授業レポート
2017/11/24 UP
東西南北で三味線はこんなに違う!
-演奏体験とLIVE STAGE-
季節はずれの超大型台風(その名もLan=嵐!)カミングな週末。
「東西南北で三味線はこんなに違う!-演奏体験とLIVE STAGE-」に参加してきました。
今回の会場は、恵比寿社会教育館の音楽室です。
嵐の中、生徒さんがちゃんとたどり着けるか心配しておりましたが、開場前から続々と集結。
室内からは何やら素敵な音色が漏れ聞こえています。チューニング真っ最中のようです。
今回は演奏体験のみならず、先生方のライブステージまで聴けるとのこと。
ワクワク!
■講義で知る“東西南北の三味線”とその特徴
本日の先生は、長唄三味線(ながうたしゃみせん)方の
穂積大志先生、川東陽華先生、津軽三味線奏者の中田誠先生です。
えーと・・・早速ですが、長唄三味線とは何でしょうか・・・? 私は分かりません(汗)
ということで授業スタートです!
三味線の歴史は室町時代まで遡ります。
【中国】の「三弦(さんしぇん)」が【琉球】へ渡来し「三線(さんしん)」となり、
その後、【大阪(堺)】にて琵琶法師が日本の楽器として改良、発展させたものが「三味線」です。
大阪にて改良された三味線は、時を経て【江戸】、【地方】へと拡がりを見せ、
各々の文化に合わせてさらに自由に改良され、日本固有でありながら各地で違う音色を奏でる弦楽器となりました。
■贅沢!4地域の三味線聴き比べ
歴史と変遷について学んだ後は、それぞれの地域の三味線を深く掘り下げます。
ここではなんと贅沢にも、それぞれの三味線を用いて先生方が演奏してくださいました。
比べてみると、その見た目も音色も異なることが分かります。
【北】青森県津軽地方~津軽三味線(つがるしゃみせん)
津軽民謡と共に発展。驚くことに「津軽三味線」として分類化されたのは昭和40年代、
もっとも新しい三味線音楽ジャンルとのことで、他文化とのコラボも積極的に行っています。
「しゃみせん」=「津軽三味線」と思っていた方、多いのではないでしょうか。
見た目も太く大きく、ベベベン!と威勢の良い音はお祭りに来たようです。
【南】琉球地方~琉球三線(さんしん)
琉球民謡、琉球舞踏と共に発展。国内の三味線で一番古くからあるものです。
小型で扱いやすく、水牛の角で出来た「義爪」を使用し爪弾きするのが特徴です。
皆さんがイメージする琉球、そこには青い海とこの三線の音色があるのではないでしょうか。
私にはおうちを開け放ってみんなでカチャーシーを歌い踊る情景が見えました!
【西】関西(京都・大阪)~地歌三味線(じうたしゃみせん)
当道(とうどう=盲人の職業組合)による作曲・指導で発展。
複雑な奏法・リズムが特徴で、室内楽向きです。伝来当初の三味線のなごりが一番強く残るものとのこと。
京都でお座敷遊びをするってこんな感じでしょうか・・・はんなり・・・。
【東】関東(江戸)~長唄三味線(ながうたしゃみせん)
歌舞伎と共に発展。芝居のBGM・舞踏音楽として、歯切れのよい音質とリズミカルな演奏が特徴的です。
「夜になった」「季節が変わった」など、芝居の場面転換にも用いられます。
本日の先生方のご専門の三味線、このあとのライブが楽しみです!
■“長唄三味線”をひいてみよう!
さて。
小休止のあとはいよいよ三味線の演奏体験の時間です!
生徒さん2人に1挺ずつの長唄三味線と、楽譜が配られます。
曲目は「かごめかごめ」「げんこつ山のたぬきさん」 。
聴きなれた曲ではありますが、楽譜には音符のほかに見慣れない「2・3・4・7」と数字が付与されています。
これはそれぞれ、「弦のどこをどの指で押さえるのか」を表しているそうです。
そうは言っても棹に番号が振っているわけではない…ので、
どこまで指を移動させればいいのか、その加減がなかなかつかめません…!
先生方が見て回って、ばちの持ち方や、弦の扱いなどを親切丁寧に教えてくださいます。
そのうち生徒さん達同士で助け合う姿があちこちで・・・皆さん真剣ですね!
