シブヤ大学

授業レポート

2010/4/9 UP

恵比寿ギャラリーツアー ~こだわりの建築に包まれたギャラリーを訪ねる~

今回の授業では、アートが面白くて身近に感じられるようなきっかけ作りを目的
に恵比寿にある「NADiff a/p/a/r/t(ナディッフ アパート)」内のギャラリー
「magical, ARTROOM」のディレクターを務めていた伊藤悠さんを先生に向かえて
ギャラリーツアーをおこないました。

■ギャラリーツアー1@ NADiff a/p/a/r/t
冒頭で先生の自己紹介を終え、まずは1点の作品を紹介。黄色やブルーの色彩が
美しい、絵のようなもの...?「実はこれは、ヒューズがとぶ瞬間の発光を焼き
付けたものなのです。見えないものを見えるようにした作品。」そんな説明を聞
いて、生徒さんの気負いもほぐれてさっそくツアー開始!まずは集合場所でも
あったNADiff a/p/a/r/tの2階にあるギャラリー、【G/P GALLERY】に移動。
ここではアートディレクターでグラフィックデザイナーでもある中島英樹さんの
展示がされていました。
ギャラリースタッフの方から作品の意図や背景などの説明を受けてゆくうちに、
最初は大人しく聞いていた生徒さんから次第に作品についての質問が出るなど、
徐々にスタッフとのコミュニケーションが生まれてゆきました。

続いて同じフロアにあるギャラリー、【ArtJam Contemporary】へ移動。
ここでは(株)アミューズが企画した若手アーティストのためのコンペ「ARTJAM
TOKYO 2010」で受賞された作品が展示されていました。
先ほどのギャラリーで雰囲気に慣れたせいか、「これは何で描かれているの?」
「これはどうやって作られているの?」などの質問がスタッフに多く寄せられ、
作品に顔を目一杯近づけて鑑賞するなど、生徒さんたちは思い思いに展示された
作品を鑑賞していました。

■ツアー2@ MA2 Gallery
NADiff a/p/a/r/tをひとまず離れ、こだわりの建築に包まれたギャラリー【MA2
Gallery】へ移動。
はじめにギャラリストである松原さんからギャラリーについての説明や、始めた
きっかけなどを伺いました。
松原さんがニューヨークに滞在していた時に、アートに関係ない人でも日常に
アートを取り入れて楽しんでいるのを目の当たりにし、なおかつギャラリーには
美術館より新しいものが展示されているのを体感したのがギャラリーを始める
きっかけになったそう。

日本に戻りギャラリーを立ち上げる際、せっかくだから自分の好きな空間にした
いと思い、ギャラリーではタブーとされている自然光を取り入れる大きな窓を各
フロアに採用。
このギャラリーの象徴とも言える大きな窓により、昼夜でギャラリー内の雰囲気
が変わるため作品が様々な表情を見せ、より深く鑑賞することができます。
また、2階はあえてマンションの天井と同じ高さに設定するなど、随所に松原さ
んのこだわりが感じられます。

「ギャラリーはアーティストとお客さんをつなぐ場所。今後もジャンルにこだわ
らず、自分がいいなと思うものを紹介してゆきたい。」
「ギャラリストとしてもギャラリーはお客さんの反応を直接感じられる場所であ
り、スタッフにどんどん話しかけたり、沢山ギャラリーに来てほしい。」と松原
さんはお話されていました。

お話を終えた後、展示されていた谷澤紗和子さんと池添彰さんの作品を鑑賞し、
スタッフに質問したり、メモをとったり、いろんな角度から見てみたり、生徒さ
んはより積極的に、それぞれのスタイルで作品を鑑賞していました。

■ツアーおわり@ NADiff a/p/a/r/t
スタート地点のNADiff a/p/a/r/tへ戻り、お茶とおかしを頂きながら伊藤先生と
お話。
まずはプロジェクターを見ながら、先生が柏で運営しているギャラリーの紹介
や、ギャラリストになったきっかけなどを伺いました。
また、ギャラリストとしてだけではなく、アートイベントに出展して多くの人に
作品を見てもらう機会を増やして、普段の生活にアーティストの作品が潜在的に
入っていけるようになりたいと、熱い想いを語られていました。

■ツアーを終えて
「ギャラリーに行くことがこれまでなかったので、よい機会になった」や、
「ギャラリースタッフに話しかけていいのかこれまでためらったけど、今回の授
業で話かけてもいいことを知った」など、この授業を通じてギャラリーを身近に
感じられた生徒さんが多かったように見受けられました。
作品を鑑賞するのはもちろん、ギャラリー自体にも目を向けてギャラリストのこ
だわりや想いを感じ取れば、より一層アートを楽しめるのではないかと思いました。

(ボランティアスタッフ 池田 愛)