シブヤ大学

授業レポート

2006/12/27 UP

  

今の日本が大切にしたいあかり。本日の先生は、照明デザイナーの面出薫先生。この冬、久しぶりに表参道に冬の風物詩を生き返らせたアカリウムの仕掛け人です。この授業は、原宿キャットストリートに程近い先生のオフィスで行われました。

授業はまず、先生が主催されている「照明探偵団」という活動の話から始まりました。それは面出先生率いる探偵団の団員が集まって、街にあるあかりを見物してまわるという活動だそうで、それはただ街の明かりであったり有名ブランド店であったり様々ということでした。そのお話のなかで先生は、街の光には「英勇と犯罪者」がある。ということを言われました。「英雄と犯罪者」?その言葉を聞いただけでは、私にはピンときませんでした。そこですかさず、「光の英勇、光の犯罪者を分けるポイントを教えてください。」との質問が生徒さんより飛びました。(ありがとう!)
先生は「もちろん、人によって違ってくるものです。」と答えられました。
例えば、自動販売機のあかり。今やそこかしこに乱立していて、夜もこうこうと光を放つ犯罪者だ!という見方があります。でも一方で、ある女の子にとっては暗く不安な夜道を照らしてくれ、安心をもたらしてくれる光の英勇に違いない!という見方がされています。と先生が教えてくださいました。人によって光の受け取り方も違うことを理解した上で、先生の照明は手がけられているそうです。例えば病院を手がけた時は、「病気を治す人のため」に光を設計されたそうです。そこでは、病気を抱えて不安な人を勇気付けたり、時に寄り添ってなぐさめたりすることができるようなあかり作りを心がけてお仕事をされたそうです。

今回の表参道のakariumu-アカリウム-は、「日本」として大切にしたい「あかり」の姿が表現されています。以前のギラギラした豪勢で賑やかなライティングから8年経った今年は、灯ろうのゆらめくようなやさしい光が今大切にしたい姿として表現されています。

ところで、明治神宮までつづく数十塔のあかりは、こっそり姿を変化させていることに気付いていましたか?12月5日から1月5日までの間で、実に7パターンもの光が次々に街に放たれるようプログラミングされているとのことでした。ちょうど授業の日は流れ星のパターンで、キラキラ白っぽく光る灯ろう郡を、青い光が端から端に駆け抜けていく姿がみられました。また、年末には携帯電話でアクセスすると自分の声で10秒間あかりが操れるというアトラクションもありました。自分の声の大小で灯ろうのあかりが明るくなったり暗くなったりして、ちょっとした表参道ジャック気分でした。

最後に授業にご参加くだいました生徒のみなさん、放課後のアカリウム見学にご参加ありがとうございました。先生、あかりの授業中に部屋を暗くする際「暗いところが苦手な方はいませんか?」ととても何気ない一言でしたが、お気遣いありがとうございました。

(ボランティアスタッフ 山田 有希)