代表的なSNSの中で特に近年利用率が上がってきているのがLINE。2012年から2016年の4年間で、その利用率は20.3%から67.0%へと3倍以上に上がっているそうです。コミュニケーションツールとしてだけでなく、企業やメディアのアカウントをフォローすることにより様々なニュースや情報を得ることができます。伊藤先生もLINE公式アカウントからの情報収集はおすすめだと仰っていました。次はTwitterに話が移ります。Twitterは情報に双方向性があり、自分の意見や考えも気軽に投稿できることが特徴の一つです。情報収集だけでなく発信者・拡散者になることができる一方で、デマやフェイクニュースが一瞬で世界中に広まるリスクもあります。その情報が真実だと保証されているとは限らない為、公平性・正確性に重きを置いている既存メディアとは対照的な存在だと言えるでしょう。自分の好みに偏った情報だけでなく、あえて自分と違う意見のアカウントをフォローすることにより新たな見解を得ることもできます。教室内からは「調べ物をするために使っている」「即時性があり新しい情報を知ることができる」「でも自分は発信者になりたいとは思わない」という意見がありました。



■フェイクニュースかどうかの見極め■

 先に述べたように、メディアやSNSの普及によりフェイクニュースが世の中に一気に拡散されることも珍しくはありません。特に最近はAI技術により個人での写真・動画の編集が可能となり、偽物の情報が真実のように捉えられしまうこともあります。では、どのようにしたらフェイクニュースかどうかの見極めができるのでしょうか?伊藤先生は対策の一つとして、発信者を追いかけることを挙げられました。SNSではリツイートやシェア等で情報源である発信者がみえなくなります。元をたどっていくと誰の発言なのか?各ジャンルの専門家はどのような意見を出しているのか?情報の信憑性を確かめるためには、受け身で情報を得るのではなく、自ら追究していく姿勢が大切なのだと思いました。



■GARDENの紹介■

 SNSで情報を気軽に発信できる時代、自分たちの手でメディアをつくることはできるのでしょうか?今回ご紹介する「GARDEN Journarism」は従来とは違ったメディアの形で、事実(種)を発信し、育てています。子供の貧困や地域活動といったごく身近な問題から国際問題まで、あまり世の中に知られていない活動や人を取材し、「小さな主語」による情報発信を実現しています。また、「GARDEN」のHPをみると、ニュースの右下に4つのアイコンが表示されています。「取材したい」「寄付したい」「参加したい」「共感する」。読者はただニュースを読み流すのではなく、アクションとして協力することができるのです。一つの種を、みんなで支え育てていく…徹底した取材による確かな情報と読者の協力。「GARDEN」の存在は新時代のメディアにふさわしいものだと言えるでしょう。



■おわりに■

 普段「なんとなく」情報に触れている私は、情報収集の判断軸や偏りなど意識したことがありませんでした。しかし伊藤先生の授業を受けて、情報が氾濫する現在において自らがその情報の質を確かめる大切さを知りました。そして、ただ受け取るだけではなく、自分自身の行動に繋げていきたいと思いました。



(レポート:ひっとぅー、写真:野原邦彦)