授業レポート
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2025/11/28 UP
みんなができるヨガ!
~シニアの方・障がいのある方・体が硬い方も~
ヒロ(イシズカヒロコ)さんという方
アートと自然を愛し、旅や草木染、障がいのある方との創作活動を通して、人生を丁寧に紡いできたヒロさん。現在は、ホープ就労支援センター渋谷で、アート指導員に携わりながら、ヨガインストラクターをされています。
年齢を重ねる中で、自身の体調の変化や、支援の現場で出会う人々の姿から、「心と身体の健やかさ」の大切さを実感。コロナ禍で体を動かす機会が減り、腰痛に悩まされた経験も重なり、身体のメンテナンスやマインドフルネスを模索する中で出会ったのが「筋調整ヨガ」でした。
無理なく、痛みなく、でも確かに身体が整っていく感覚に心を動かされ、全米ヨガアライアンス認定RYT200を修了。200時間の学びを経て、筋調整ヨガの指導者資格も取得。今では、誰もが自分らしく心地よく動けるヨガを伝えることが、ヒロさんの新たな表現のひとつとなっています。
筋調整ヨガとは?
筋調整ヨガは、筋肉の特性を活かしながら、痛みを伴わずに全身を整えるヨガです。特に深層筋(インナーマッスル)に働きかけることで、体力に自信のない方や運動が苦手な方でも無理なく取り組めるのが特徴です。
・苦手な動きより「楽な動き」を選ぶ
・アイソメトリック(等尺性収縮)で筋肉にやさしく負荷をかける
・日常生活に必要な筋力を、心地よく整える
授業のはじまり——やさしく、あたたかく、そして力強く
この日の上原社会教育館の体育館には、ヨガ初心者、体が硬いと感じている方、腰痛に悩んでいる方、シニアヨガに関心のある方など、さまざまな背景を持つ参加者が集まりました(最高齢は87歳!)。
そんな空気をやさしく包み込むように、「今日は無理せず、心地よさを大切にしていきましょう」と語りかけるヒロさんの柔らかな笑顔と落ち着いた声で、授業が始まりました。
本日の授業の流れと実践内容
・呼吸と身体の観察
授業はまず、静かな呼吸からスタート。鼻から吸って、鼻から吐く——その基本を意識しながら、自分の呼吸と身体の状態をじっくり観察する時間が流れました。
・マットでのヨガポーズ
ヒロさんの声に導かれながら、参加者はマットの上でさまざまなポーズに挑戦しました。
✴︎足の上げ伸ばし、足指のグー・パー・チョキ
✴︎ワイパー運動
✴︎股関節を回す、開閉する「ガッセキのポーズ」
✴︎手と足の指を組んで足首を回す、膝と手を押し合う動き
✴︎肩甲骨を開く、胸を開く、背骨を意識して動かす
✴︎ダウンドッグ、前屈・後屈、天使のポーズなど
・アイソメトリックの実践
筋調整ヨガの核となるアイソメトリックの動きも随所に登場。手と膝を押し合う、足を交差して力を入れるなど、一見穏やかな動きがらもインナーマッスルに効く動きが紹介されました。
ヨガとエクササイズの違い——ヒロさんの語り
「ヨガは、ポーズを取ることが目的ではないんです」
そう語るヒロさんの声には、長年の実感がにじんでいました。
「エクササイズは、筋肉を鍛えたり、体力をつけたりすることが目的。でもヨガは、心と体が“安心して心地よくいられる”状態を目指すもの。動きはあくまで手段であって、最終的には“心の静けさ”を育てることが大切なんです」
参加者たちは、うなずきながらその言葉に耳を傾けていました。
「だから、無理にポーズを決めなくていい。気持ちいいところで止めて、呼吸と一緒に動いてみてくださいね」
その一言が、参加者の緊張をふっとほどいていくのが感じられました。
・リラクゼーション
授業の終盤には、マットに横たわり、全身の力を抜いてリラックス。静寂の中、時折聞こえる寝息に、思わず笑いがこぼれる場面も。「寝ちゃってもいいんですよ〜」というヒロさんの言葉に、皆が安心して身を委ねていました。
最後は合掌をして、今日一緒にヨガをした仲間と、自分の身体に「ありがとう」を伝えて終了。心も体もほぐれた、あたたかな時間でした。
椅子ヨガの可能性——誰でもできる、どこでもできる
この日の授業で特に印象的だったのが、ヒロさんが丁寧に紹介してくださった「椅子ヨガ」の数々。膝や腰に不安のある方でも安心して取り組めるよう、体育館にも椅子も用意し、椅子に座ったままでできるポーズもたくさん紹介されました。
そして、これらの椅子ヨガを実際にデモンストレーションしてくれたのが、ヒロさんの姪・涼葉さん。涼葉さんが椅子に座って一つひとつのポーズを丁寧に実演してくださいました。
おわりに
約70分の授業が終わる頃には、参加者の表情がすっかり柔らかくなっていました。
「普段しない動きを、無理なくやってみるだけで、こんなに気持ちいいなんて」
「明日、ちょっと筋肉痛かも。でも、それも嬉しい」
ヨガは、特別な人のためのものではなく、誰にでも開かれたもの。
「生活に必要な筋力を、心地よく整える」——そんなヒロさんのヨガは、参加者一人ひとりの心と体に、やさしく、確かに届いていました。
アートと自然を愛し、旅や草木染、障がいのある方との創作活動を通して、人生を丁寧に紡いできたヒロさん。現在は、ホープ就労支援センター渋谷で、アート指導員に携わりながら、ヨガインストラクターをされています。
年齢を重ねる中で、自身の体調の変化や、支援の現場で出会う人々の姿から、「心と身体の健やかさ」の大切さを実感。コロナ禍で体を動かす機会が減り、腰痛に悩まされた経験も重なり、身体のメンテナンスやマインドフルネスを模索する中で出会ったのが「筋調整ヨガ」でした。
無理なく、痛みなく、でも確かに身体が整っていく感覚に心を動かされ、全米ヨガアライアンス認定RYT200を修了。200時間の学びを経て、筋調整ヨガの指導者資格も取得。今では、誰もが自分らしく心地よく動けるヨガを伝えることが、ヒロさんの新たな表現のひとつとなっています。
筋調整ヨガとは?
