シブヤ大学

授業レポート

2025/3/19 UP

スパイスと歩む半生

「スパイスと歩む半生」と題し、今回は17年以上毎日カレーを食べ続ける「毎日カレー生活者」の南場四呂右さんの授業をレポートします。
まずは、受付の時からスパイスの香りいっぱいの教室。授業前からみなさんきっと期待が膨らんでいたことでしょう!


~授業スタート!~

まず参加者のみなさんの自己紹介。
この授業に参加した理由をお話しいただくことから授業がスタートしました。
・スパイスからカレーを作ってみたかった
・市販のレトルトやルウしか使ったことがない
・家に眠っているスパイスを活用できたらと思う
・イチローが毎日食べていたというエピソードもあり興味があった
・妻がスパイスカレー好き
・同じようなスパイスしか使えないから学べるかと思って
・シブヤ大学の授業は面白いと思い
・コロナ禍で少なかったシブヤ大学のリアル体験授業に参加したくて
などなど、スパイスカレーというものに触れたいというのはもちろん、シブヤ大学としては嬉しいコメントもいただきました。


~南場さんからのお話し~

南場さん、まずは「先生」と呼ばれることに違和感を感じるとのこと。その理由としては、スパイスの話であればもっと適任の専門家がいると思っているからだそうです。
南場さんという人物が生きてきた「毎日カレー生活」は、多様にある人の生き方の1つの姿であり、食は価値観であり、話を聞いて、いいも悪いもなく何かを感じてもらえたらいいなと考えているとのこと。
このような導入からも、参加者さんはなるほどと頷き、リラックスして南場さんとの距離も縮まっていったと感じます。

南場さんはメディアやSNSにも登場するようになり、時には「カレーで食べていきたいけどくすぶっている人」とか思われてしまうこともあるとのこと。そのように映るのは、1つの目標を貫いて成功している人がかっこいいという姿を連想するからであって、自分はそのような姿がしっくりきていない。「毎日カレー」は人生で色々なことをしてきた中の一部分であり、たまたま注目されてきているだけにすぎないとのこと。このような感覚に共感を得ることも多いのか、大きく頷く参加者の姿が見られました。
それこそ、食に興味があったわけでもなく、貧しい生活もしてきたから食べないことで体調不良になってこともあるくらいで、意外と安価で作ることができる「カレーなら毎日食べられるかも?それなら毎日カレーでいいやん!」くらいの感覚で毎日カレー生活はスタートしたそうです。

SNSでの誹謗中傷は社会的にも大きな問題となっている昨今ですが、このような「毎日カレー生活」をしていると、「それって意味あるの?」と問われることも少なくないそうです。それに対しての返答は「意味なんてなくてもいいんじゃない?」やることそのものが楽しければ!という点から、
「意味に追いつかれるな!」
という信念をお持ちです。
これにも参加者のみなさん大きく頷きでした。

「毎日カレー生活」から、どうやら自分は繰り返し何かを続けることは得意らしいというところで、お遍路をしたこともおありだそうで、やってみるとやはり合っていたそうで、人と話す、行ってみる、やってみる、やってみないとわからないといった経験が大きな価値観となっているということです。
「自分らしさ」というけれど、自分らしさは自分だけではわからないし、変わったっていい。そんなお話しもしてくださいました。

さて、カレーの作り方から話が始まるかと思いきや、このような南場さんの生き方・感じ方を伺い、後半に向けてのカレーを作って食べることが、よりワクワクするものになってきました。


~カレーとは~

カレーの定義、辞書ではカレー粉のこと、カレーライスのことそんな記載になっていますが、改めて言われてみるとわからない。
スパイスを多用する地域ではカレーらしき料理を特にカレーとは呼ばなかったりもする。では、カレーの定義はなんなのかと考えたとき、
「自分がカレーだと思えばカレー」
「作り手がカレーだと言えばカレー」
つまり、カレーは概念であると。
またしても、哲学的というかなんというか、でもカレーを通じてこんなことが考えられること、考え合えることは面白い!


そして、スパイスの話が始まりました。
まずは、お湯だけでスパイスの香りを感じる。
楽しいお話も交えながら、カレー作りに必要な基本となるスパイスの話、「ガラムマサラ」について。
ガラムマサラというスパイスがあるのではなく、ガラムマサラは各種スパイスを混ぜ合わせたインドの混合香辛料。授業では自分だけのガラムマサラを調合してスパイスカレーを作るというもので、参加者のみなさんワクワクです。
ベースとなるスパイスは多めに、個性の強いスパイスはほどほどになどのアドバイスをいただき、早速自分だけのガラムマサラ作りの始まりです。香りだけでなく彩りにも目も惹かれました。




一人ひとりがフライパンを持ってのスパイスカレー作り!
みんな必死に楽しそう♪



南場さんが各テーブルを回ってアドバイスをしてくださったり、質問を積極的にしていたり、終始和やかなクッキングタイムからのいただきます!

自分で作ったスパイスカレー、みなさん美味しそうに召し上がっていました。

感想・質問タイムでは、

・調合こそ違うものの一人ひとり違うカレーになって面白かった
・前半の南場さんの話がとても良かった
・行動することの大切さを改めて感じた
・南場さんがテーブルを回って、炒め方や火加減で味や見た目が変わることなどもアドバイスしてくれてとてもためになった
・余ったスパイスの活用法について教えてほしい
・スパイスはどこで購入すればよいか

などなど、話は尽きない中ですが、みなさんテキパキと片付けをしてくださり、時間がもう少しあれば食べ比べがしたかったとという名残惜しく後ろ髪引かれながらもな終了のお時間となりました。

(授業レポート:安西仁美、写真:佐藤華子、安西仁美)