シブヤ大学

授業レポート

2017/11/1 UP

パンプスでさっそうと歩きたい!
初心者ヒール術

今日は千駄ヶ谷社会教育会館で女性限定の「パンプスでさっそうと歩きたい!初心者ヒール術」の授業でした。
授業を担当してくださった講師の先生は日本橋でパンプスクリニックサロンを経営されている小野崎記子先生。



授業時間が近づくと受講生の方が続々と集まり、途中参加の方含め欠席者なしの授業となりました。この授業に対する女性の関心の高さが伺えます。
まずは先生から講義形式で授業が進み、その後キネシオテープを使用し実践へと授業が進んでいきます。

・足もとの悩みの「足もと」とは?
足の悩みと聞いて思い浮かべることは何でしょうか。
「タコや魚の目が痛い」「むくみがひどい」「足に合う靴がない」「足が疲れやすい」
・・・など悩みは尽きません。
仕事でパンプスを履く機会のある女性なら、
一度は「自分の足に本当に会う靴」を探したことがあると思います。
私達は自分の足に合う靴を探し、なかなか自分の足に合う靴に出会えないと嘆くわけですが、
靴の悩みは足もと、つまり足と靴と歩き方(姿勢や重心など)を含めて考える必要があるそうです。
靴を買っても成功確率はわずか10%と言われる裏には、間違った靴の選び方だけでなく、
パンプスを履きこなせない足自体の弱さや正しい歩き方ができていない(知らない)、などがあります。
このあと先生の講義では強い足づくり、正しい靴の選び方、正しい歩き方のお話が続きます



・強い足づくり
2足歩行である私たち人間の足には他の哺乳類にはない構造や機能があります。
それが足裏のアーチとふくらはぎです。
足裏には体のバランスを維持し、歩いた時の衝撃を吸収するアーチがあります。
アーチは橋の構造などにも使われていて、力学的に重力を分散させるとても強い構造です。
足指を使うことによってアーチは形成されていきます。
運動量が足らず足の筋肉が弱いと体を支えるため違う筋肉や関節が補完、負担することになり、
膝痛や腰痛など引き起こしてしまうこともあるそうです。
アーチは足裏の筋肉です。土ふまずという言葉を聞いたことがある方は多いと思いますが、土ふまずは足裏アーチの1つです。
土(地面)を踏んでいないところがちょうどアーチの弓形になっているところにあたります。
扁平足(へんぺいそく)とはこの土ふまずが落ちてしまった=筋肉がなくなってしまった足のトラブルだそうです。

次にふくらはぎについてです。心臓から全身を巡る血液。
足に届いた血液を心臓に押し上げるのがふくらはぎにある静脈血を上半身に戻す動き。
脚の筋肉がポンプのような機能を果たし、つま先の血液が心臓に戻ることができるのだそうです。
女性の場合、ヒールのある靴などによりこの動きを阻害されることが多かったり、
お仕事によって立ちっぱなしや座りっぱなしで動きが悪くなることで、ふくらはぎがむくんでしまいします。
強い足=足に強い筋肉がつくためにはまず歩くこと。
人間の体は「立つこと」ではなく「歩くこと」を前提に組み立てられており、
私たちは、よい足によい靴を履いて、正しく歩けば歩くほど、
健康な体になれる仕組みが備わっているそうです。



・正しい靴の選び方
靴を選ぶときに基準と言われてまず思い浮かぶのが、
足のサイズ、つまり爪先からかかとまでの長さになると思います。
女性の場合、ワイズ、つまり幅を見て選ぶ方も多いのではないでしょうか。
靴裏を見るとサイズの横にEやEEなどが書いてあるものがそうです。
足の幅が広いと思っている方はEやEEEを選ぶことが多いと思いますが、
このワイズ、JIS規格ではAからFまであるそうで、今まで沢山の女性の足を見てきた先生曰く、
最近は足の甲が薄く細い足の方が増えているそうです。
まずは自分の足のサイズと共に正しい幅を知ることが正しい靴を選ぶポイントになります。

続いて土踏まずの下を支える鉄板であるシャンクやかかと部分芯であるヒールカウンターなど、
足を支えてくれる強い構造の靴を選ぶことやヒールの接地面積が大きく、
安定する靴を選ぶことも大事な要素だそうです。
また本革で作られていることがなぜ大事なのかについても説明がありました。
足は体の中で最も汗をかく場所です。
本革には天然の汗腺があり、靴の中にこもった湿気を外に逃がしてくれます。
また本革は足に馴染むだけでなく、
たくさん歩いて皮が伸びても2〜3日すると自然に元に戻る性質があるそうで、
本革の靴は毎日履かない方が持ちが良いと言われる理由に納得します。
最後に先生が仰った良い靴選びで大事なこと、
「自分が気に入っていること!」気に入らない靴は履かなくなるのでこれは大前提だそうです。



・正しい歩き方
ここから実践に入ります。
まずは受講生の皆さんに素足になっていただき先生の前で10メートルほど次々に歩いていただきます。
先生は一人一人の歩く姿を真剣な表情で見ていて、みなさんちょっと緊張気味です。
歩き終わったところで先生から正しい歩き方の説明があります。
歩き始めの片足を上げて前に出した瞬間、膝はしっかり伸びています。
上げた片足が地面に設置する時に、後ろ足が地面から離れるのですが、
後ろ足の足指はしっかり地面を掴んで、体全体を前に押し出すように強く地面を押す!!ここがポイントだそうです。

私たちは子供の頃に特に歩くためのトレーニングを受けることはほとんどなく
自然に自己流で歩いてしまっていますが、
欧米では子供が小さい時にきちんとした歩き方のトレーニングを行う文化があるそうです。
正しい歩き方で歩くことができておらず、歩く機会自体も減ってしまうと、
足の筋肉は弱くなり、骨格を束ねる足の筋肉量が不足するため、足が崩れて開張足となり、
横幅の広い足にみえるようになるそうです。
幅が広い足は足の筋肉が弱く崩れてしまった状態のこともあるそうです。



・足裏テーピング
正しい歩き方はわかったものの、
足自体が弱くなっている状態でうまく歩けるのか?という課題にぶつかります。
ここで先生から素晴らしいアドバイスがあります。「足裏テーピング」です。
実際にまずはお一人の方に先生がテーピングをして歩いてもらったところ、「全然違う!!」と驚きの感想が。
テーピングのやり方を教えていただき受講生の方も自分の足でやってみます。
初めで感覚が掴めないのでは?と先生が一人一人のテーピングの巻き方をチェック。
チェックが終わった方からビニールシートの上で歩き始めたところ
「足裏がちゃんと地面についている感じがする」
「体が安定してすごく歩きやすい」「初めての感覚」など続々と嬉しい声が上がりました。
このテーピングをすることによって足指が地面から浮く「浮き指」を瞬時に解消し、
足指を使って歩けるサポートをしてくれるのです。

その後、受講生の方はテーピングをした状態で、自分のパンプスを履いて歩いて貰いましたが、
ここでも「すごく歩きやすい」とみなさん嬉しそうにビニールシートの上を歩きました。
足指を使った正しい歩き方で体重を支える足に強い筋肉が戻り、
自分の正しいサイズとワイズに合う強い構造の靴を選ぶことができればパンプスでも
さっそうと歩くことができるようになるのです。



今回先生に講義いただいた内容は全身のバランスを整える入口に当たる部分だそうですが、今日の講義だけでも足と靴と歩き方に関する深い知識と正しい情報を得ることができとても充実した内容で、もっと足について知りたい、と思わずにいられないそんな講義でした。

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(写真:中野恵里香、レポート:坂元朱美)