授業レポート

2017/5/1 UP

地方の課題が私の目標に
『ふるさと』とつながる働き方とは?

今回のThink Collegeは
地域の課題解決を仕事にする生き方をされている武田昌大さん。

故郷の秋田が大好きで様々な活動をされている武田さんですが、
最初はむしろ真逆で何もない田舎のことが好きではなかったそうです。

その変化はどのように起こったのでしょうか。

武田さんは、大学入学をきっかけに秋田からの脱出を図ります。
そして関西の大学で学び、就職を機に上京しました。
この時点では故郷への愛は10%あるかないか程度でした。

あるとき秋田に帰ると、日曜日のお昼にもかかわらず、商店街のシャッターは閉まり、人も車もなく、更地や空き地が目立ち、このままでは自分の町がなくなってしまうと強く思いました。

大切な家族や、友達が住むふるさとを守りたい。

この出来事をきっかけに行動を開始します。

まずは秋田のことをもっと知ろうと、検索したところ、東京でも秋田のイベントがいくつかあることを見つけました。「すでに秋田のため活動している奴がいる!」と驚きつつ、まずはイベントに参加します。
その中で、運営団体の方との交流を通して、住んでいた時には気が付かなかった魅力を再発見することもできましたが、同時に秋田が抱える課題を目の当たりにします。

それは、名産物として有名なあきたこまちが、後継者不足で壊滅の危機に瀕していること。

なぜ、このような問題が起きているのか?さらにくわしく知りたいと土日に秋田へ帰り、アポなしで様々な農家を訪ね、3か月間で計100人と話しました。
課題を知ることが目的でしたが、土地の人を知ることで秋田が大好きになり、自分でも何かやりたいと考えるようになりました。

この時点から秋田への愛は大きく変化し、90%になりました。

その後は、秋田の若手米農家による産地直送、お米の通販の「トラ男」や、気軽な田舎暮らしの体験と古民家再生を両立させた「シェアビレッジ」を実現していき、ついに秋田の好き度は100%となりました。今後もシェアビレッジを増やしたり、様々なわくわくすることを考えているようで、武田さんのこれからの活動が楽しみです。

故郷を守りたいと漠然と思った武田さんの最初の行動はイベントへの参加という誰にでも簡単にできるものです。
しかし、イベントに参加することで、人と出会い、故郷の課題と良い所を知り、次の行動が生まれていきました。そして、どんどん故郷のことが好きになり、武田さん自身が故郷の課題に対してどんな形で貢献したいのかが明確になりました。

何か自分自身が気になることや解決したいこと、やってみたいことが出てきたら、小さなことでもまずは行動を起こしてみることが大切と感じました。

また、武田さんの就職先は東京のゲーム業界だったので、今の活動内容と180度違うように感じながら講演を聞いていたのですが、その後の懇親会でゲームの企画をされていたことをうかがいました。
そこで培った、「人を楽しませる仕組みづくり」が今の活動に活かされていることを知り、実現したいことが自分の中から生まれたとき、自分の経験や得意なことがそれを形にしてくれるのだと感じました。

(授業レポート:高橋徳治)

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※授業の最後に参加者から武田さんへ一問一答の時間がありました。時間の関係で回答できなかったものもありましたが、後日まとめて回答いただきましたので掲載します。


今の活動は社会人経験が生きているとことはありますか?

社会人経験の中だと、コミュニケーション、企画、デザインなどが活かされているかと思います!

ゲーム会社で働いてた時はどんな気持ちでしたか?
夢の職業でしたし、楽しかったです!仕事が嫌いになってやめたわけではないので今でもいい思い出です。

トラ男米や、村民を創り上げるのに気をつけていたことはありますか?
「面白いな〜」とか「参加してみたいな〜」というような人が心を動かす仕組みになるように考えています。

世の中に発信する際に気をつけていることはありますか?
コンパクトとインパクトですね。
わかりやすくシンプルに短く表現することと、そこに面白さや記憶に残るようなインパクトを作ることです。

古民家の再生プロジェクについて日々の管理はどのように行なっているのか教えてください
古民家に住み込みながら管理をしている「家守(やもり)」という若者がいます。
彼らが日々の掃除や古民家のメンテナンス、宿泊の対応などを行っています。

寄合や里帰りを定期的に実施するために協力者はどんな人が必要で、どうやって集めていますか?
運営体制は基本的には直接声をかけたり、facebook上で集めたりしています。
企画力行動力のある若者を軸にしています。

