シゴト防災

「想定外を減らす。想定内を増やす。」をコンセプトにした「シブヤ大学防災シリーズ@ヒカリエ」の第4回目のテーマは「シゴト」です。

みなさんは「仕事と防災」と聞くと、どんなことをイメージするでしょうか？　

ほとんどの人が「オフィスの家具を止める」「会社にも運動靴を置いておく」「3日分の食糧を保管しておく」などをイメージするのではないでしょうか。けれど、これは「自宅」で考えている防災と同じです。72時間を会社でどう生き抜くのかという、言わば「オフィス防災」です。

ところで、「その後のこと」は想像したことがありますか？

あたり前ですが、地震直後を“生存”できたとしても「仕事」がなければその後の人生を“生きていく”ことはできません。「生存」と「生活」は違います。そのような考えを、防災の業界では『BCP（Business Continuity Plan＝事業継続計画）』と呼んでいます。「会社のサーバーが壊れたら…」「取引先の工場が止まったら…」「空港が使えなくなったら…」などを事前に計画し、対策を立てておくというものです。

東日本大震災の影響で、現在までに倒産した企業は約1000件。働いていた従業員数は約2万4000人。中でも、最も多い倒産は東京の企業でした。実は、最初に倒産した企業は九州のイベント会社です。原発の風評被害によって外国人アーティストの来日がなくなったことがその理由だったと言われています。“直接の仕事先”でなかったとしても、ビジネスの世界はさまざまなところで繋がっています。まさに、「風が吹けば桶屋が儲かる」の世界。

今回の授業では、この『BCP』の普及を行っている中小企業庁の方を先生にお招きして、「BCPとは何か」「何をすべきか」「実際にどのような企業の事例があるか」などを、講義やグループディスカッションを通して学んでいきます。ぜひこれを機に、「オフィス防災」ではなく「シゴト防災」を考えることで、みなさんにとって一つでも“想定内”が増える機会にして欲しいと思っています。

（授業コーディネーター　ASOBOT）

※本講座は、シブヤ大学理事の伊藤剛による新たな防災の取り組み『プロジェクトＢ』から生まれた連続講座です。このプロジェクトは、単なる自然現象でしかない「津波＝TSUNAMI」ではなく、日本が誇る災害対策の知恵「防災」をより向上させていくことで「防災＝BOSAI」を国際語にすることを目指した取り組みです。