シブヤ大学

授業レポート

2015/11/9 UP

おとながハマれるロードバイク
~趣味の先にあるもの

最近、ハマってるものって、ありますか??

時間を忘れて、誰の目も気にならずに没頭する。。子どもの頃には、きっとみんな味わった、あの感覚。

大人になったら、趣味の時間なんてなかなか。なんて声が聞こえてきそうですが、いえいえ、大人になった今だからこそ、より深くハマリましょう。
本日は、博物館のバックヤードのような幻想的な会場で、大人の趣味についてのお話です。




講師の廣澤さんは還暦を迎えていますが、ロードバイクのジャージとジーンズにスニーカーという、今にも走り出しそうな格好です。
普段は、クリエイティブ・ディレクターなどのお仕事のかたわら、趣味のロードバイクに絡めて、あちこちを飛び回る毎日を過ごしているそうです。

例えば・・
2009年にはロードバイクのレース「ツール・ド・沖縄」に参加。189kmの距離を一人で走りぬく過酷なレースです。
程なくして、仲間と共にロードレース・チーム(Chromania)を結成。また、オリジナルブランドの「TAUGE」立上げにも参画し、人脈を駆使して有名デザイナーによるチームのジャージやTシャツを作成し、販売。
さらには、ヴィンテージバイクを中心としたユニークなロードレース(Chromania Meeting in Aomori)を立ち上げ、企画から運営まで全て廣澤さんとChromaniaのメンバーで行う。
その他、ヴィンテージバイクのレストアにハマる、バイクメーカーが集まる“聖地”イタリアの巡礼旅行(同時に世界三大ツールの一つ「Giro d'Italia ジロ・デ・イタリアも堪能)、あるいは某メーカーのバイク用製品の広告動画をチームメンバーのみで制作・・
などなど。もはや、趣味と言っていいのか迷うほどです。

こんなにロードバイクを愛してやまない廣澤さんも、実は、10代・20代とハマった後、約20年間遠ざかっていたのです。
そののち、50歳を過ぎてから過激なハマリっぷりをみせる、まさに論語の「齢50にして天命を知る」といった勢いですね。

さてここからは、授業から垣間見えた「大人の趣味の流儀」をお伝えします。



★流儀その1 ~楽しく~

バイクのレースやツーリングでは、1日で100kmを超える距離を走るなんてことはザラ。脚がきつい、腰やお尻が痛い、なんてことはしょっちゅう。しかし、気の合う仲間と楽しく走れば、キツさ・痛みも半減というわけです。

特に「食」は大事な要素。食事はコンビニで、なんていうサイクリングチームも少なくないのですが、旅先で美味しい食事やお酒などを探して、仲間たちとワイワイ。チームジャージも楽しみのひとつとして、レースごとに作成しているそう。ちなみに、正規のチームジャージには、大きく「NO GUTS」と記載されています。
こうした“楽しむ”ことに真剣に取り組むことで、自然と気の合う仲間が集まり、楽しい趣味ライフを送ってこられたということです。

★流儀その2 ~こだわる~

廣澤さんは、クロモリ(クロム・モリブデン鋼のこと)の車体にこだわります。現在、走りの速さや快適性を追及すると、車体がより軽くなるアルミやカーボンの素材を選ぶことが一般的なのですが、やっぱりクロモリが好み!とか。クロモリのもつ、独特のしなりが生み出す運動性、なんとも渋い輝き、そして接合部の美しさ(!?)。そういったものに限りなく惹かれるのだと言います。
クロモリの良さを尋ねたら、それこそ、1時間でも語ってくれそうな勢いでした。



こういう生活をしている廣澤さんも、ロードバイクの趣味を再開するまでは、自宅で本やテレビを観て過ごすことが多かったそうで、50代で再開するときの目的は、体調維持のための運動をという程度だったそうです。
しかし、再開してみると、若いときには気付かなかったロードバイクの素晴らしさを感じ、また、仕事では出会わないような多彩な人と出会うことが出来る、趣味が世界を広げてくれている、と強く感じるそうです。
最近では、もっともっとロードバイクを楽しみたいと、郊外に家を構えて週末はそこで過ごすようにしているそうです。

「趣味」と「生活」と「仕事」。
上手にミックスする大人ライフのみそは、好きなことにハマるワクワク感なのかな、と気付かせてくれた授業でした。




(レポート:渡辺タケオ/写真:田中健太)