シェアビレッジの2村目が香川だったのは何か理由があるのですか?ご縁や思い入れなどあればおしえてください。
シェアビレッジは秋田に第一の村をつくると決めた時から全国に広げていくつもりでした。2015年2月にシェアビレッジというものをクラウドファンディング上で発信した時から、全国の物件がお問い合わせに飛んできました。その中でも香川県は西日本であるという事の他に、知人が移住していて地元の人たちとのハブになってプロジェクトを進めてくれたのでオープンすることができました。
香川県の友人がシェアビレッジを知ったきっかけは、2015年5月に秋田で受けた共同通信の取材です。こちらの記事が2015年7月に香川県の四国新聞に掲載され、友人がそれを読んだのがきっかけです。

イベントを定期的に続けていくためのコツは?
僕たちの場合は不特定多数へ向けたイベントではなくて、特定多数へ向けたイベントですので、集客に時間を取られることがないという点と、村の形成をしていくための話合い、もしくは村民同士の繋がりを作る場としての機能があるのでコンテンツをそこまで尖ったものにしていかなくてもいいというのが定期的に開くポイントですかね。

たくさんある秋田の良いものなの中でお米に絞ったのどんな理由からですか?
良い特産品はたくさんありますが、稲庭うどんは湯沢市、きりたんぽは大館市などというように地元の強みではなかったということ。
秋田県自体が食料自給率日本2位であるくらいお米県である他に、実は僕の地元の北秋田市があきたこまちの中でも特Aという最上級のランクを6年連続とっていた地域というのもあって、お米を選びました。

今後の活動にトラ男米を使ってのおにぎり屋さんを計画されいるそうですが、どんなお店になるんですか?
店舗面積は非常に狭いですが1階〜4階建のビルでお店をします。
地方・東京・世界の人々が交流できるような場所にしていきます。

事業化した後に最初に起きた大きな問題はどんなことでしたか?
お米の事業を始めて販売量を初年度の二倍にしました。その際に生じたのは物理的な課題です。
単純に二倍の量を保管していく場所を確保していかなければなりません。これは現在でも続いている課題で、物量が増えれば増えるほど保管場所の拡大が必要でそこへのコストが先にかかってくることが大変苦労します。

東京出身者が東京にいながら地方に関わっていくことでの役割と立場はどのように考えていますか?
地方への関わり方がいくつかあると思います。
地方に足りない「労働力」として実際に現地を訪れて何か手伝ってみる、地方に足りない「スキル」を都市部にいながら提供する、「金銭」という部分では観光で現地にお金を落とす・商品を買って消費するなど色々とあります。
これは各々の趣向性によって自由な立ち位置にいていいと思います。

当事者意識を持って地方の若者が前進するためにどんなことが必要だと思いますか?
地方から一度外に出てみることが大事だと思います。
他を知ることでまずは自分たちの地域がどんな状況なのか知ることが大事だと思います。
知るという点では、外の人を地元に招いて、外の人の声を聞かせるというのもポイントですかね。

起業しないで仕事をしながら出来る範囲で秋田に関わるという選択肢はなかったんですか?
初めはそう思って週末ボランティア感覚で活動を始めました。
しかし片手間で副業的に中途半端に関わっても中途半端なことしかできないと自分の中で感じました。
本業をやりながらだと時間も限られているし、できる範囲も狭まります。何より秋田や地方の人たちはそんな中途半端に自己満的に関わられることは望んでいません。
僕は起業をしたかったわけでは全然なくて、秋田をよりよくしていくための手段として起業を選んだという形です。

ゲームを作りたいという夢はもういいのですか?
子供の頃の僕は井の中の蛙で限られた知識や職業の中からゲームというものを選びました。
でも大人になって思うのが夢は職業で選ぶものではないと思っています。
自分がなりたい姿が夢であって、職業はあくまで手段であると考えています。
僕はゲームを作るのが夢ではなくて、実は人の心を動かす仕事がしたかった、つまり目の前にいる人が喜んでくれたり笑顔になってくれることにやりがいを感じています。
なのでもちろんゲームを作るのはやりがいがありますが、今の仕事も十分やりがいを感じる仕事なので今は充実しています。

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おひとりおひとりの質問に丁寧にご回答いただき、ありがとうございました!
村民になりたい方など、シェアビレッジに関するお問い合わせはこちらへ→http://sharevillage.jp



(レポート:高橋徳治、写真:榎本善晃)