シブヤ大学

授業レポート

2016/8/26 UP

手持ちのバッグをリデザイン
デザイナーに学ぶバッグデザイン画

手持ちのバッグをリデザイン
デザイナーに学ぶバッグデザイン画


 


仕事・買い物・旅行・法事に行くとき、子供達や仲間と遊ぶ日、海・山へ行くときなど、夏の季節はお出かけする機会が多くなりますね。場所や会う人達の雰囲気に合わせてバッグを変えておしゃれを楽しむ方もいらっしゃれば、お気に入りを長く愛用されている方など様々です。


その中で、荷物が多くなってしまうことって皆さん経験あるかと思います。TPO、容量、持ち手の長さ、ポケットの位置・大きさ、見た目の色・デザイン性など、バッグ一つ選ぶ際にも考えてしまいますよね。
今回の授業では、バッグデザイナーがデザインを製品化する際、製作工場に提出している「指示書」の描き方を学んで、理想のバッグのデザイン画を作成してみましょう、というテーマです。


(*作成はしませんよ)


 



講師には、ご自身でバッグのブランドの代表とデザイナーをされているMikaさんをお迎えしました。


 


まず、皆さんには白紙2枚に各自で持参されたバッグの絵を立体的に描く練習をしました。


実際、Mikaさんがデザイン画を描くときは、マチ(バッグの奥行)を含めて立体的に描いているそうです。


ただ、立体的に描く作業って結構難しいものです。Mikaさんには立体的に描くコツを教えて頂きました。「まず、バッグを目の前に出して頂いて、斜めに見た状態を描いていきます。基本的に取っ手がついた”箱”だと思って頂けるといいかもしれません。正面(前胴と言います)・奥行(マチと言います)・天部分(バッグの口元)を斜めに描きます。そして、中心線をとっていきます。平面で描く場合の中心線なら真ん中に線を引けばいいんですけど、このように立体的に描く場合は左側(手前)を広めに、右側(奥)を少し狭めの位置に線を引くとバランスのいいバッグを描くことができます。最初から採寸を取らなくても、まずは見たままを描いて頂いても描きやすいと思います。」


皆さん、アドバイスを元に集中してもくもくと描いていきます。







練習で描いている間、Mikaさんが携わっているバッグの制作行程について教えて頂きました。


「皆さんのバッグには同じ素材の生地を統一して作っているものもあるんですが、中には異素材の生地(前の部分だけ革・マチ・後ろは帆布・持ち手はテープなど)を組み合わせているのもありますよね。例えば、このベージュのバッグなんですけど。」


「その場合、実際にデザインをするにあたって、メインの部分と付属の部分とで色や材質をそれぞれ記載していきます。それを、本体生地・付属生地のコンビでA/B/Cと分けていくのですが、日本製の場合は日本の生地台帳から、海外製の場合は海外の生地台帳から選んでいきます。生地屋名・素材の種類・色品番などを指示書の素材欄に指示を出していきます。」


「次に、本体・付属生地に対して、縫製糸(ステッチ)の色を決めていきます。使用する生地の色に合わせたステッチの色や、あえてステッチの色を変えてポイントにしたりします。糸の台帳を見ながらステッチの色の指示を記載していくんですよ。」


 


「あと、ファスナーですね。外側についているものを外装、内側についているものを内装と言います。ファスナーの色も生地との組み合わせで決めていきます。配色にしてもいいし、生地と同じ色で統一感を出してもいいです。ファスナーの色はたくさん種類があるので、迷ってしまうんですよ。内装のポケットに使うファスナーの色は一般的には裏地と同色を選んでいます。」


確かに、とても種類が多い!どの色と生地を組み合わせるかで雰囲気はだいぶ変わりますから、Mikaさんにとって、とても重要な作業になるそうです。


その他に、実際の仕事の中では金具の部分の色の決定や、切りっぱなしの素材に対して綺麗に見せるために、切り目部分に色付きの液体を塗りつける“コバ塗り”という作業をしていく行程のお話がありました。


お話しながらMikaさんは一人一人に個別で丁寧なアドバイスを入れていきます。


 


では、いよいよ本番のデザイン画を描いていきます!


実際にMikaさんが使用しているデザイン指示書を元に、自分たちが理想とする立体的に描いたバッグの形・色・ファスナーの位置・大きさ・雰囲気などを明確に記載していきます。ここでも、Mikaさんは個人でアドバイスを出してくださいました。


 






最後に、デザイン画に描き終えたら、前で皆さんにこだわりのポイントを発表しました。皆さん、雰囲気や配色やTPOを踏まえていろいろイメージして理想のバッグのデザインを伝えてくださいました!




リデザイン画を通して、愛用のバッグに深く関われるだけでなく、デザインの行程まで知ることができました!日頃身近なバッグができるまでの過程は、想像以上に果てしないものなのですね。自分用にカスタマイズすることで、皆さん楽しみつつ集中して取り組めていました!


(写真:田中健太 レポート:岡田智美)