筋調整ヨガは、筋肉の特性を活かしながら、痛みを伴わずに全身を整えるヨガです。特に深層筋(インナーマッスル)に働きかけることで、体力に自信のない方や運動が苦手な方でも無理なく取り組めるのが特徴です。
・苦手な動きより「楽な動き」を選ぶ
・アイソメトリック(等尺性収縮)で筋肉にやさしく負荷をかける
・日常生活に必要な筋力を、心地よく整える
授業のはじまり——やさしく、あたたかく、そして力強く
この日の上原社会教育館の体育館には、ヨガ初心者、体が硬いと感じている方、腰痛に悩んでいる方、シニアヨガに関心のある方など、さまざまな背景を持つ参加者が集まりました(最高齢は87歳!)。
そんな空気をやさしく包み込むように、「今日は無理せず、心地よさを大切にしていきましょう」と語りかけるヒロさんの柔らかな笑顔と落ち着いた声で、授業が始まりました。
本日の授業の流れと実践内容
・呼吸と身体の観察
授業はまず、静かな呼吸からスタート。鼻から吸って、鼻から吐く——その基本を意識しながら、自分の呼吸と身体の状態をじっくり観察する時間が流れました。
・マットでのヨガポーズ
ヒロさんの声に導かれながら、参加者はマットの上でさまざまなポーズに挑戦しました。
✴︎足の上げ伸ばし、足指のグー・パー・チョキ
✴︎ワイパー運動
✴︎股関節を回す、開閉する「ガッセキのポーズ」
✴︎手と足の指を組んで足首を回す、膝と手を押し合う動き
✴︎肩甲骨を開く、胸を開く、背骨を意識して動かす
✴︎ダウンドッグ、前屈・後屈、天使のポーズなど
・アイソメトリックの実践
筋調整ヨガの核となるアイソメトリックの動きも随所に登場。手と膝を押し合う、足を交差して力を入れるなど、一見穏やかな動きがらもインナーマッスルに効く動きが紹介されました。
ヨガとエクササイズの違い——ヒロさんの語り
「ヨガは、ポーズを取ることが目的ではないんです」
そう語るヒロさんの声には、長年の実感がにじんでいました。
「エクササイズは、筋肉を鍛えたり、体力をつけたりすることが目的。でもヨガは、心と体が“安心して心地よくいられる”状態を目指すもの。動きはあくまで手段であって、最終的には“心の静けさ”を育てることが大切なんです」
参加者たちは、うなずきながらその言葉に耳を傾けていました。
「だから、無理にポーズを決めなくていい。気持ちいいところで止めて、呼吸と一緒に動いてみてくださいね」
その一言が、参加者の緊張をふっとほどいていくのが感じられました。
・リラクゼーション
授業の終盤には、マットに横たわり、全身の力を抜いてリラックス。静寂の中、時折聞こえる寝息に、思わず笑いがこぼれる場面も。「寝ちゃってもいいんですよ〜」というヒロさんの言葉に、皆が安心して身を委ねていました。
最後は合掌をして、今日一緒にヨガをした仲間と、自分の身体に「ありがとう」を伝えて終了。心も体もほぐれた、あたたかな時間でした。
椅子ヨガの可能性——誰でもできる、どこでもできる
この日の授業で特に印象的だったのが、ヒロさんが丁寧に紹介してくださった「椅子ヨガ」の数々。膝や腰に不安のある方でも安心して取り組めるよう、体育館にも椅子も用意し、椅子に座ったままでできるポーズもたくさん紹介されました。
そして、これらの椅子ヨガを実際にデモンストレーションしてくれたのが、ヒロさんの姪・涼葉さん。涼葉さんが椅子に座って一つひとつのポーズを丁寧に実演してくださいました。
おわりに
約70分の授業が終わる頃には、参加者の表情がすっかり柔らかくなっていました。
「普段しない動きを、無理なくやってみるだけで、こんなに気持ちいいなんて」
「明日、ちょっと筋肉痛かも。でも、それも嬉しい」
ヨガは、特別な人のためのものではなく、誰にでも開かれたもの。
「生活に必要な筋力を、心地よく整える」——そんなヒロさんのヨガは、参加者一人ひとりの心と体に、やさしく、確かに届いていました。
(レポート:大谷蓮壽、写真:江藤俊哉)
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