シブヤ大学

授業レポート

2012/5/22 UP

はじめてのバレエ

授業には35名の参加者があり、バレエの鑑賞経験は下記の通りでした。
 ・これまでバレエを鑑賞したことがない参加者 10名
 ・家族・友人のバレエを鑑賞したことがあるある参加者 2名
 ・バレエ全編を鑑賞したことがある参加者 15名(そのうちバレエ経験者2名)

福田一雄さんによると、
バレエとは、総合芸術であり、物語を舞台で行われることを読んでいるとのことで、オペラとバレエは、対になっているそうです。


■バレエの起源
 紀元前ギリシャ時代の頃から、歌ったり、踊ったりしており、それらの活動を基にルネッサンス期のバレエになったのでは、と説明されました。

バレエには、3種類の音楽があり、見るポイントについてお話しいただきました。
・音楽と踊りが50%50%の割合で構成
・音楽だけで100%
・踊りが95%で、後は音楽である
例えば、踊り手の身長の違いによって、音楽のテンポが変わったりすることがあります。
また、アメリカのバレエでは、シンフォニックバレエは米国で生まれて、交響曲に踊りを付けたものです。

■日本のバレエについて
 近年非常にレベルが高くなってきています。昔は身体的な特徴には二の次であったが、現在は身体的な特徴が採用の基準にもなっており、それだけ競争力が高まってきていることを表しているというそうです。

■文部科学省の音楽教育・教科書について
・用語の統一を図って欲しい
例えば、ピアノというものは、イタリア語では、「ピアノフォルテ」であり、「ピアノ」は小さいという意味であるため、楽器の「ピアノ」は「ピアノフォルテ」と呼ぶべきではないかというそうです。
 また、芸術における用語については、英語で表現されるよりも、フランス語やイタリア語、ドイツ語が使用されることが多く、芸術の歴史がそのまま用語にも現れるとも言われていました。

■指揮者になられた経緯
 幼少の頃から母親から絶対音感の教育を受け、ピアノを弾くことができた福田さん。戦後の混乱期のさなか進駐軍のクラブ周りなどを行い、ジャズバンドに参加してアルバイトをしていたそうです。学習院大学に進学後、成績優秀で勉学の道を歩んでいたけれども、次第に勉強よりも音楽に傾倒していったそうです。やがてご友人の近衛秀健氏の紹介もあり、東宝交響楽団(後の東京交響楽団)や近衛管弦楽団などでもピアニストを務めることに。谷桃子氏や貝谷八百子氏などが主催するバレエ教室のレッスンピアニストの方々とも共にご活躍されました。
 あるときオーケストラの指揮者の方から「福田さんのほうが踊りやすい、指揮者をやってみないか」と誘われたそうです。そして指揮者・福田一雄が誕生することとなりました。そうして高田信一氏や齋藤秀雄氏などに指揮法などの手ほどきを短期間受けただけであるにもかかわらず、日本フィルハーモニー交響楽団の指揮して本格的にバレエ指揮者としてその後もご活躍されてゆきました。

■福田一雄さんのお言葉
 かつて皇太子徳仁親王がイギリス・オックスフォード大学マートカレッジに留学していたときに、ヴィオラを演奏していたことから、ヴィオラの演奏を披露することで友人とすぐに打ち解けられたというエピソードを披露してくださいました。
 そのことから「音楽や芸術に素養があることは、人生を豊かなものにすると思うので、少しでも芸術に興味を持っていただきたい」とメッセージをいただきました。


■感想
 今回はじめてシブヤ大学の授業にボランティアスタッフとしても参加しましたが、参加者も講師の福田一雄先生も熱心な姿で参加しているのが印象的でした。短い時間の中、バレエの起源から現在の日本バレエ界の状況まで一気に解説して頂きました。また「海賊」などの演目を見ながら、解説して下さることで、初心者にもバレエを身近に感じることが出来ました。

(林一雅)


 チャコットさんの素敵な衣装に囲まれながら、福田先生からバレエ音楽について授業を受けるという贅沢な時間でした。質疑応答の時間では音楽についてはもちろんのこと「オーケストラと踊りはどれくらいあわせて練習するのか」や、「福田先生が指揮者になった経緯」など、普段では中々聞く機会のないお話も伺うことができました。たとえ予備知識やバレエ経験がなくても、オペラやバレエは楽しめるということが分かったので、今後も興味をもって観劇していきたいと思います。貴重な機会を頂きありがとうございました。

(飯島文子)


 35名の参加者の方の中でバレエ経験者は2人だけという、授業の名前の通り「はじめての」方が大半の授業でした。福田先生がとても知識が深く、話し上手で、バレエ音楽の歴史や、先生自身の経歴のお話等、聞いていてとても楽しかったです。
 福田先生が音楽監督をされる「海賊」のDVDを見ながらの解説は、見所やバレエダンサーのお話等もおもしろくて、舞台を鑑賞したくなりました。私はバレエについて全く知識がないので(ピルエットも授業後に調べるくらい)、わからない言葉や作品がでてきましたが、それがまったく気にならない程、福田先生の話して下さるバレエの音楽や舞台の話はとても魅力的で、もっと知りたくなりました。参加された皆様もバレエについてもっと知りたくなったのではないでしょうか。
 この奥深いバレエは学ぶ授業は、あと3回もあるので、今回授業に参加できなかった皆様にもチャンスがあります。ぜひ次回の授業もお楽しみに!

(塚原友梨子)


 チャコットとシブヤ大学とのコラボレーションによる、全4回のワークショップ、第1回目。熊川哲也率いるKバレエカンパニーの全公演の演奏を務めている、作曲家・指揮者の福田一雄氏に、バレエの名シーンをDVDで観賞しながら、バレエ音楽について語っていただきました。会場のチャコット本店は、建物全体がバレエの園となっており、非日常感いっぱいでした。参加者は40名ほど。プレスも数社、取材に訪れています。
 今回採り上げたのはアドルフ・アダン作曲の『海賊』。福田氏が演奏を聞いて書きあげたという『海賊』の総譜を見せてもらいました。すごいです。こういう人の努力によって、日本のバレエ音楽は支えられてきたのでしょう。専門的な人だけに、内容も結構専門的です。今回、全くバレエを知らないという男性参加者もちらほらいるため、初めて知ることばかりなのではないかと思いました。しかしそれでも、自分の体験を織り交ぜながらのお話はとてもおもしろく、ためになることばかりでした。
 『海賊』の「グラン・パ・ド・ドゥ」のシーンを、福田氏が指揮を手がけたKバレエカンパニーの公演DVDを観ながら、解説してもらいました。やはり詳しい人に情景や内情を教えてもらいながら観ると、すいすい頭に入っていき、おもしろく鑑賞できます。オーケストラは、踊り手に速度を合わせるため、指揮者は普段の演奏以上に感覚を研ぎ澄ませて、ステージの流れと音楽を一体化させなくてはなりません。その日の踊り手の調子の良さでキレが変わるため、テンポを細かく合わせていくことが必要になるそうです。舞台に立った感じで、踊り手の調子のよさがわかるんだとか。お互いに信頼感があるからこそ、その人の調子が読みとれるのでしょう。まさに職人芸です。
 バレエ指揮者の重鎮の方でありながら、とてもお茶目な人柄が見える明るいレクチャーで、引き込まれるように聴講しました。
次回のワークショップでは、実際にみんなでKバレエカンパニーの『海賊』を観賞します。今から楽しみです。

(おのでらりか)
※おのでらさんのブログでも授業の模様が詳しく掲載されているので、ぜひご覧下さい。