シブヤ大学

授業レポート

2017/6/27 UP

「都市の旅人」の358日をデザインする
〜 Urban☓Travelers☓Design lab. スタートアップメンバー募集 〜

みなさんは“都市の旅人”と聞いて何を思い浮かべますか?


今回の授業はシブヤ大学に新しく誕生したゼミ「Urban☓Travelers☓Design laboratory」のキックオフ授業ということで、“都市”と“旅人”というキーワードに魅かれて集まった感性の研ぎ澄まされた参加者が多い印象でした。

「Urban☓Travelers☓Design laboratory」は、1年後を目標にゼミ参加者が“都市の旅人”として学んだことを、次の旅人に伝えることを目的としています。


そして、今回の授業のコーディネータでもある同ゼミ代表の奥住さんが“都市の旅人”のイメージに最もしっくりきたのが、今回の先生であるメディアサーフコミュニケーションズ株式会社(以下メディアサーフ)の松井さんと堀江さんのお二人です。

メディアサーフでは、これまでにファーマーズマーケットや青山パン祭り、COMMUNE 2nd.(旧: COMMUNE246)等の時代を牽引する様々なプロジェクトをプロデュースしてきました。

今回の授業では、それらのプロジェクトがどのようして生まれてきたのかをひも解くことから始まりました。


都市×メディアサーフ

松井さんが都市との関わりの中で普段心掛けていることは、普段の生活の中での違和感や気づきをそのままにせず、発酵させていくことです。

例えば、今ではメディアサーフの代表作となった日本発のポートランド専門ガイドブック『TRUE PORTLAND』は、松井さんと堀江さんがポートランドの街に“なんとなく”魅かれ、何度も足を運ぶことから生まれました。

街を「EAT」「DRINK」「MAKE」等の動詞を切り口にスポットを紹介した今までにないガイドブックは、今では英訳され、アメリカ本国に逆輸入されるまでになっています。

興味のあることを突き詰めることによって、自然と大きな渦になり、それがビジネスにまで発展していく。

青山の国連大学前にて毎週土日に開催されているファーマーズマーケットもメディアサーフの代表的な取組みのひとつです。

今では80店舗ものマーケットでにぎわうファーマーズマーケットですが、最初はなんにも使われていないスペースに、「都市生活者のライフスタイルにインパクトを与えたい」という想いのもと、地方の農家さんや職人さんと都市に暮らす人々を繋ぐ、全く新しいかたちのコミュニティを作り出しました。


また、松井さんの働き方も多様に満ちています。松井さんの奥様はスウェーデン人でストックホルムと東京の二拠点生活をしています。“メディアサーフの社長”である松井さんが年間2/3は国外に滞在しているのです。それにより、ヨーロッパを中心に世界の最新情報を社内で共有できるといいます。

他にもメディアサーフでは、働く場所と働き方を自由にしているため、日本各地にスタッフが点在しており、情報という面では常に旅をしている感覚だそうです。(うらやましい。。。)

このようにして、組織として、日々の生活にいくつかの視点を持ち込み、常にアップデートしていくことこそが“都市の旅人”への第一歩なのかもしれません。




“DO-ERS(ドゥーアズ)”の精神

メディアサーフでは、媒体に捉われず自由に自分たちが伝えていきたいことを社会に提示していくことをテーマにしています。その中で、大きな柱としてある精神が、自分たちが常に“DO-ERS(ドゥーアズ)”であることです。“DO-ERS(ドゥーアズ)”とは、現在世界的に浸透している概念で、1から10まで自分でなんでもやってしまう人たちのことを指す造語です。

例えば、ファーマーズマーケット開催にあたっては、テント設営→撤収まで自ら行い、その後、山梨から出店しているぶどう農家さんのところまで行き、お手伝いをするというようなことを日常的に行っています。

興味のあることがあれば、時間や労力も惜しまず体験してみる。これは常に実践者であることにこだわりを持っているからこそ貫けるスタンスだと思います。


今、世界の都市でなにが起きているのか?

サンフランシスコ発のブルーボトルコーヒーの清澄白河への出店等が顕著な例ですが、ひとつの企業の進出をきっかけに、これまで誰も知らなかった街がヒットする。そして、その街に人が集まり、地価が高騰し、最終的に大企業が進出する頃には、もうその街のことを誰もカッコいいだなんて思っていない。そのような街の変容をジェントリフィケーションと言います。

現在、アメリカではこのジェントリフケーションが非常に注目されていて、小さなきっかけを基に都市にムーブメントが起きる事例は、これからもどんどん起こっていきそうです。


みんなで考える都市×○○

授業の後半では、渋谷を“都市”に当てはめて、「渋谷の街にどんな風景があったら旅人のわくわくが刺激されるか」についてワークショップ形式で考えました。 




「食×日本在中の外国人」「映画/音楽/アート×通行人との交流」等、様々なキーワードを掛け合わせて繰り出されるアイディアは無限に広がり、都市×旅人の可能性を強く感じました。

例えば、「渋谷×自然環境/スポーツ×移動式トレーラー」では、移動式トレーラーをスクランブル交差点に駐車して瞑想してみたり、バーチャルリアリティを使って田植えと稲刈り体験という胸踊るアイデアまで!





今回の授業はこれから1年間考えていく「都市×旅人」のはじめの一歩。

今回のワークショップでは“条件付き”でしたが、実際には条件なんてありません。自由な発想で考え、1年後にカタチになった“都市の旅人”の姿が今から楽しみです!



(レポート:中村 隆、写真:平林かずみ)