シブヤ大学
お知らせ

シブヤ大学 2020年度 活動レポート


 こんにちは、シブヤ大学学長の大澤です。
 シブヤ大学では、これまで紙の活動報告書を作成してきましたが、2020年度からはより多くの方に活動を知っていただけるよう、キャンパスニュースにて記事形式でお送りすることにしました。
 2020年度は、ビジョンミッションの再構築、運営体制のリニューアルに加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けオンライン授業をスタートするなど、活動が大きく変化した年でした。
 今回の記事では、7/24(土)に行われたサポーター向け年間活動報告会の様子とともに、2020年度の活動を振り返ります。

運営体制と社会状況が変わる中で、「理想の学びの場」のあり方を模索した1年

ー 体制変更と授業のオンライン化
 2020年度は、大きな変化があった年でした。まずは、これまで代表理事兼学長を左京が担っていたところを、学長は大澤、代表理事は左京という体制に変更し、世代交代を行ったことですね。世代交代と併せて、私たち世代が学びたいことは何か?社会に何を届けたいのか?改めて自分たちに問い直し、ビジョンやミッションのリニューアルも行いました。
 もう一つの大きな変化は、やはりオンライン授業をスタートさせたことです。新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年4月から6月の間、企業や行政とのコラボレーション案件が全て中止となりました。リニューアルして再スタートを切ろうというタイミングでもありなかなか苦しい時期でしたが、コロナ禍で、子供たちの学びだけでなく大人の学びも止めてはならない、という気持ちでオンライン授業を始めました。結果的に、2020年度は60講座ものオンライン授業が生まれました。

ー 「学びの形式」のアップデート 
 オンライン授業を始めたことで新しい気付きもありました。これまでシブヤ大学は、現地でその場限りの授業を行うことを大事にしてきました。もちろんそれはそれで価値があるのですが、一方でその形式に囚われていたことも痛感しました。
 例えば、オンライン授業だと、アーカイブ動画を残しやすく、時間を選ばず後から振り返って学びを深めることができます。また耳が聞こえづらい方から、オンラインだとツールを使って参加しやすいという声もいただきました。他にも、家事や育児の片手間で参加できてありがたいといった声や、地方や海外にお住まいの方の参加も大きく増えました。
 今後コロナがおさまっても、現地とオンラインの授業それぞれの特性をうまく生かして、活用していきたいと思っています。また、これだけオンラインイベントが一般的になってきている中で、リアルな場という選択肢を持っていること、そこでの場づくりの経験やノウハウを持っているということは、逆に強みになっていくのではとも感じています。

ー 収入の3本柱の見直しと寄付サポーター制度のリニューアル
 シブヤ大学の収入源は大きく分けて、行政、企業、そして寄付サポーター(個人)の3つです。その中でも寄付収入については、年間の収入の5%以下と割合が少なく、正直なところこれまで力を入れてこれていませんでした。しかし、コロナ禍で企業や行政との案件がストップしてしまったことにより、外部要因によって運営の継続が難しくなってしまうことを痛感しました。それを受けて、今後は「シブヤ大学を応援したい」と思ってくれる人たちに支えられる、より持続的な組織にしていきたいという思いから、昨年11月に寄付サポーター制度をリニューアルしました。

 個人の想いによって支えられる持続的な組織を目指すのは、もちろん自分たちのためでもありますが、次の世代のスタッフのためでもあります。NPO法人として継続していくためには、安定的な基盤をつくることが不可欠です。これまで頼りがちだった行政や企業とのコラボレーション案件がコロナによって完全にストップしたことで、収入源のバランスを整えていく必要性に気付くことができました。まだまだ収入面は苦しい状況なので、引き続き寄付サポーターを増やすことに力を入れつつ、安定して継続していくための仕組みづくりや体制の見直しを行なっています。
 
ー ファンドレイジングはファンづくり
 寄付制度のリニューアルにあたって、シブヤ大学のリピーター学生の皆さんにヒアリングさせてもらいました。15年前の設立時からずっと参加してくださっている方、わざわざ新幹線に乗って毎月の授業を受けにきてくれている方など、学生の皆さんがなぜシブヤ大学に来てくれるのか?何を求めているのか?改めてコミュニケーションを取れたことも、今後の運営を考える上で非常に大きなことでした。
 今来てくれているシブヤ大学のファンの皆さんを大切にしながら、もっともっと新たなファンを増やしていくことが、結果として寄付サポーターの増加につながったらいいなと思います。

これからの活動について
ー 学ぶことを楽しめる人や自分が欲しい場所を自分でつくっていける人を増やしたい
 2021年度は、授業に並ぶ新しい学びの形式として「シブダイラボ」という新たな取り組みに力を入れる予定です。

 ラボのルールは、先生がいないことと、同じメンバーで継続して実施すること。「自走する学びあいのコミュニティ」をキャッチフレーズに、自分の学びを自ら主導権を持って深めていく場です。自分の力で学ぶことを楽しめる人、自分がほしい場所を自分でつくっていける人を増やしていきたいという思いで取り組んでいます。
 また、日々大量の情報が入ってくる一方で、自分の気持ちにじっくり向きあい、考えをアウトプットする機会は少ないと思います。「シブダイラボ」は、自分が探究したいテーマについて安心して話すことができ、同じ関心を持つ仲間と出会える場にしていきたいと思っています。 

ー 社会教育の観点から、シブヤ大学の役割を捉え直す
 設立から15周年を迎えるにあたって、改めて「社会教育」の観点からシブヤ大学の役割を捉え直す作業にも取り組んいます。例えば、1954年出版の『公民館図説(小和田武紀)』の中には、社会教育の実践の場である公民館の役割の1つに「民主主義の訓練場」と書かれているそうです。民主主義社会を構成する一市民として、性別や年齢に関係なく自分の意見を持ち、フラットに議論することが許されており、その方法を学ぶのが社会教育の役割の1つであると考えられていたことが分かります。
 こうした社会教育の歴史を見ていくと、現代における社会教育の目的は曖昧になっているようにも思います。「大人の学び」「学び直し」といった考えがこれだけ叫ばれるようになっている今、私たちとしても、現代における社会教育の目的を捉え直し、その中でシブヤ大学が果たすべき役割は何か考えることが必要な時期だと感じています。

 活動説明会の後半は、今回参加してくれたサポーターの皆さん(開校からずっとボランティアスタッフとしても関わっているのはらさん、さまざまな世代を受け入れるコミュニティをつくっているシブヤ大学を応援したいというたけださん、沖縄から活動を応援してくださっているしげはたけさん)と一緒に、意見交換を行いました。

最後に
大澤:改めて、2020年度はリニューアルと同時にコロナ禍での活動となり、新しいことだらけの1年でした。そんな厳しい状況の中1年間続けてこれたのは、ボラスタ、サポーターの皆さんが一緒になってシブヤ大学のことを考え、悩み、意見をくださったからだと強く感じています。こんな状況でなかったら、事務局だけで新しいシブヤ大学をつくろうとして力尽きていたかもしれません。シブヤ大学は本当に多くの方に支えられていて、もっともっと皆に頼ることが「みんなでつくる組織」にすることにつながるのだと思います。今後も、良いことも悪いこともなるべくオープンにして、より一層みんなでつくっていくシブヤ大学にしていきたいです。2021年度もどうぞよろしくお願いします!


シブヤ大学 数字で見る2020年度
2020年度の授業一覧

2020年度会計報告
・2020年度会計報告:23,354,000円


2020年度 経常収益と経常費用

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是非この機会に、サポーターとしてシブヤ大学をつくる仲間になっていただけたら嬉しいです。
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