シブヤ大学

授業レポート

2013/6/12 UP

南極経由、宇宙行き。──南極から宇宙まで、極地とよばれる場所の住まいとその作り方、暮らし方について

気温25℃の5月らしい日差しが眩しい中、恵比寿のレストラン「イチバン」で、元南極観測隊の村上さんからマイナス30℃の南極のお話を聞いてきました。

冒頭に村上さんから、南極に行ったことのある人、または行く予定のある人という質問に対し、なんと今年の秋に第58次観測隊として、参加される方がいて一同驚き!
そんな若干のプレッシャー(?)を感じながら、村上さんが撮影した様々な写真とともに、昭和基地の説明、基地内の様子、お仕事全般、野生動物のお話などを伺いました。

隊員には公募があることや、観測隊には2種類あって、船が帰ってしまう越冬隊と、船が基地に停泊する夏隊があることや、持ち物は基本的には各自が用意すること、見た目はごちゃごちゃしていても、生活のしやすさでは、優れている日本の基地のお話、28人と限られた人数のため建築作業も分担して行い、社会にあるような仕事も係として細かく分担されていることも意外でした。
(村上さんは理髪係、医療係などの分野も訓練を受けたそうです、ちなみにお祭りの実行委員長も兼任)

まつ毛が凍るマイナス45℃にもなる極地で作業をされる中、楽しみもあります。
なんと、ピクニックや焼肉、お花見の時期にはブルーシートを敷き、スクリーンに桜を映したり、曜日感覚を無くさないように毎週金曜日はカレーの日だったり、Barやお祭りなど、限られた中でいかに楽しめるかを全員で考えることも大事だということでした。

ということで、この日のランチはそんな思い出のカレーと、村上さんが大嫌いなのに基地の食事で出た、ホワイトアスパラガスもを加えた生ハムのサラダでした!
そして、南極へ行く楽しみは?の質問に「極地での生活をすることによって自分がどう変わるのか」ですと。
白夜が続いたり、猛吹雪の中では、数十センチ先の視界しかないこともあり、「存在としての自分」が分からなくなってしまう世界を体験した先には、自分そのものとの見つめ合い、向き合い方を考えたそうです。
また、隔離された環境の中で感じるストレス、同じく逃げることが出来ない場での人間関係など、深刻な部分についてもお話頂けました。

最後に、先輩から教えを今後も調査・研究を続けていく世代へ伝えていきたいので、もう一度行きたいとお話されていました。
極地の経験をすることは難しいですが、自分の生活で当たり前にあることを、見直す気付きを村上さんのお話を聞いてもらえました。

(ボランティアスタッフ:高橋 正)