わずかな時間ではありましたが、2曲を3回ずつ弾いたころには皆さんの音がそろってきました。
三味線は初めて、の方ばかりだったのにすごい上達です!
達成感のみならず、団結力まで高まって、みなさんいい表情をされていました。
■先生方による 三味線LIVE STAGE開演!
盛りだくさんの本日の授業も、いよいよ終盤。
ついに・・・ 先生方によるライブステージが始まります!
題して、『長唄三味線―『歌舞伎』に聴く、江戸の粋』
まず、芝居のBGMとしてー季節・情景・時間の描写する演奏をしていただきました。
『佃合方(つくだのあいかた)』は隅田川を象徴した手ですが、
チャラリチャラリ・・と弾く音のスピードや強さを変えることにより、川の流れの緩急を感じ、
また、『虫合方(むしのあいかた)』ではチンチロチンという音で夏~秋の静かな夜を思い浮かべることがきました。
最後に歌舞伎の代表格『勧進帳』を披露していただきました。
本番では三味線を10挺も用いた大編成になるそうです。
ゲストとして穂積先生の生徒さんも参加され、今回は3名での演奏でしたが、それはもう圧巻のライブでした!!
■よく知らないのに…懐かしい
講義あり、演奏体験あり、ライブあり。時間いっぱい使って、本日の授業は終了です。
生徒さんからは
「なかなか三味線に触れる機会がないので、じっくり学べ、演奏体験もできて楽しかった」
という声が多く聞こえました。
最後のライブでは、同じ場所にいるはずなのに、歌舞伎座の舞台を客席から観ているような、
緊張感のある一線がそこには存在しました。
音だけで包む空気までも変えることができる。
よく知らないのに、なぜか懐かしい…そんな気持ちにさせる三味線の音色。
その進化の背景には、各時代の奏者たちの音色・余韻への徹底したこだわりがあったのですね。
なんとなく敷居が高いと感じていた三味線ですが、からだにすっと染み込む音色が気持ちよく、
その歴史も知ることでとても身近なものに感じることができました。
みなさんもその敷居、ひょいと飛び越えてみてはいかがでしょうか。
(レポート・写真:山口知圭子)
★はじめての三味線教室(穂積先生 主宰/恵比寿・代々木上原)
「東西南北で三味線はこんなに違う!-演奏体験とLIVE STAGE-」に参加してきました。
今回の会場は、恵比寿社会教育館の音楽室です。
嵐の中、生徒さんがちゃんとたどり着けるか心配しておりましたが、開場前から続々と集結。
室内からは何やら素敵な音色が漏れ聞こえています。チューニング真っ最中のようです。
今回は演奏体験のみならず、先生方のライブステージまで聴けるとのこと。
ワクワク!
■講義で知る“東西南北の三味線”とその特徴
本日の先生は、長唄三味線(ながうたしゃみせん)方の
穂積大志先生、川東陽華先生、津軽三味線奏者の中田誠先生です。
えーと・・・早速ですが、長唄三味線とは何でしょうか・・・? 私は分かりません(汗)
ということで授業スタートです!
三味線の歴史は室町時代まで遡ります。
【中国】の「三弦(さんしぇん)」が【琉球】へ渡来し「三線(さんしん)」となり、
その後、【大阪(堺)】にて琵琶法師が日本の楽器として改良、発展させたものが「三味線」です。
大阪にて改良された三味線は、時を経て【江戸】、【地方】へと拡がりを見せ、
各々の文化に合わせてさらに自由に改良され、日本固有でありながら各地で違う音色を奏でる弦楽器となりました。
■贅沢!4地域の三味線聴き比べ
歴史と変遷について学んだ後は、それぞれの地域の三味線を深く掘り下げます。
ここではなんと贅沢にも、それぞれの三味線を用いて先生方が演奏してくださいました。
比べてみると、その見た目も音色も異なることが分かります。
【北】青森県津軽地方~津軽三味線(つがるしゃみせん)
津軽民謡と共に発展。驚くことに「津軽三味線」として分類化されたのは昭和40年代、
もっとも新しい三味線音楽ジャンルとのことで、他文化とのコラボも積極的に行っています。
「しゃみせん」=「津軽三味線」と思っていた方、多いのではないでしょうか。
見た目も太く大きく、ベベベン!と威勢の良い音はお祭りに来たようです。
【南】琉球地方~琉球三線(さんしん)
琉球民謡、琉球舞踏と共に発展。国内の三味線で一番古くからあるものです。
小型で扱いやすく、水牛の角で出来た「義爪」を使用し爪弾きするのが特徴です。
皆さんがイメージする琉球、そこには青い海とこの三線の音色があるのではないでしょうか。
私にはおうちを開け放ってみんなでカチャーシーを歌い踊る情景が見えました!
