【イベントレポート】カンファユニバース(韓国・江華島)との交流プログラムを実施しました!
2025年2月27日〜28日の2日間にわたり、韓国・江華島のカンファユニバースとの交流企画を実施しました。
カンファユニバースは、韓国・江華島にて、2013年に青年層の移住者が中心となって立ち上げた協同組合「青風」によって運営されるコミュニティ。昨年の秋、学長の大澤が江華島を訪れたことをきっかけに今回の交流が実現しました。
現在は2代目の代表パドさんを中心に、忙しい日常から離れ自分自身と向き合う「チャムシソン」というプログラムを行っています。「チャムシソン」のプログラムが生まれた背景には、運営メンバーが学生〜会社員時代に感じてきた競争社会でのプレッシャー、自分自身と向き合う時間が取れず、社会とのつながりが減ってしまうという体験が反映されているそう。これは、シブヤ大学に参加する人たちの抱える課題感や、団体が目指す社会とも重なる部分があると意気投合。ぜひお互いをもっと知りたいという思いから、この企画が実現しました。
こちらのキャンパスニュースでは、2日間の様子をお伝えします!
【DAY1】
▼シブヤ大学の活動紹介@シブヤ大学事務所
昨年引越したシブヤ大学の新事務所で、カンファユニバースの皆さんをお出迎え。ボランティアスタッフによる手作りのおやつをカンファユニバースの方々に振る舞いながら、シブヤ大学の活動紹介を行いました。
シブヤ大学の取り組みや考えに共感する点も多くあったようで、皆さんの反応がとても大きく、終始和気藹々とした雰囲気で大盛り上がりでした。
「決まった校舎を持たず、まちじゅうをキャンパスにしているからこそ生まれる効果にはどんなものがあるか?」
「単発の授業が多い中で、どのように参加者同士のつながりをつくっているか?」
「シブヤ大学に関わるボランティアスタッフたちは、どのようなきっかけで活動するようになったのか?」
など、さまざまな質問をいただきました。
▼ようこそシブヤ大学へ!ゆっくりと語り合う夜〜韓国・江華島"カンファユニバース"の物語〜
夜は幡ヶ谷社会教育館に移動して、シブヤ大学の参加者の皆さんも交えた授業を行いました。
まずは参加者からの自己紹介から始まりました。韓国の地方を巡るのが好き、KPOPや韓国料理が好き、カンファユニバースについて知りたい、、などさまざまな理由で授業に参加してくださった皆さん。
韓国語で挨拶をする方がいると大きな歓声が上がるなど、自己紹介から盛り上がりを見せていました。
まず最初に、運営メンバーのギョルさんより、今回のコラボレーションについて、そしてカンファユニバースとともに活動する方々から活動について紹介がありました。
今回の授業は、本授業コーディネーターでもある、学長の大澤が江華島を訪れたことで交流が始まりました。国・言語を超えて同じ目的を持っていると感じたそうです。
カンファユニバースは、ゲストとホストの枠を超え、互いを迎え入れながらつくっていくコミュニティで、カフェのオーナーやシンガソングライターなどいろんな方が関わっています。
■無職の人だけが出勤できる仮想社会「ニートカンパニー」というプログラムを提供するタジさん
無業期間を過ごす若者たちが社会的に孤立せず、互いにつながることができるよう支援する非営利団体「ニート生活者」を立ち上げています。
■シンガソングライターのユンスルさん
アーティストレジデンシープログラムで江華島に1ヶ月間過ごし、その縁で移住することになったそう。今はカンファユニバースと一緒に自宅で公演を開く、ホームコンサートを企画中!
