シブヤ大学

授業レポート

2018/4/6 UP

みんなで考える
ひとり親家族のこと。

今回の授業は 「みんなで考えるひとり親家族のこと」。
皆さんはひとり親家族についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?

私はひとり親家庭で育ち、隠すつもりはないのですが周囲に気を使わせてしまうのではないかと、ひとり親だということを伏せながら過ごす場面もしばしばありました。
そんなデリケート(に思われがち?)な議題を取り上げる授業はどのような内容になるのだろう…
と、少し緊張しながらこの日を迎えました。

渋谷駅から5分ほどの渋谷男女平等・ダイバーシティセンター<アイリス>で開催された今回の授業には、 赤ちゃんを連れたお母さん、学生さんから中高年の方まで、幅広い世代の方にお越しいただきました。

今回の授業は4名の先生をお迎えしてお話をお伺いします。
・秋山玲史先生:シングルマザー向けシェアハウスの運営やシングルマザーのサポート活動をされている
・吉田大樹先生:都会のパパを中心に地方と関わる機会を提供する活動をされているシングルファザー
・原真衣先生:働きながら3人のお子さんと暮らすシングルマザー
・youyou先生:働きながら双子のお子さんと暮らすシングルマザー



ひとり親家庭のお金、仕事について

秋山先生から、ひとり親になったときに今後お金がいくらかかるか一度計算をすることが大切というお話がありました。
知らないと漠然と不安になりますが、知っていると頭が整理されて少し冷静になれるとのこと。
簡単なことのようですが、このような場面に直面したときに忘れてしまいがちですね。

また、お金が必要だからと、がむしゃらに働くことは危険だと吉田先生。
もし無理をして過労で倒れてしまった場合、家族を支えられなくなってしまいます。

自分がひとり親だったら稼がなきゃと不安に駆られてしまいそうですが、ひとり親だからこそまず冷静に、長期的な視野で今後の仕事と家庭のバランスを考え、仕事の時間や内容を見つめなおすことが大切だということを感じました。



ひとり親家庭の子育てについて

原先生、youyou先生からは金銭面や子育てのサポートとして、ご実家の助けが大きいとのお話しがありました。
家族を支えるひとり親が安心してお仕事をするためにも周囲のサポートの重要性を強く感じましたが、近くに頼れる人がいないひとり親家庭もたくさんいらっしゃいます。

シングルマザー向けシェアハウスでは、実家を頼れない場合や親一人、子一人のひとり親家族にとって様々な利点があると秋山先生。

   ・似たような境遇の家庭が同じ場所を共有することで子供の心の負担を軽くする
   ・シングルマザー同士の共感、情報の共有ができる
   ・子供たち同士で遊ぶことにより、親の自由な時間ができ前向きになれる
   ・人と関わることを遠ざけず人間関係を再構築することができる

このような周囲の取り組みや機会によって、 それぞれのひとり親家庭にとって過ごしやすい環境作りができたら素敵ですね!

吉田先生より、シングルファザーとして女の子を育てる場合は、 体の成長に合わせてなかなか親に相談しにくいこともあるので、相談できる周囲の同性の大人との関係を作っておくとよいとのことでした。
きっと女の子だけではなく、男の子の場合でも、 親と違う性の相談できる大人がいることは支えになるのではないでしょうか。
大人として、ひとり親家族の子供たちとってそのような存在になりたいと思いました。



ひとり親が病気になったら

youyou先生から、ひとり親自身が健康な時に必ず生命保険に加入することの重要性をお話しいただきました。
家族を支えていく親が倒れてしまったら、その間の家族の生活を支えるお金が必要になりますね。

中でも心に刺さったことは、必要な時は施設に預けることも必要であるというお話です。
単にかわいそうという気持ちだけではなく子供にとって何が必要かを考え、苦しい決断をする覚悟や強さが求められる場面があります。
体も心も負担が大きい時だからこそお金だけでも心配にならないよう、家族の生活を守るために備えておくことの重要性を感じました。



ひとり親家庭をもっと豊かにするために

地域や自治体によって異なりますが、負担を軽減する制度や手当などひとり親を援助する制度は多くあります。
離婚届を提出する際に紹介してもらえる場合もありますが、基本的に誰も教えてくれないのが現状だそうです。
役所に行って確認、同じ境遇の人からの情報収集、ネットで検索など、自主的に調べて申請しなければなりません。
自分から声を上げていくことが必要とのお話しがありました。
なかなか厳しいものですね…

遊園地で使えるクーポンを支給する自治体もあるそうです。
生活に必要な制度ももちろんですが、レジャーの費用を捻出することが難しいひとり親の家庭も少なくないと思いますので、このようなひとり親家族の生活を豊かにする制度も増えていったらいいなと思いました。

吉田先生が活動されているグリーンパパプロジェクトでは、キャンプや農業体験を通して、都会のパパと地方とのかかわりの場を提供されています。
地域の関係も大切ですが地域のしがらみがない場所での関係性を築き、広い視野を持つことは親にとっても子供にとっても良い機会だと思います。
親子で一緒の体験をすることも共通の会話が増えていいですね!
実際、私も田舎がなく子供のころ地方に行く機会が少なかったため、子供にとってはとても刺激があるだろうなぁと感じました。



まとめ

今回の授業を通じて感じたことは、ひとり親といってもいろいろな形があるんだなぁということです。
ひとり親家庭で育った方からのさみしいと思ったことがない、かわいそうと思われたくない、という意見や シングル家庭の先生方がとても明るく話されている様子をみて、とてもハッとしました。
親と子供の性格もそれぞれで、感じ方も違います。
子供の人数も、環境も違い、収入も違います。
私はひとり親家庭でさみしいと感じることもありましたし、どこか引け目を感じていたのかもしれません。
ただひとり親家庭だからこそ、成長できた部分や感じた愛情もたくさんありました。

自分と同じひとり親家庭の方の意見をお伺いする機会が少なかったので、ひとり親に対するイメージが変わり、大変有意義で貴重な一日になりました。

また、本日先生方にお話しを頂いたことはひとり親でなくてもこれからの人生に参考になることばかりでした。
お子さんを持つ方はいつかひとり親になるかもしれない、
いつか親がひとり親になるかもしれない、
大切なひとがひとり親になったとき、自分は何をしてあげられるのか…

原先生の「お節介な人になる」という言葉がとても心に残りました。
困っている人はなかなか声をあげられません。
ひとり親の家庭、ひとり親でなくてもきっと困っている人はたくさんいます。
お節介かな…と躊躇してしまいやすいので、きっと少しお節介の気持ちを持つくらいで丁度いい!
周囲の人に対して、押し付けにならないように配慮しながら、
自分に何かできることはないか考えて継続的に行動に移していきたいと感じました。

(レポート:本間さゆり、写真:菅井玲奈)