シブヤ大学

授業レポート

2011/10/21 UP

身近な紙の秘密にせまる~紙を知るヒント・使うコツ〜

みなさん、「紙」について考えたこと、ありますか?

今回の授業は「身近な紙の秘密にせまる~紙を知るヒント・使うコツ〜」というタイトルの通り、
私たちの生活になくてはならない「紙」が主役です。

講師を務めていただくのは「印刷の余白 Lab.」の野口尚子さん。
普段は専門の方を相手にしているので、
今回の様な紙について素人の方ばかりのワークショップは初めてだそう。


①いろいろな紙と、性質・機能(知るヒント)について

最初は座学。
様々な紙を見て、触って、体感しながら学んでいきます。
まず、そもそも紙とはなんぞや?というところから説明が始まります。
野口さん曰く、紙とは「繊維をシート状にしたもの」だそう。
植物だけでなく、プラスチックや石灰でできたものでも紙と呼ぶので、紙の定義は意外に曖昧みたいです。

次は紙に機能を足す方法。
「原料を変える、混ぜる。抄き方を工夫する。地模様を工夫する。
表面に塗る。貼る。合紙する。含浸する(紙に薬品等を染み込ませる)。」
この5種類が主な紙に機能を足す方法とのことです。
ジーンズの端切れ繊維を混ぜ込んだ「ジーンズエコ」や、
表と裏で柄の違う「ダニエル」など、面白い紙が多数紹介されました。
野口さんは見本を用いながら説明を進めていくのですが、驚くのはその見本の数。
生徒1人1人の手元にある20枚の見本セットとも然る事ながら、その他にも何種類もの紙を取り出し、
みんなで破ったり、曲げたり、嗅いでみたり。
説明する野口さんも生徒の皆さんも、お互いに授業を楽しんでいる姿が印象的でした。


②実験制作ワークショップ(使うコツ)

説明も終わり、次はいよいよ生徒自ら紙を加工していきます。
今回行うのは、アイロンとクッキングシートを使ったロー引き加工と感熱紙を使ったオイルドローイング。
ロー引き加工とは、蝋燭や蝋のチップを溶かして紙に含浸させること。
ロー引きすると紙が丈夫になり、色も変わるそうです。
皆さん、思い思いの紙を手に取り、加工していきます。
エアメールをロー引きすれば中の模様が透けて見えるようになり、
ロー引きした紙を曲げれば、まるで紙がひび割れたような模様がつきました。

感熱紙を使ったオイルドローイングでは、
メイク落としや透明(油性溶剤)のインキパッドを使って感熱紙に模様を描いていきます。
ハロウィン用の手作りレターを作ったり、絵を描いてみたり。
黒地に白い文字や絵を描いていくと、いつもとは違った風合いの作品になりました。


最後に実験した紙をビス留めし、紙見本資料をお持ち帰り。
資料の表紙用のボール紙も、皆さんロー引きしていきました。
生徒の皆さんの作業中の野口さんですが、紙皿を手に取って破ったり曲げたりしている姿を見つけました。
尋ねてみると、なんと紙皿の構造を調べていたようです。
さすが紙のプロ。好きこそものの上手なれ、とはまさにこのことです。



身近な存在である紙ですが、今回の授業ではその奥深さを知ると共に、
今まで知らなかった紙の面白さを味わうことができました。
これからは身の回りの紙を違った目で見られそうです。
講師の野口さん、どうもありがとうございました。


(ボランティアスタッフ 塚原 輝)