シブヤ大学

授業レポート

2013/10/7 UP

ブラジルの伝統技カポエィラを学ぶ、踊る

みなさん、カポエィラってご存知ですか?
あまり耳慣れない言葉で、いったいどんなものかもわからない人も多いのではないかと思います。
カポエィラとは、ブラジルの、ダンスと格闘技の間のような伝統スポーツ。

以前、代々木公園のブラジルフェスティバルで小柄な女性が大きな男性と組んで、蹴り技を入れながら機敏にくるくる舞っているのを見てとてもかっこよく感じました。
やっている人たちは、とても身体が柔らかそうで、かつキレがある攻撃ができて、なんだか日本人が普段行う動きとは明らかに違います。
自分にもできるのかしら?
でも、機会があるのなら、やってみたい!

そう思っていたところのこの講座。
張り切って参加します。

まずは、カポエィラの成り立ちについての講義がありました。
ブラジルの開拓時代に、アフリカから連れて来られた奴隷たちが、ダンスのように見せかけて練習していた格闘技がその発祥と言われているそうです。
政府が禁止したこともあったそうですが、IPHAN(ブラジル国立歴史芸術遺産研究所)の歴史芸術遺産として登録されています。
本場では長い歴史がありますが、日本に上陸したのは、ほんの20年ほど前。まだまだ新しいスポーツです。

キックで勝負を決めるのかな?と思いましたが、バトルではなく、あくまで楽しいエンターテインメント。
お互い、相手の身体と接触しないように相手の動きを見ながら、息を合わせて攻守の技を繰り出すのです。
常に動き続けて止まらない、それはまるで華麗なアクロバット。

カポエィラについて知れば知るほど(ほんとうに自分ができるのかなあ、ハハッ、無理でしょ)と思うようになりますが、今回は超初心者が対象とのこと。
参加者も大勢いるし、みんなと一緒なら頑張れそう。

まずは基本の形から。
「ジンガ」というステップを習います。
この基本形から、「蹴る」攻めのパターン、「避ける」守りのパターンと、どんどん技が展開されていきます。
そのうちに、腰を入れて脚を振り上げたキックもするようになります。

さらに発展形として、逆立ちや側転で繰り出す技も練習します。
「ムリムリ~!」と、みんな言いながらも、見本を見せてくれる先生があまりにキレキレでかっこいいため、途中で諦めることなく、チャレンジし続けました。

講師陣は、カポエイラ・テンポの方々。
先生を始めとしたスタッフが8名見えて、励ましながらみんなの技を見てくれたので、一人で置いて行かれるような感じになることもなく、一緒に技を学んでいけました。
いよいよ、二人組になって、実地練習となります。
お互い、技は覚えていても、息が合わないと上手に続けられないということがよくわかりました。

カポエィラは、対立ではなくコラボレーションが何より大事なんですね。
見た目よりもずっと、親睦を深める動作だということに、やってみて気がつきます。
それでやっている人たちはみんな、笑顔で仲がよさそうなんですね。

最後に、講師の方々が実技を披露してくれました。
みんなで円になって囲みます。
楽器の音に合わせてみんなで拍手し、掛け声をかける中を、先生たちがシュツシュッと舞います。
うわあ、カッコイイ~!
自分たちが四苦八苦して、ゆっくりと行っていた技を、目にも留まらぬ速さで繰り出していく様子は、まさに「蝶のように舞い、蜂のように刺す」パフォーマンス!
(刺しませんけどね)

あんなふうに自由自在に身体を動かせたら、どんなに楽しいことでしょう。
軸の取り方やバランスが鍛えられるこの競技。
いろいろなスポーツの基礎になるでしょう。

普段使わない筋肉を存分に動かしたので、なかなかハードで、翌日には間違いなく筋肉痛になりそうですが、参加者の皆さんはだれもがイキイキとした顔つきで、満足気に帰っていきました。
とても楽しかった今回の講義。
もっと日本でメジャーになって、人々が公園などで気軽にカポエィラを楽しむ機会が増えればいいなと思います。


(ボランティアスタッフ 小野寺理香)