■カフェオーナーのヒョンジさん
古民家をリノベしてカフェを運営。昼はコーヒーと共に創作と交流の場になり、夜は音楽とお酒を楽しむ空間として江華島ならではの思い出や関係性をつくる場になっています。
そのほかにも、デンマークの青少年教育機関エフタスコーレの立ち上げや、演劇団体を運営する方、「チャムシソン(後述)」でクルーとして活動する方まで、皆さんがカンファユニバースに多様な関わり方をしていることがわかりました。
メンバー紹介のあとは、カンファユニバースの2代目の代表を務めるパドさんから、カンファユニバースの目的や、活動内容などを紹介していただきました。
パドさんは、韓国で一般的な、いい学校に入って、いい会社に入って...という社会構造に対して、「世の中の文法ではなく、自分の方法で自分が幸せになる方法が知りたい」と感じたそう。いい会社に入ればお金は稼げる、でもそれであっているのだろうか?と悩むうちに、自分のライフスタイルや価値観にあった仕事をしたいと思うように。
そこで、自分が江華島を訪れたときに受けたおもてなしの文化を守り、そのおもてなしを誰かに返せるような場をつくりたいという思いから、都市での生活に疲れた人に場所を提供するプロジェクトが始まっていきました。
そして、互いを尊重し、価値観や安全網が基盤となるコミュニティ、カンファユニバースが形成されていきました。また、コミュニティを継続するビジネスとして、滞在型のコミュニティ観光である「チャムシソン」というプログラムがあります。
そこでは、ゲストとホストの境界線がなく、他の旅行者と交流したり、地域のライフスタイルに入り込むような体験を提供しています。観光客として訪れた人が、チャムシソンのクルーとして参加することもあるそうです!「自分はどんな風に生きていきたいのか」ということを見つめ直し、それを応援してくれる人に出会える場だとパドさんはおっしゃっていました。
最後に3グループに分かれて交流を行いました。韓国語の通訳サポーターのお2人にサポートしてもらいながらも、相手の言語をカタコトでも話しながら、前のめりになりながら対話をしている様子が印象的でした。
授業が終わってもなお盛り上がりをみせ、教室に残って交流を続ける方もちらほら...
国境や言語を超えたつながりが生まれた時間になりました!
【DAY2】
▼ランチ交流会@笹塚十号のいえ
シブヤ大学が運営に関わる地域拠点「笹塚十号のいえ」にて、日本の生涯学習・まちづくり団体の皆さんと交流会を行いました。日本にフォルケホイスコーレを広める活動をしている「一般社団法人IFAS」から矢野さん、高校生から社会人までがともに暮らしながら学びあう居住型の教育施設「SHIMOKITA COLLEGE」から原田さん、金さん、聖心女子大学から澤野先生に参加いただきました。各団体の活動紹介の途中、笹塚十号のいえのオーナー戸所さんも顔を出してくれました。それぞれの団体の活動にはもちろん、地域の衰退や高齢者の孤立といった共通の課題を抱える韓国の皆さんからは、会場の場のコンセプトにも歓声が上がっていました。
最後は、カンファユニバースの皆さんが日本滞在中に感じた気づきをシェアする振り返りの時間。
「江華島や団体の取り組みに興味を持つシブヤ大学の参加者の皆さんと交流できて楽しかった」
「国や言葉を超えて、同じ思いを持った人たちと出会うことができて勇気をもらった」
「忙しい日々から少し離れて自分や他者と向き合う時間の必要性は、今の時代の若者世代が求める世界共通のものだという確信を持てた」
「次は江華島でシブヤ大学の皆さんをおもてなししたい」
などなど、今後のさらなる連携に向けて、嬉しい気づきがたくさん出ていました。
最後はお土産を交換してお別れ。シブヤ大学からは、笹塚の就労継続支援A型事業所「渋谷まる福」さんのクッキーを、カンファユニバースからは、江華島産のワインをいただきました!
激しい競争社会におけるプレッシャーや、都市部における孤立など、似た社会課題を抱える日本と韓国。等身大のニーズや問題意識をもとに、地域に根差して自分たちがほしいコミュニティをつくって活動するカンファユニバースの皆さんとの出会いは、シブヤ大学が今の時代に必要とされる理由を見つめ直すきっかけになりました。
渋谷のまちを舞台に活動しながらも、ときには日常を離れ、ともに旅をしともに学ぶことを通して今後も新たな出会いがありそうです。
参加いただいた皆さん、ありがとうございました!次は皆で韓国に行きましょう!
カンファユニバースの皆さん、次は江華島で会いましょう!
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全体レポート:佐藤華子・大澤悠季
授業レポート:芝千乃
写真:鈴木夏奈・カンファユニバースの皆さん
運営スタッフ:安西仁美・小島知佳
通訳サポーター:片山かりん・鹿庭梨紗子