【西】関西(京都・大阪)~地歌三味線(じうたしゃみせん)
当道(とうどう=盲人の職業組合)による作曲・指導で発展。
複雑な奏法・リズムが特徴で、室内楽向きです。伝来当初の三味線のなごりが一番強く残るものとのこと。
京都でお座敷遊びをするってこんな感じでしょうか・・・はんなり・・・。
【東】関東(江戸)~長唄三味線(ながうたしゃみせん)
歌舞伎と共に発展。芝居のBGM・舞踏音楽として、歯切れのよい音質とリズミカルな演奏が特徴的です。
「夜になった」「季節が変わった」など、芝居の場面転換にも用いられます。
本日の先生方のご専門の三味線、このあとのライブが楽しみです!
■“長唄三味線”をひいてみよう!
さて。
小休止のあとはいよいよ三味線の演奏体験の時間です!
生徒さん2人に1挺ずつの長唄三味線と、楽譜が配られます。
曲目は「かごめかごめ」「げんこつ山のたぬきさん」 。
聴きなれた曲ではありますが、楽譜には音符のほかに見慣れない「2・3・4・7」と数字が付与されています。
これはそれぞれ、「弦のどこをどの指で押さえるのか」を表しているそうです。
そうは言っても棹に番号が振っているわけではない…ので、
どこまで指を移動させればいいのか、その加減がなかなかつかめません…!
先生方が見て回って、ばちの持ち方や、弦の扱いなどを親切丁寧に教えてくださいます。
そのうち生徒さん達同士で助け合う姿があちこちで・・・皆さん真剣ですね!
わずかな時間ではありましたが、2曲を3回ずつ弾いたころには皆さんの音がそろってきました。
三味線は初めて、の方ばかりだったのにすごい上達です!
達成感のみならず、団結力まで高まって、みなさんいい表情をされていました。
■先生方による 三味線LIVE STAGE開演!
盛りだくさんの本日の授業も、いよいよ終盤。
ついに・・・ 先生方によるライブステージが始まります!
題して、『長唄三味線―『歌舞伎』に聴く、江戸の粋』
まず、芝居のBGMとしてー季節・情景・時間の描写する演奏をしていただきました。
『佃合方(つくだのあいかた)』は隅田川を象徴した手ですが、
チャラリチャラリ・・と弾く音のスピードや強さを変えることにより、川の流れの緩急を感じ、
また、『虫合方(むしのあいかた)』ではチンチロチンという音で夏~秋の静かな夜を思い浮かべることがきました。
最後に歌舞伎の代表格『勧進帳』を披露していただきました。
本番では三味線を10挺も用いた大編成になるそうです。
ゲストとして穂積先生の生徒さんも参加され、今回は3名での演奏でしたが、それはもう圧巻のライブでした!!
■よく知らないのに…懐かしい
講義あり、演奏体験あり、ライブあり。時間いっぱい使って、本日の授業は終了です。
生徒さんからは
「なかなか三味線に触れる機会がないので、じっくり学べ、演奏体験もできて楽しかった」
という声が多く聞こえました。
最後のライブでは、同じ場所にいるはずなのに、歌舞伎座の舞台を客席から観ているような、
緊張感のある一線がそこには存在しました。
音だけで包む空気までも変えることができる。
よく知らないのに、なぜか懐かしい…そんな気持ちにさせる三味線の音色。
その進化の背景には、各時代の奏者たちの音色・余韻への徹底したこだわりがあったのですね。
なんとなく敷居が高いと感じていた三味線ですが、からだにすっと染み込む音色が気持ちよく、
その歴史も知ることでとても身近なものに感じることができました。
みなさんもその敷居、ひょいと飛び越えてみてはいかがでしょうか。
(レポート・写真:山口知圭子)
★はじめての三味線教室(穂積先生 主宰/恵比寿・代々木上原)