シブヤ大学

授業レポート

2025/9/3 UP

声優体験してみよう!
~声で映像にいのちをふきこむ~

今回は3回目になる劇団テアトル・エコーとの授業です。

俳優・声優の小宮 和枝さんと同じく俳優・声優のおまた かなさんを講師にお迎えしました。
毎回楽しい体験が出来るテアトル・エコーのシリーズな上にアニメオタクの私には声優さんは憧れの職業とあって、とても楽しみにしていた授業でした。
さてどんな授業になったでしょうか?

まずは小宮さん、おまたさんの紹介の後で参加者全員の30秒自己紹介で今回参加した目的をお聞きしました。
参加の目的は大別すると自分の声や話し方に自信がないので人前で自信を持って話せるようになりたい方々と声優のお仕事に興味がある、声を褒められたことがある、声優のオーディションを受けたり劇団に所属していたことがあるので体験してみたいという方が多かったように感じました。

まずはウォーミングアップとして滑舌を良くするロングトーンの発声練習と「あんたかだどこさ」の曲に合わせて歌いながら手拍子をしてジャンプをするリトミックを行いました。
小宮さんおまたさんの掛け声とリズムに乗った動きでほど良くウォーミングアップが出来ました。
気持ちよく身体をほぐした後はいよいよ動画に合わせて声を出すワークです。

声を当てるのはテアトル・エコーオリジナルの教材動画「ニェコ太郎」です。

「ニェコ太郎」元気いっぱいの猫のキャラクターニェコ太郎が皆んなを笑顔にするために個性的なキャラクターの動物達と出会いオニランドを目指す物語です。
まずは台詞の入っていない動画を一度見てからおまたさんから語りと全キャラクターを演じる模範を見せていただきました。
その後シーン毎にやりたいキャラクターを希望者が演じてみます。
動画の上には秒単位で時間が表示されていて台本にもそれぞれの台詞の上に時間が表示されています。
本番はマイクに向かって自分のキャラクターの台詞を時間やタイミングを合わせて演じる仕組みです。
3本のマイクを譲り合いながら映像に合わせて台詞を入れます。
映像や効果音に合わせる、キャラクターの個性を出す演技をする、マイクを譲り合うなどの全てが上手く行かないとキャラクターにいのちをふきこむアニメーションにはなりません。
一度やってみた後は小宮さんから「もう少しゆっくり」「思い切って!」などの演技指導が入りタイミングを合わせるのが難しい人にはおまたさんが肩をポンと叩いてタイミング合わせをしてくださいました。
一度目は緊張していてなかなかタイミングが合わなかったり大きな声が出せなかったりしましたが二度目は上手く出来るようになった人が多かったようでした。

最後は全員が順番に全ての台詞を一つずつ演じました。
これはマイクの前には立たず席に座ったままでやりました。
台詞が一つずつなので自分にどのキャラクターの台詞が来るのか分からないため、色んなキャラクターや語りなどを演じ分けなければなりませんが良い感じにリラックスして楽しく出来た方が多いように見受けられました。

ワークが終わった後全員に参加目的に対してどうだったか?をお聞きしてみたら…

普段よりも大きな声が出せて嬉しかった。
最後が皆んなで作っている感じがして楽しかった。
全員で台詞を言う時にどんな役が来るか分かららなくて色んなキャラクターが出来て良かった。
イメージしていても声に出すのは難しかった。
最初は緊張していたけど皆んなでやってみたらリラックス出来た。
思っていた以上に大変で勉強になった。
下手なりに楽しかった。
皆んなで作り上げる感じが楽しかった。
ワークショップに参加したい。
難しかったけど漫画を描く参考になった。

などの感想をいただきました。

今回は視覚に障害のある方も参加されていて先に台本の資料を送ってタブレット端末に表示し読めるようにしてあり、タイミングはおまたさんが肩を叩いて合わせるようにしました。
やってみた感想は…
目が見えなくても工夫次第で出来ることが分かって楽しかった。
とのことでした。

最後に小宮さんから感想をいただきました。
皆さんとても乗り気でやる気があって良かった。
楽しそうで良かったとの言葉をいただきました。

今回のアニメーションは口の動きがないタイプですが口の動きに合わせるのは更に大変で収録の時は絵は完成していない線画だけに合わせるのでもっともっと大変です。
昔は線画もなくて色の付いた棒が出るだけでしたとプロの世界の大変さをお聞きして驚愕しました。

授業が終わってから、ほんの一端を伺っただけでも声だけで作品の世界観やキャラクターの個性を演じて作り上げて行くことは並々ならぬご苦労があることが偲ばれました。
終始ユーモア溢れる優しい語り口で参加者の皆さんを盛り上げてくださった小宮さんと和やかな雰囲気を作ってくださったおまたさんのお人柄も相まって楽しい授業になりました。

場の空気を読む能力や作品やキャラクターの心情を理解して声だけて表現するなど感性を磨く努力も並々ならぬものがあると感じられました。
講師の方々のお人柄に触れてアニメが好きで漠然と憧れていた声優というお仕事の大変さをほんの少し垣間みることが出来て改めて尊敬の念が湧き上がりました。
小宮さんも仰っていましたが参加された皆さんがいらした時よりも楽しそうに活き活きとした表情で帰って行かれたのが印象的な授業でした。

参加された方々と小宮さんおまたさん素敵な時間をありがとうございました。

(レポート:片山朱実、写真:山口圭治、高橋ゆめ)