授業レポート

2018/4/25 UP

トワル(仮縫い着)をリメイク&街にくりだそう!第一回~染色編

今回の先生は、障がい者福祉の現場に携わりながら、描いたり、染めたり、ちくちく縫ったり、アートと心の関係を探りながらアートセラピーを実践しているヒロさん。 ヒロさんの取り組みの中でも特に環境に目を向けた試み、トワルを画用紙に見立てて描き、街着として蘇らせる(トワルを再利用する)リ・トワルプロジェクトの取り組みを体験しました。



今回の授業案内を読んで、この授業は自分には難しいな、と思っていたのですが、少々ビビりながらも生徒としても参加しました。

○ トワルって何だろう?リ・トワルプロジェクトとは?
トワルとはフランス語で平織物、頒布を意味し、Toile と表記します。
洋服を仕立てる際にデザインやサイズを確認するために試験的に縫製された服のデザインサンプル(仮縫い着)のこと。オーダーメイドで洋服を仕立てる時や、ブランドが新たなデザインを作り上げる時は具体的な完成イメージを共有するために必ずと言って良いほどトワルを縫製します。
仕上がりが確認できればトワルの役目は終了→ 処分・廃棄となる場合が多いようです。

「Re-Toile(リ・トワル)」は、東京都市ヶ谷にある毛皮リメイクメーカー「TADFUR」の松田真吾さんが、2013年から始めたプロジェクト。TADFURではトワルを年間約1000着近く廃棄し心を痛めていたそうです。「毛皮製品を長く大事に使って頂くためのリメイクを生業としているのに、サンプルが廃棄物になるのはおかしい、「仕方がない」では済まされない事だと気づき、2013年より再利用方法を探り始めます。それが、リ・トワルプロジェクトの始まりだそうです。
松田さんはfacebook上でオープンに「こんな素材があるので使ってくださる方いませんか?」と募集をかけたところ、人づてに広がって、「幼稚園でお絵かきをするのに使いたい」「イベントのユニフォームにしたい」「福祉施設で開くアートイベントに使いたい」「ファッションショーを開催したい」「演劇の舞台衣装として使いたい」など想像を遥かに超える様々な使い方のリクエストが舞い込み、なんと現在の廃棄はゼロ。 全てのトワルが新たな役割を得て旅立っているそうです。

○ トワルを選ぶ



まずは用意されていた沢山の宝の山から自分好みのトワルをチョイスします。
ロング丈コートやショート丈ジャケットなど、サイズや形が微妙に違うトワルがあり、鏡を見ながらあれこれ試着し、実際に着たときのイメージを確かめながら選ぶのは、まさにファッションモデルのようでした。みんな目が輝いて教室が一気に盛り上がってきました。

○ トワルで遊ぶ
自分のトワルが決まったら、机上に用意されている道具の説明(用意されていた道具は、バケツ、平筆、アクリル絵の具5色、スポイト、ゴム手袋、スポンジ、アルミのたわしがバケツの中に入っていました)・基本的な使い方を教わりました。
とうとう製作開始になるのですが、頭で考えすぎてまったく手が動きません。
でもある瞬間、何かに解放され頭のもやもやは消え、自分の中の法則ができたような気がします。時間が過ぎていくにつれどんどん手つきが素早くなり、自由に筆が動くようになりました。たった5色の絵の具が何色もの色に変化していくのが楽しすぎて、びっくりするほどの集中力で無心に描きました。

○ 作品完成
本日製作した作品のタイトルと感想を共有しました。
みんなの作品が自分の世界が現れた絵本の1ページのようで感激しました。

こうこさん:ペンキ屋(お花畑にいるマリーアントワネットが浮かびました!)
みほさん:好きな色(モネの睡蓮の色使い、素敵です!)
はきさん:スポイト(ミルクいっぱいのはちみつ色のミルクティーが飲みたくなりました!)
まなさん:モネになりたかったのかな?(まさにモネですよ、一同絶句!!)
はるなさん:タイトルはなし。絵を描くことを再開するきっかけになりそうです。 (ターナーのようなやさしい色使いで私は好きです!)
ゆこりん:春が来た(自分の作品なので客観的にはわかりません)

注文服などで使われる「仮縫い」は比較的知られている言葉ですが、「トワル(仮縫い着)」については、なかなか認知されていません。しかも、本作業に入ったら多くが廃棄されていたことに少なからぬ衝撃を受けました。 そんな裏方に徹するトワルがちょっと手を加えてファッションとなり、街で見かけるようになったら素敵だな、と思います。トワルだけでなく、自分の周りにあるものもそう。ものの溢れるこの世界、今あるものを大事にしたい。できる限り捨てるものは最小限にしたいと思いました。

(レポート&写真:高木夕子)